2014.10.10
専務取締役
森島 忠雄 氏
東京都ビジネスサービス株式会社は、1986年に東京都とカテナ株式会社(現株式会社システナ)の第三セクターとして身体障害者10名を含む従業員18名規模で設立された。当初は、データエントリー(入力業務)や受託計算などをメイン業務として操業を開始したが、現在ではそれらに加え、多様な出力業務から顧客データベース管理まで含む「プリント関連ソリューション」、事務処理やメーリング業務などの「事務局代行」、文書の電子化や情報管理を行う「デジタルイメージング」および、「人材サービス」の5つの業務を展開。業務の広がりに応じてしょうがい者雇用の枠を徐々に拡大してきた。
最近の業務傾向は、データエントリーから出力業務を含めた事務局業務全体を受注するBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)の需要が増加しているものの、大手企業からの参入が相次ぎ価格競争が激化してきている。これについて専務取締役の森島忠雄氏は、「価格競争ではなく、特長あるソリューションを訴求することで他社と差別化していくことを考えています。その時、しょうがい者雇用という特徴が強みになると思います」と述べる。
特例子会社としてスタートした企業であっても、健全経営を継続していくためには受注拡大が必要だ。その可能性を秘めているのが、需要が着実に増加しているBPO市場にある。競争が激しいBPO市場において勝ち残るためには、ニーズが高まっている小ロット・短納期への対応力が求められる。さらに受注の大半を占める入札では、厳しい価格競争が強いられるため、価格競争力を備える必要もあった。
また、同社が受注しているDMや請求書、学校法人あるいは塾で利用される合格証や成績表、源泉徴収票、保険料控除申告書、宅配用発送伝票などの印刷物には、個人情報が多く含まれる。このため高いセキュリティ環境を構築し、維持していくことも必須課題となっていた。
そこで低コスト、短納期を実現させると同時に高セキュリティな業務体質を目指すため、既存設備の見直しも含めて内製力強化の検討をしていた際に、RICOH Proの提案を受けた。
RICOH Proは、品質のみならず生産性や用紙対応力も高く、同社が求めていた条件にかなうものだった。また、主要顧客企業でも同RICOH Proが導入されており、高い評価を得ていたため、2012年9月に導入を決定した。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)市場を深掘りして業績を伸ばしたい
入札案件での価格競争力を強化したい
個人情報を扱う企業としてセキュリティ対応力を強化したい
用紙対応力とデザイン提案力でプリント業務の受注が拡大
小ロット物の生産コストが最適化され、価格競争力が強化
印刷の内製化によりセキュアなワークフローを確立
同社の出力業務を支えるプロモーションサービス部では、様々な印刷物を制作する。サイズも、ハガキから冊子、A4チラシまで多様で、製本や三つ折り、圧着、断裁、封入・封緘、発送まで行う。RICOH Pro導入によってサービス内容がさらに拡充したと言うプロモーションサービス部のシニアコンサルタント中村典正氏は「用紙対応力が向上し、圧着ハガキや不定形なサイズの小ロットの印刷物にも柔軟に対応できるようになり受注内容が増えました」と語る。
加えて2013年秋には、デザインができる人材を新たに採用。プロモーションサービス部の森田規文課長は「これまでデザイナーは不在だったので、印刷データは顧客からの支給が大半でした。デザインから受注できるようになり、仕事の幅が広がってきました」と語る。
例えば大手ガス会社からのA4サイズのダイレクトメールは、デザインから提案したことで受注に繋がった案件。企画・デザインから出力、封入、発送までのトータルな仕事となった。各支店から配布するダイレクトメールとして、地域毎に一部の印字内容を差替えるバリアブル印刷を行った。「バリアブル印刷の場合、差し替えデータが寸前にならないと分からないとか、ぎりぎりにならないとデータが届かないということがありますが、RICOH Proで柔軟に対応できました」と、森田課長はPOD(プリント・オン・デマンド)ならではの対応力の強さを語る。
なお同社では、自社で使用する名刺や会社案内などの制作にもRICOH Proを活用している。データの差し替えにも柔軟に対応でき、必要な時に必要な部数が制作できるシステムとして活用されている。
PODの活用は、発注する顧客にとってのコスト削減、不良在庫の減少など、顧客満足度の向上に繋がる提案を可能にしている。
