AWS™移行とは?|オンプレミスからクラウドへの移行手順や注意点を解説

AWS™移行とは?|オンプレミスからクラウドへの移行手順や注意点を解説

オンプレミス環境の限界を感じ、クラウド移行を検討中の方のなかには「具体的な移行方法がわからない」「コストやリスクについて知っておきたい」と考えている方もいるでしょう。

初めてクラウド移行を検討しているのであれば、Amazon Web Services™(以下、AWS™)への移行は、コストや方法に不安を感じるかもしれません。

そこで本記事では、AWS™移行の重要性、具体的な手順、費用について詳しく解説します。

最後まで読んでいただければ、AWS™への移行について理解し、AWS™移行後の最適化と運用方法についても把握できます。

目次

AWS™移行の重要性

サーバーをオンプレミスで構築する場合、企業にとってはいくつかの課題が生じます。ここでは、オンプレミス環境の課題とクラウドへ移行する背景や目的について、解説します。

オンプレミス環境の課題

オンプレミス環境には、以下のようにいくつかの課題があります。

  • コストの高さ
  • 拡張性の低さ
  • 運用管理の負担

オンプレミスで構築する場合、サーバーやネットワーク機器の購入、設置場所の確保、電力や冷却設備の維持など、初期投資と運用コストに多額の費用がかかります。

また、拡張性が低いことで需要の変動に応じた柔軟なリソース調整が難しく、ピーク時に備えた設備投資が過剰になってしまうケースもあります。

さらに、日々の運用管理や障害対応に多くの人的リソースを割く必要があり、本来のビジネスに集中しにくくなる傾向があります。

クラウドに移行する背景や目的

クラウドへの移行を検討する企業には、以下のようにいくつかの共通した目的があります。

  • クラウド移行により、初期投資や保守コストが削減したい
  • 需要に応じて柔軟にリソースを拡張したい
  • 保守・運用のリソースを削減し、コアビジネスに集中したい

AWS™のようなクラウドサービスを活用することで、自社が抱えている課題を効果的に解決したいという目的が、企業がクラウド移行を検討している背景です。

AWS™移行のメリット

AWS™移行の主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。

  • 俊敏性と柔軟性の向上
  • コストの最適化
  • 災害対策とビジネス継続性

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

俊敏性と柔軟性の向上

AWS™には300以上(※2024年7月時点)のサービスが提供されているため、適切なサービスを選択することで、ビジネスの俊敏性と柔軟性が大幅に向上します。

オンプレミス環境ではシステムの構築に時間を要しますが、AWS™を活用することで大幅な時間短縮が可能です。

また、需要の変動に応じて簡単にリソースを増減できるため、ピーク時にも安定したサービスを提供できます。さらに、クラウド移行することで世界中からアクセスできるようになるため、グローバル展開も容易になります。

システムの俊敏性と柔軟性が向上することは、急速に変化するビジネス環境において大きな競争力となるでしょう。

コストの最適化

AWS™は使用した分だけ支払う従量課金制のため、初期投資を抑えられます。また、オンプレミス環境とは異なり、AWS™移行すれば必要なときだけリソースを増減できるため、無駄なコストを抑えられます。

システム構築・運用のコストを最適化することは、企業の収益性アップや継続的経営のために必要不可欠です。

災害対策とビジネス継続性

AWS™は世界中にデータセンターを設置しているため、サーバーを複数箇所に設置することで災害時のシステムダウンによる損失が防げます。

また、AWS™のバックアップサービスを利用すれば、データの定期的なバックアップと迅速な復旧が可能です。

さらに、災害復旧サービスを活用すると、災害時の代替システムをすぐに立ち上げられるため、ダウンタイムを最小限に抑えられます。

災害時のダウンタイムが少なければ、利益損失も最小限に抑えられ、顧客からの信頼性向上にもつながります。

AWS™への移行の手順

AWS™への移行を成功させるには、計画的なアプローチが重要です。ここでは、移行の7つの主要なステップについて説明します。

  • 1. 目的を明確にする
  • 2. 現行システムの評価
  • 3. 移行計画の策定
  • 4. サービス構成の決定
  • 5. コストシミュレーション
  • 6. テスト移行の実施
  • 7. 本番環境への移行

