プリンティング環境の刷新で
多種多様なオフィスプリンターでの出力を可能に
滝川は、理容・美容・エステ・ネイル関連の用品や機器および設備を販売する総合商社である。主に扱うのは、理美容室やエステティック・ネイルサロンで使われるプロユースの商品。大型機器からシャンプー・化粧品、さらにはタオルやコットンなどの消耗品に至るまで、ビューティ・ビジネスに欠かせない約5万アイテムの商品を、サロンに商品を販売する全国の代理店を通じて提供している。
35年以上前に、同社が「エステティック」という言葉を海外から日本に持ち込み、普及させたことからも分かるように、エスティックのパイオニアとして、美容業の発展に果たした同社の功績は大きい。商品のみならず、さまざまな美容メニューの提案や情報提供、美容師やエスティシャン・ネイリストの育成にも力を入れている。
同社はシステム/38時代から40年近くにわたり、System i上で販売・仕入・在庫・入出庫の各システムを開発・運用してきた。しかし2007年に入ると、全社的な業務改革プロジェクトに合わせて、販売物流システムの再構築が検討され始めたという。業務改革プロジェクトでは、物流の効率化、EDIの構築、受注入力インターフェースの改善などを軸に、現場からはシステムに対して約40件の改善要求が寄せられていた。
これに対し、情報システム部ではSystem iのリプレースを含めたいくつかの実現手法を検討したが、IAサーバー上でのシステム再構築は、当初想定した以上の開発コストが必要になると判明。そのため、既存のプログラム資産を最大限に活用しつつ、必要なプログラムの追加・修正を実施し、また経理システムは新たにパッケージ製品を導入することで、新たな業務要件に対応することになった。
こうした改善要求の重要な項目の1つに、「帳票の定型化(A4用紙への統一)」がある。またちょうどその頃、同社では既存プリンタの保守切れに伴う印刷環境の見直しという問題も浮上していた。
長く使用していたドットプリンタの保守サポートが終了し、約30台の買い替えが必要になっていたのに加え、情報システム部および流通センターで使用していた合計6台の高速ラインプリンタのうち、3台の保守が終了、残る3台も順次終了予定で、3年以内に全てのプリンタを買い替える必要があった。
「この場合、新規プリンタの購入に約3000万円の投資が必要と試算されました。そこで可能な限り新規プリンタへの投資は抑え、各拠点や部門で既に導入している、各メーカーの多種多様なオフィスプリンタを活用可能にする新たなプリンティング環境の構築を検討することになりました」
(情報システム部兼インターネット事業担当川井孝臣課長)
上記の要件をクリアするには、何らかのソリューション導入によるスプールファイルのPDF化が不可欠と判断された。
「帳票の定型化を支援する帳票設計ツールを含めて、対応可能なソリューションは多数提供されていましたが、プリンタメーカーからの提案の多くはWindowsベースのプリンティングサーバーを必要とする内容でした。サーバーの運用管理負荷をこれ以上増大させないため、当社ではできればPCサーバー不要のソリューションを導入したいと考えていました」
(情報システム部情報システム課草野真吾係長)
そのなかで注目したのが、System i上で稼働し、Windowsサーバーを必要としなかった。リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパンの統合印刷プラットフォーム「Mapping Suite」であった。「PDF化などの機能性に加え、PCサーバー不要である点が、当社の狙いと合致したため、採用を決めました」(草野氏)
2008年1月に、System iを525へリプレースし、新・経理システムの導入に伴う和暦から西暦への対応を進める一方、2008年春から夏にかけて、プリンティングソリューションの選定作業を推進。2009年12月にMapping Suiteの導入を決定した。
帳票定型化の実現に関しては、Mapping Suiteの帳票設計ツールである「Map Draw」を使って進められた。
まず送り状など、流通センター内で使用される約10帳票の再設計と、関連する帳票プログラム50本の手直しに着手し、2009年6月にこれを完了。次に納品書や請求書など、社外向け帳票の再設計およびプログラム修正を約50件。そして、月末統計処理など約1500種類の社内帳票の再設計を順次進め、2010年4月には全帳票の切り替え作業が終了した。
この間、30台のドットプリンタの撤去、およびラインプリンタに代わる12台のレーザープリンタ(リコーの「IPSiO SP 9100 Pro」が2台、同8200が2台、同6220が8台)の新規導入が完了している。導入効果としては、業務改革の目標に合致したプリンティング環境の刷新に着手できたことに加え、プリンタ関連の導入およびランニングコストの削減効果も見逃せない。
「既存のプリンタを全て買い替えた場合、約3000万円と試算された購入コストは、今回実施したプリンタ資源の統合により約50%削減することに成功しました」と、金子英一氏(情報システム部長兼インターネット事業部長)は語る。
またA4用紙への統一により、ストックフォームの廃止などによる用紙代の削減により(ソリューションの保守料が加わったことを差し引いても)、ランニングコストは従来に比べて20%削減。さらに用紙の統一、封筒やファイルの統一、保管スペースの削減、プリンタ台数減少による電気代の削減などを含めると、コスト削減効果はさらに大きいことは言うまでもない。
同社ではスプールファイルをPDF化する環境が整ったため、今後はPDFファイルのメール送信など、PDFの活用を進め、さらなる業務改革に活かしていく計画のようだ。
お客様名: | 滝川株式会社様 |
設立: | 1931年 |
本社: | 東京都台東区 |
資本金: | 1億8000万円 |
売上高: | 190億円 |
従業員数: | 350名 |
URL: | http://www.takigawa.co.jp/ |