PCBとは、Poly Chlorinated Biphenylの略称で、人工的に作られた主に油状の化学物質です。脂肪に溶けやすく体内に蓄積しやすいため、慢性的な摂取で免疫や肝臓、神経などに深刻な影響を及ぼすことが知られています。かつて絶縁油として変圧器やコンデンサなどに広く使用されていましたが、1968年にはカネミ油症事件で多数の健康被害を引き起こし、1972年に製造、輸入、使用が禁止されました。

PCB廃棄物(変圧器)の例
なぜ「PCB不含有」とされた機器でもリスクがあるの?

数年前に、問い合わせ先メーカーから「PCBが含まれていない」と
判断されたからといって安心できません

一例として、ニチコン株式会社による安全基準の見直しに至った経緯をご紹介します。
まず背景として、約30年前、一般産業用変圧器の一部から「極微量のPCBが検出された」と日本電機工業会(JEMA)に報告があったことを受け、国の指示により業界全体で調査が実施されました。その結果、1989年以前に製造された絶縁油入機器については、微量のPCB混入を完全に否定できないことが判明しました。この状況を踏まえ、長期間にわたり、「1990年以降に製造された絶縁油入機器は安全」という判断が業界全体で一般的となっていました。
しかしニチコン株式会社は、より確実に安全を期すため、2022年4月1日に安全基準の見直しを実施しました。検証の結果、安全性が確認できる範囲は、「1990年以降」から「2004年4月以降」へと変更されました。
この基準変更の主な理由は、1990年から2004年3月までに製造された絶縁油入機器について、メーカーとして十分な調査・分析の実施が難しく、「微量PCB混入可能性を完全に否定できない」という慎重な判断に至ったためです。ニチコン株式会社は、現在もこの期間に製造された機器の分析結果を収集しています。
一方で、2004年4月以降に製造された絶縁油入機器に関しては、PCB分析を確実に実施しており、絶縁油中のPCBが不含有(0.5ppm以下)であることを確認・証明しています。なお、こうした安全判断の変遷は、国の法改正や業界の調査体制などの周辺状況の影響を受けたものであり、ほぼすべてのメーカーに共通して見られる動きとなっています。
環境省パンフレット「PCB含有の有無を判別する方法」(『ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて』P.4より)
2022年4月1日付で変更されたPCB含有無の判断基準(ニチコン株式会社の場合)
お客様のキュービクル内に設置されている変圧器や
コンデンサにも、PCBが含まれている可能性があります。
ぜひ、いま一度検査の実施をご検討ください。

PCB含有機器の破棄期限は、2027年(令和9年)3月31日まで
低濃度PCB廃棄物は、処分期間を過ぎると、事実上処分することができなくなります。
お問い合わせからPCB含有物処理までは、通常約6ヵ月から1年を要します。
ただし、これはお客様の社内稟議等が滞りなく進んだ場合を想定した期間であり、
2025年度末にはお問い合わせやご依頼が集中することが予想されます。
まずは今すぐ、「お問い合わせ」だけでもご検討いただくことをおすすめします。

実は、キュービクルに潜むリスクはPCBだけではありません。
耐用年数を超えたキュービクルそのものが、
事故や損害を引き起こす危険を抱えています。
日本国内での変圧器稼働台数、約386万台のうち、更新推奨時期の20年を超過している第一次判断基準以前の変圧器は約281万台、約73%を占めると言われています(2021年度時点)。お客様の管理している変圧器も耐用年数を過ぎているかもしれません。
日本国内変圧器の稼働年数別構成比(2021年度時点)
キュービクルとは、電気を高圧で受電するための機器一式を金属製の外箱に収めたもので、工場やオフィスビル、マンションなど高圧電力を使用する建物に設置されています。
経年劣化によりキュービクルが故障すると、周囲のビルや施設にも甚大な損害を及ぼす「波及事故」を引き起こすリスクがあります。1つの配電線は平均1,500軒注1に送電しており、お客様のキュービクルで事故が発生した場合、住宅・ビル・学校・病院・交通信号など、同じ配電線から送電されている多くの場所で停電が発生する恐れがあります。さらに、状況によっては多額の損害賠償を請求される可能性もあります。また、老朽化したキュービクルはエネルギーの消費効率が悪く、割高な電気料金を払い続けることになる場合があります。まずはご所有のキュービクルの耐用年数をただちに確認することを推奨します。
キュービクル内の高圧機器には寿命があります。築20年以上の建物に設置されたキュービクルは交換が必要と言われています。
突然の故障による全館停電で、操業停止や機会損失のリスク、近隣に長時間の停電を引き起こすリスクなどがあります。さらに、緊急の修理対応で費用が割高になる可能性があります。
初期費用など費用面が心配なお客様には、リース購入もご提案できます
リース契約の場合は、譲渡条件付きのリース注1となります。
例えば、300万円のキュービクルを9年でリース契約した場合、月々40,500円(税別)よりご利用いただけます。
リコーリースをご活用いただくメリット
資金調達
銀行融資枠を確保しつつ、設備投資の購入資金をリースの活用でまかなうことができます。
動産総合保険
火災や水害などで破損した場合は、動産総合保険が適用されます。
《リース契約等に関するご注意点》
その他、割賦・支払委託契約による導入も可能です。
詳しくは、リコージャパン営業担当までお問い合わせください。
リコージャパンはきめ細やかなサポートで、お客様が抱える些細な不安も払拭します。
販売、施工、その後のサポートまでワンストップで提供しています。
導入後のメンテナンスも対応。
万が一のトラブルにも
対応いたします。
簡単なヒアリングシートをもとに、キュービクルの導入や交換についてご相談できます。
全国349注1の拠点できめ細やかな
サポート。提案から納入まで
ワンストップで対応いたします。
リコージャパンは建設業許可を持つ電気工事会社ですので、
キュービクル内のすべての機器に対応できます。
PCB検査等で含有の有無を確認の上、PCB特措法を遵守し適切に対応いたします。
低濃度PCBの汚染の可能性があり、濃度測定および分析が必要な機器例
古いコンデンサなど
(絶縁油封じ切り機器の場合)
古い変圧器など
(絶縁油採取可能な機器の場合)
Aキュービクルは受注生産品となっており、お客様の仕様によって異なります。工事方法と合わせて現地状況を確認の上、費用を算出させていただきます。
A現在、小規模施設向けのPF・S形で3ヵ月程、より大規模な施設向けのVCB形で6ヵ月程必要となります。
A全館停電となりますので、サーバーの事前停止や冷蔵庫内の確認等、停電しても問題ないようご準備ください。
A対応できます。
A対応できます。その他にPAS(Pole Air Switch)やUGS(Underground Gas Switch)およびUAS(Underground Air Switch)の設置工事等も対応しております。
A処分期限を過ぎたものに関しては、判明次第すぐに行政への連絡が必要です。行政からの指示があるまで保管をお願いいたします。
ご質問・お問い合わせはこちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。