医療業務の特性に合わせて最適なプリンティングシステムと利用環境を提案
倉敷中央病院様は、ICTの活用による医事業務の効率化と患者様サービスの向上に積極的に取り組んでいらっしゃいます。1972年にはいち早く汎用コンピュータを取り入れ、病院のコンピュータ化促進に寄与したことから、1976年に通産大臣表彰を受けられました。また、1990年頃にはオーダリングシステムを導入、医師が入力した情報が、すべての関連部署に伝達されるようになりました。例えば、医師が診察室で処方内容を入力した瞬間にデータが送られ、調剤室では即座に薬の用意を始められるようになり、患者様の待ち時間は大幅に短縮されました。さらに現在は、ほぼすべての医療記録が電子カルテとしてデジタル化されています。こういったICT 化を進められる一方で、業務の効率化を図るために、月間120,000枚以上もの紙による出力が行なわれています。
「病院の診療報酬は、一部は患者様の負担金として窓口でいただきますが、ほとんどは政府・市町村・各種健康保険組合等の保険者に請求して報酬を得ています。支払がスムーズに行なわれるためには、請求資料となるレセプト(診療報酬明細書)に、診療行為と診療報酬点数に関する正確な情報が記載されている必要があります。レセプトは、社会保険や国民健康保険等が審査したうえで、保険者に送付されます。現在、レセプトは電子化されているので、本来は出力する必要のないものですが、当院では、一人ひとりの患者様に行なった治療について、治療を行なった医師本人が、出力された会計カードでチェックしています。情報システム部と医療診療サービス部では、レセプト情報と月次の診療の記録を記載した会計カードを出力し、いつ、どのような診療が行なわれたかを一目で見られるようにすることで、医師がより正確にチェックを行なえるようサポートしています。また、特定の医薬品を適用外の症例に使用した場合、医師のコメントがレセプトに記入されていないと支払額が少なくなるケースもあります。私たちは、あえて紙を使うことで診療報酬請求の精度を上げ、請求漏れを防止しているのです」(藤川様)。
「レセプトは画面でもチェックできますが、会計カードと照合するには別のファイルを開かなくてはなりません。また、チェックをしてくださいというメールを送っても、約400名の医師すべてが期日までにチェックを戻してくれるとは限りません。しかし、紙に出力して配布することで、こちらにも、どの医師に何枚出力したという記録が残るため、戻していただけない場合は確実にフォローできます。医師もレターケースに会計カードが入っていると、早くチェックをしなくてはならないという意識が働くようです」(難波様)。
「当初はシステムベンダーと共同で、汎用コンピュータでレセプトを発行する仕組みを構築していましたが、2003年にパッケージを導入し、出力用紙も連続帳票から罫線をプレ印刷した専用単票に変更し、簡単に印刷を行なえるようにしました。それ以前は、情報システム部で出力を行なっていましたが、マンパワーにも限界があったため、パッケージと基幹プリンターを4台導入し、現場での出力に切り替えたのです。ところが、当時の基幹プリンターは今のプリンターと比べると高性能ではなく、現場からは、ジャムが発生する、用紙がずれるといったクレームが上がり始めました。」(藤川様)。
「2009年にIPSiO SP 9100Pro を2台導入するとともに、ジャムなどのトラブルもなくなり、印刷品質も向上しました。また、会計カードの出力サイズも、プリンター側の制御でB4からA4へ簡単に変更することができ、用紙のコストダウンにつながりました。さらに2011年には、上位システム側の改修を行ない、罫線を事前印刷した専用紙を廃止し、普通紙の使用を開始したことにより、印刷コストの削減につながりました」(藤川様)。
「2014年7月には、IPSiO SP 9100ProをRICOH Pro 6100に入れ替えしました。現在は、2台のRICOH Pro 6100で、月間120,000枚以上のレセプトと会計カードを出力しています。具体的には、月初の2日間で外来90,000枚、入院20,000枚を出力、カルテ番号順に出力されたものを、担当医師別に仕分けし、約30名のチェッカーが確認を行なった後に医師に届けます。このほか入院に関しては、レセプトの修正指示が間違いなく反映されていることをチェックするために、レセプトと会計カードを8,000枚出力、さらに15日退院分と25日退院分をチェックするために、それぞれ5,000枚、合計で約10,000枚出力しています。プリンターの入れ替えによって、トータルで印刷時間が1時間程短縮できました。短納期で確認が必要なため、1時間の短縮はとても助かっています」(冨山様)。
