Amazon Web Services™(以下、AWS™)の導入を決定したものの、「運用保守の内製化は難しい」と感じているIT人材管理者の方もいるでしょう。
実は、多くの企業が、AWS™運用保守における、専門知識の不足や人員確保の難しさに直面しています。
本記事では、AWS™運用保守の重要性から具体的な内容、アウトソーシングのメリット・デメリットまで詳しく解説します。
最後まで読んでいただければ、適切な運用保守方法を知ることができ、AWS™運用におけるコスト削減やセキュリティ強化を実現できます。
目次
AWS™導入後も適切な運用保守を行うことは、システムを安定稼働させるために不可欠です。
仮に適切な運用保守を行っていないと、以下のようなリスクが発生する可能性があります。
上記のリスクを最小限に抑えてAWS™を活用するためには、専門的な知識と経験に基づいた運用保守をする必要があります。ここでは、運用保守の重要性を理解していただくために、それぞれの懸念点について詳しく解説します。
AWS™は高可用性と高耐久性を備えたインフラ基盤を提供していますが、システム運用に不備があると障害が発生する可能性があります。
例えば、セキュリティグループの設定ミスやインスタンスの設定不備などが原因で、システムダウンやパフォーマンス低下のリスクが発生します。
設定ミスが無いかのチェックも含め、適切な運用保守を行うことで、安定したシステム運用の実現が可能です。
AWS™環境におけるセキュリティリスクには、不正アクセス、データ漏洩、マルウェア感染などがあります。それぞれの具体的なリスクを以下にまとめています。
リスク | 内容 |
---|---|
不正アクセス | パスワードの漏洩や脆弱性を悪用した攻撃によって、システムに不正にアクセスされる可能性 |
データ漏洩 | データ暗号化やアクセス制御の設定が不十分な場合、重要なデータが漏洩する可能性 |
マルウェア感染 | マルウェアに感染したインスタンスを放置していると、他のインスタンスにも感染が広がる可能性 |
AWS™の運用保守におけるセキュリティリスクの管理は、企業の信頼性とビジネスの継続性を確保するために重要な項目です。
AWS™は従量課金制を採用しており、利用した分だけ料金が発生します。適切な運用を行わなければ、以下のように無駄なコストが発生する可能性があります。
AWS™運用保守は無駄な支出を防ぎ、リソースを効率的に活用するためにも必要不可欠です。
AWS™運用保守の具体的な内容は、主に以下の3つが挙げられます。
それぞれの運用保守内容について詳しく解説します。
監視システムを利用して、24時間365日体制でサーバーの監視を行います。
具体的には、インスタンスの稼働状況を確認する「死活監視」、CPUやメモリの使用率を監視する「リソース監視」が挙げられます。
Amazon CloudWatch™といったAWS™の監視ツールや、サードパーティ製の監視ツールを活用することで、問題の早期発見と迅速な対応が可能です。
AWS™内のデータの損失を防ぎ、障害発生時にはデータが復元できるように、定期的なバックアップが重要です。
適切にバックアップされていない場合、システムが数日〜数週間止まる懸念や、データが復元できなくなるリスクが生じます。その結果、顧客の信頼失墜や、問題解決に必要なコストがかかるといった損失が生まれてしまいます。
適切なバックアップを実施することは、AWS™の安定した運用に必要不可欠です。また、複数のリージョン(データを保存する独立したエリア)にバックアップを保存することで、災害時のリスク分散も図れます。
基本的なセキュリティ対策は自社で行う必要があるため、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを抑えるために適切な対策が重要です。
AWS™のセキュリティ対応には、アクセス制御、暗号化、脆弱性管理などが含まれます。
ログの分析ができるAmazon GuardDuty®などのセキュリティサービスを活用することで、高度で迅速な脅威検知と防御が可能になります。
AWS™の監視・運用をアウトソーシングする際のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
それぞれのメリットを詳しく解説します。
AWS™の監視・運用をアウトソーシングすることで、専門的な知識と豊富な経験を持つ外部の専門家を活用できます。
AWS™の技術は日々進化しており、最新の機能や適切な運用方法を常に把握するのは簡単ではありません。専門家に任せることで、最新のベストプラクティスに基づいた効率的な運用が可能になります。