それぞれの移行手順について詳しく解説します。

1. 目的を明確にする

まず、AWS™移行の目的とゴールを明確にします。

例えば、コスト削減、サービスの拡張、運用効率の向上といった、具体的な目標を設定しましょう。設定した目的に基づいて、ゴールやKPIなどについてまとめておくことをおすすめします。

また、AWS™移行をスムーズに進めるためには、移行の目的を経営陣や関係部署に共有し、合意形成を行うことも重要です。

2. 現行システムの評価

次に、現在のオンプレミス環境の構成と機能を詳細に洗い出します。

例えば、使用しているサーバー、ストレージ、ネットワーク機器、アプリケーションなどを棚卸しし、それぞれの必要な機能や強化したい機能を把握します。

また、データ量やトラフィックパターンなども確認しておきましょう。

現行システムの評価を行い必要な構成を考えることで、AWS™移行で実現したい内容をスムーズに構築・運用できます。

3. 移行計画の策定

現行システムの評価結果をもとに、具体的な移行計画を策定します。

具体的には、どのシステムやアプリケーションから移行するか、段階的に行うか一括で行うかなどを決定します。また、セキュリティ要件やコンプライアンス要件も、策定段階で考慮に入れましょう。

移行によって得られるメリットや改善点を明確にし、具体的なKPIを設定することも重要です。事前に綿密な計画を立てることで、オンプレミスからAWS™環境へのスムーズな移行が可能になります。

4. サービス構成の決定

AWS™では300以上のサービス(※2024年7月時点)が提供されているため、現行システムの評価で把握した強化したい機能や必須機能などをもとに、必要なサービスを決定します。

また、ネットワーク構成やセキュリティグループの設定なども検討することをおすすめします。

サービスの変更は移行後にも可能ですが、大きな負荷がかかってしまったり一時的なシステムダウンの可能性も考えられるため、事前に綿密な計画をしておくことが重要です。

5. コストシミュレーション

決定したサービス構成に基づいて、AWS™移行時に初期費用や運用に伴うコストをシミュレーションします。

AWS™の料金計算ツールを使用すれば、予想される月額費用を算出できます。また、リザーブドインスタンスやSavings Plansといった一定期間低単価で利用できるサービスも提供されているため、自社に合っている方法を検討しましょう。

少しでもコストを抑えたいのであれば、必ず必要なサービスと、そうではないサービスを明確に分けて選定することをおすすめします。

6. テスト移行の実施

本番環境への移行前に、テスト環境でサンプルデータを使った移行テストを行います。

移行テストでは主に、データの整合性やアプリケーションの動作確認、パフォーマンステストなどを実施します。

問題が発見された場合は修正を行い、運用手順の確認や障害時の対応についても検討しておくと良いでしょう。テスト移行を行うことで、本番移行時のリスクを最小限に抑えられます。

7. 本番環境への移行

最後に、データ移行ツールを使用して、既存のデータをAWS™に移行します。

アプリケーションの設定変更やDNS(Domain Name System)の切り替えなども行います。移行作業は、可能な限りダウンタイムを最小限に抑えるよう計画しましょう。

移行完了後はシステムの動作確認を徹底的に行い、問題がなければ本格的な運用を開始します。

AWS™の移行ツール紹介

AWS™への移行をスムーズに行うために、様々な移行ツールが用意されています。ここでは、5つの主要な移行ツールについて詳しく見ていきましょう。

移行ツール ツールの内容
AWS Migration Hub™ 管理・準備
AWS Application Discovery Service™
AWS Application Migration Service™ サーバー・データベースへの移行
AWS Snow ファミリー™ クラウドへのデータ転送
AWS DataSync™