倉敷中央病院様がICT 化を推進していくなかで、業務効率向上に加え、出力環境のセキュリティが課題になりました。2011年に導入されたリコー個人認証システムAEは、セキュリティ強化と仕事のしやすさの向上につながりました。
「当院には、IT 情報セキュリティ委員会がありますが、巡視を行った際に、重要な書類が様々な場所に置かれていることが判明しました。幸い情報漏洩はなかったものの、まずプリンターの上に出力紙が溜る状態を解消したいと考えました。また、院内にPCを展開するにあたって、逐次プリンター共有を行なわなくても、約250台のレーザープリンターから、自由に出力したいプリンターを選んで出力できれば非常に便利ではないかと考えました」(藤川様)。
「リコーの『RPCS Basicドライバー』は、画期的な製品だと思います。プリンターの機種が変わっても、ドライバーを入れ替える必要がないため、PCから印刷指示を出し、出力したプリンターに職員証をかざせば、どのプリンターからでもロケーションフリーで、必要な書類を出力できるようになりました。こういった使用者にとって便利な仕組みと組み合わせることで、情報セキュリティも担保でき、同時に現場の負担感なく紙の無駄も削減できます。また、注射の指示や領収書、請求書等、所定の場所に出力しなくてはならないものはダイレクトプリントする仕組みを構築しています」(藤川様)。
「私たちは、病棟から事務所まで、場所を変えて仕事をしますから、必要な書類をどこでも出力できるのは非常に便利です」(難波様)。
「病院内では、移動しながら仕事をしている人が本当に多いのです。医師も外来で診察することもあれば、病棟で診察を行なうこともあります。印刷の個人認証は、病院の業務形態に合ったシステムです。ですから、今後、病院の標準仕様になっていくかもしれません」(藤川様)。
「当院ではICT 化を推進してきましたが、すべてをシステム化すれば良いとは考えてはいません。私たちのニーズに対して、あらゆることにシステム化で対応しようとする考え方もありますが、当院の会計カードのように、あえてシステム化するのではなく、紙の方が確実で効率が良いこともあります。リコーは、コストをかけずに、工夫で解決する能力が高いと思いますし、提案が上手だと感じます。同じような製品やサービスは他社でも持っているはずですが、提案の内容や組合せ方がニーズに合致したものになっています」(藤川様)。
リコーはこれからも、柔軟な発想でお客様のご要望に最適な提案を行ない、業務の生産性向上やコスト削減などの課題解決に貢献してまいります。
公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構
倉敷中央病院
倉敷中央病院様は、総合周産期母子医療センター、地域がん診療連携拠点病院、災害拠点病院、地域医療支援病院、救命救急センターなどの施設認定を受ける地域の基幹病院です。地域住民の健康を守るため、最新・最高の医学による最良の医療を志向し、「患者本位の医療」、「全人医療(身体と心を癒し、いのちの質を支える医療)」、「高度先進医療」を実践することを基本理念に掲げられています。
RICOH 製品導入経緯
2009年04月 IPSiO SP 9100Pro 2台
2011年04月 個人認証システムAE、認証管理サーバー:Authentication Server AE2、LF(ロケーションフリー)サーバー: RPCS Basicドライバー、印刷ログ収集:Ridoc IO DeviceManagerLite、個人認証対応レーザープリンター 250台
2013年11月 個人認証システムAE2へバージョンアップ
2014年07月 RICOH Pro 6100 2台(IPSiO SP 9100Pro を入れ替え)
本ページに掲載されている情報は、2014年10月現在のものです。