また、複雑な問題が発生した際も、豊富な経験を持つ専門家が迅速に対応できるため、システムの安定性が向上します。
AWS™の運用保守をアウトソーシングすることで、社内で運用するよりもコスト効率が良くなる可能性があります。仮に、専門の運用チームを社内で維持するには、人材の採用や育成、ツールの導入など多くのコストがかかるでしょう。
一方、アウトソーシングすれば、自社の人材育成にかかるコストを抑えられ、請求代行サービスを利用することでAWS™利用料の割引を受けられるケースもあります。
また、専門家による効率的な運用により、AWS™リソースを最適化できるためクラウド利用料金の削減にもつながります。
アウトソーシング企業は24時間365日の監視体制を整えていることが多く、システムの異常を即座に検知し対応できます。AWS™を常時監視できる体制を活用することで、システムのダウンタイムを最小限に抑えられます。
また、定期的なメンテナンスや予防的な対策も行うため、障害の発生リスク自体を低減することにもつながるでしょう。障害対応を適切に行うことが、結果としてビジネスの継続性が向上や、顧客満足度の維持にもつながります。
AWS™の監視・運用をアウトソーシングする際のデメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
それぞれのデメリットを解説します。
AWS™の監視・運用を外部に依存することで、社内でのノウハウ蓄積が難しくなる可能性があります。特に、システムの構成や運用方法に関する詳細な知識が、社内に残りにくくなる点がデメリットです。
そのため、将来的に内製化を検討する際や急な障害対応が必要な場合に、社内のリソースだけでは対応が難しくなる恐れがあります。
また、ビジネスの変化に応じて迅速にシステムを変更したい場合も、外部への依存度が高いと柔軟な対応が難しくなる可能性があります。
外部の企業にAWS™の運用保守を委託することで、自社の重要な情報やデータにアクセスする権限を与えることになります。そのため、情報セキュリティの観点から、情報漏洩のリスクが高まります。
特に、顧客データや機密性の高い社内情報を扱う場合は、セキュリティ対策や情報管理体制を十分に確認してアウトソーシング先を選定することが重要です。
アウトソーシング先の選定時には、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
アウトソーシング先を選ぶ際は、AWS™運用保守の実績の確認が重要です。
具体的には、AWS™認定資格を持つエンジニアの数や、過去に手がけたプロジェクトの規模と成功事例を確認することをおすすめします。
また、自社と同じ業界や同様のシステム運用経験があるかどうかも重要なポイントです。過去に発生した障害やその際の対応方法についても問い合わせると、信頼できるかが判断しやすいでしょう。
アウトソーシング先の選定では、自社の予算に合ったサービスを提供しているか確認しましょう。
運用保守のサービス内容や料金体系は企業によって異なるため、必要な機能と予算のバランスを考慮しながら比較検討する必要があります。
また、契約期間や料金体系(固定制か従量制か)なども確認し、長期的な視点で予算と合っているかの判断が必要です。
アウトソーシング先のセキュリティ対策と信頼性は非常に重要です。データの取り扱いにおいて適切なセキュリティ対策が講じられているか確認しておくことをおすすめします。
信頼性の面では、企業の財務状況や業界での評判、顧客からの評価なども参考にしながら、総合的に判断することが大切です。
AWS™運用保守の費用相場は、一般的に月額2万円から10万円程度と言われていますが、実際の費用は多岐にわたる諸条件によって大きく変動することには留意しておく必要があります。
また、AWS™運用保守の費用を抑えるためには、以下の点に注意する必要があります。
例えば、自社でできる作業は内製化し、専門性の高い部分のみをアウトソーシングするなど、バランスを考慮することも重要です。
AWS™運用保守は、クラウドシステムの安定的な稼働と効率的な運用に不可欠です。適切な運用保守を行うことで、設定ミスによる障害やセキュリティリスクを防げます。また、アウトソーシングを活用することで、専門知識の活用やコスト削減、迅速な障害対応などのメリットが得られます。
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