「5,000枚以下のチラシなど小ロット向けの印刷でもRICOH Proを活用して、トータルコストを抑えながら最適な価格が提示できるようになりました」と中村氏。生産コストの最適化は、厳しい価格競争にさらされる入札において威力を発揮、受注獲得の武器になっている。
源泉徴収票や請求書などのように、受注内容の多くで機密性の高い個人情報を扱うことから、セキュリティへの対応は重要項目の一つとなっている。そのため2003年にはプライバシーマークの認証を取得。2010年には情報セキュリティ規格のISO27001(ISMS)も取得して、顧客に安心・安全なサービスを提供している。特に、同社にとってPODの導入は、プリント業務を内製化させ、社内の一貫生産が実現した。よりセキュアな生産環境が確立され、機密性の高い情報加工への対応を可能にしただけでなく、生産の効率化にも繋がっているという。
しょうがい者支援サービスを担当している営業部マネージャーでしょうがい者雇用支援アドバイザーの大場秀樹氏は、しょうがい者雇用の課題について「企業で一番困っていることは、どんな業務でしょうがい者が雇用できるか判らないということではないでしょうか」と語る。2014年4月からは大手企業に対するしょうがい者雇用の法定雇用率が2.0%へと引き上げられるなど、しょうがい者雇用の要請は高くなっている。さらに、CSR(企業の社会的責任)活動への意識の高まりなどを背景に、大企業を中心にしょうがい者雇用が注目されるという動きもある。
こうした課題とニーズに対応するソリューションとして、同社では28年間培ってきた経験を活かして、「しょうがい者雇用・就労支援」を行っている。大場氏は「私がガンバレば、“しょうがいのある方がきっとハッピーになる、ハッピーになる企業がきっとある”という思いで仕事をさせて頂いています」と語る。
最近では名刺や会社案内など、社内のプリント業務に注目。しょうがい者が活躍できるデータ制作とRICOH Proを活用した社内印刷業務を一つの事業モデルとして提案している。この取り組みはリコージャパンと協同で、2013年12月から「しょうがい者就労支援フォーラム」を通じて広くアピール。各企業に共通する社内業務を、しょうがい者雇用のモデルとして提案できれば「企業としても受け入れ易いのではないでしょうか」と大場氏は語る。長年培ってきた“しょうがい者雇用”のノウハウとPOD活用を連携させ業務を支援することで、しょうがい者の仕事が創出できる。「これこそ東京都ビジネスサービスの役割だと思います」と大場氏は語った。
プロモーションサービス部は、受注した様々な印刷物の制作に始まり、出力、後加工、発送なども担当しており、自社で利用する会社案内や名刺などの制作も行っている。なお、2014年度の移転に伴いコーポレートカラーなども一新するため、それに伴う印刷物の制作も一手に行っている。
作業環境もRICOH Pro導入によって改善されているとプロモーションサービス部の中村氏。「導入して、まず音が小さいということを一番に感じました。オフィス内に設備を置くので音は気になります。生産スピードも期待通りの速さで、扱いやすい」と評価を寄せている。出力業務の現場からも、RICOH Proについて「用紙の汎用性が高いことが便利です。スムーズな出力と安定した稼働で安心して使用できるなど、以前よりも作業性がアップしています」という。
また企画・デザイン業務なども受注するようになり、自分でデザインしたものが「その場でプリントアウトできることが楽しい」と、デザインを担当する山城さんは語り、今後も色々なデザインをしていきたいと期待を膨らませている。森田課長は、こうしたPODシステムに対する現場の期待感を汲みつつ、人とシステムがお互いに補完しあう関係を構築して新たな発展に繋げていきたいと展望している。
お客様名称 | |
---|---|
資本金 | 1億円 ※株式会社システナと東京都による第三セクター企業(出資比率 51%:49%) |
創業 | 1986年12月 |
従業員数 | 81名(内しょうがい者25名) |
設備 | RICOH Pro C751EX |
主な得意先 | 官公庁、外郭団体、金融系企業から一般企業まで |
主な業務内容 | 文書電子化などのデジタルイメージング、紙や電子画像からのデータエントリーサービス、大量出力や顧客のデータ管理なども含むプリント関連ソリューション、事務処理代行やメーリングなど事務局代行業務、人材サービス |
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