それぞれの移行ツールについて詳しく解説します。

AWS Migration Hub™

AWS Migration Hub™は、移行プロジェクトの進捗状況を一元的に管理できるツールです。

複数のアプリケーションの移行状況を可視化し、計画から実行までの全プロセスを追跡できます。

AWS Migration Hub™を使用することで、プロジェクト管理者は移行の進捗を正確に把握し、必要に応じて迅速に対応できます。

また、他のAWS™移行ツールと連携することで、効率的な移行作業が可能です。

AWS Application Discovery Service™

AWS Application Discovery Service™は、オンプレミス環境のシステム情報を収集するためのツールです。

サーバーの構成、使用状況、依存関係などの詳細な情報を自動的に収集し、分析します。

AWS Application Discovery Service™を利用することで、現在の環境を正確に把握し、適切な移行計画を立てられます。

また、収集したデータはAWS Migration Hub™と連携して、移行計画の策定や進捗管理にも活用できる点も本ツールの特徴です。

AWS Application Migration Service™

AWS Application Migration Service™は、サーバーやデータベースの移行を支援するツールです。

移行元のサーバーにエージェントをインストールし、クラウド上にデータの複製を作成することで、スムーズな移行を実現します。

AWS Application Migration Service™は、稼働中のシステムを最小限のダウンタイムで移行できる点が特徴です。

また、様々なOSやデータベースに対応しているため、幅広いシステムの移行に活用できます。

AWS Snow ファミリー™

AWS Snow ファミリー™は、大容量のデータをAWS™クラウドに転送するための専用デバイスです。

ネットワーク経由ではなく、専用媒体を輸送することでデータを転送するため、大量のデータを短時間で移行したい場合や、ネットワーク帯域に制限がある環境で特に有効です。

AWS Snow ファミリー™には、容量や用途に応じて複数の種類があり、ニーズに合わせて選択できます。

AWS DataSync

AWS DataSyncは、ネットワーク経由でのデータ転送を自動化するオンラインサービスです。

オンプレミスとクラウド間のデータ同期や、クラウド上の異なるストレージ間のデータ転送に利用可能です。

AWS DataSyncは高速でのデータ転送が可能で、転送プロセスの自動化によって運用負荷を軽減できます。

また、転送データの整合性チェックも自動で行われるため、信頼性の高いデータ移行が実現します。

AWS™移行時の費用について

AWS™移行時の費用は、主に初期費用と運用費用の2つに分類されます。

初期費用には以下のようなものが含まれます。

  • イニシャルコスト: 初期契約費用、初期設定費用など
  • システムインテグレーションコスト: 要件定義、設計、テストなどの費用

運用費用は主に以下の要素で構成されます。

  • コンピューティングリソース使用料
  • ストレージ使用料
  • データ転送料
  • 管理ツール使用料

AWS™の特徴として初期費用や運用費用は従量課金制なため、使用した分だけ支払う形式です。

ただし、プロジェクトの規模や内容によって費用は大きく異なるため、具体的な見積もりが必要な場合は、AWS™の認定パートナーに相談することをおすすめします。

まとめ

オンプレミス環境からAWS™への移行は、多くの企業にとって大きなメリットをもたらす一方で、複雑で専門的な知識が必要です。

自社だけで移行を進めようとすると、予期せぬ問題や遅延、コスト超過などのリスクに直面する可能性があります。

そのため、AWS™移行のような大規模なプロジェクトは、経験豊富な専門家に任せることが賢明です。

オンプレミス環境からAWS™への移行をお考えの企業様はリコーが提供する「リコー デザイン/マネージドサービス for AWS™」の利用をご検討ください。

「リコー デザイン/マネージドサービス for AWS™」はAWS™の構築から運用支援までトータルサポートするサービスです。

専門知識がなくても面倒なサイジング不要で、すぐにAWS™を活用できるパッケージを用意しているため、ぜひチェックしてみてください。

リコー デザイン/マネージドサービス for AWS™ | リコー

PAGE TOP