クラウドファイルサーバー構築ガイド|手順やコスト最適化のコツを解説

クラウドファイルサーバー構築ガイド|手順やコスト最適化のコツを解説

「オンプレミスからクラウド移行したいが、何から始めるべきかわからない」

企業の経営者やIT部門の担当者の中にはこのような疑問をお持ちの方もいるでしょう。

クラウドファイルサーバーの構築では、構築目的を明確にし自社にとって適切なサーバー選定が重要です。しかし、手順が複雑で理解しにくいのも事実です。

そこで本記事では、クラウドファイルサーバーを構築する前に必要な準備や具体的な手順について詳しく解説します。

クラウドファイルサーバー導入後に必要な運用管理についても紹介するので、最後まで読めば構築から運用までの具体的なイメージを持てるでしょう。

目次

クラウドファイルサーバーの仕組み

クラウドファイルサーバーを構築するにあたって、まずその仕組みと概要を理解しておく必要があります。クラウドファイルサーバーとは、インターネットを通じて利用可能な仮想サーバーのことです。

クラウドファイルサーバーと従来のオンプレミスサーバーとの違いを以下の表にまとめました。

特徴 オンプレミスサーバー クラウドファイルサーバー
物理的構造 専用ハードウェアを自社所有・管理 仮想化技術を用いた共有インフラ上でのリソース割り当て
リソース管理 固定的なリソース配分 柔軟なスケーリングが可能(垂直・水平)
ストレージシステム 物理的なストレージデバイス 分散ストレージシステム、オブジェクトストレージなど
セキュリティ機能 物理的セキュリティと自社管理のセキュリティ対策 プロバイダー提供の高度なセキュリティ
パフォーマンスモニタリング 独自のモニタリングツールが必要 プロバイダー提供の統合モニタリングツール
コスト構造 大規模な初期投資と固定的な運用コスト 従量課金制と柔軟なコスト管理

オンプレミスサーバーと比較すると、クラウドファイルサーバーは初期投資が少なく、運用コストの削減が可能です。

また、クラウドファイルサーバーは必要なリソースを迅速に拡張・縮小できるため、事業の変動にも柔軟に対応できます。

例えば、事業拡大やアクセス数増加に伴い、サーバー環境の拡張が求められる際に、クラウドファイルサーバーは短い時間で対応できるため、ビジネスチャンスを逃しません。

クラウドファイルサーバー構築前の準備

クラウドファイルサーバーを構築する前には、以下のような準備が必要です。

  1. 構築者の決定
  2. 構築時期の決定
  3. 構築サーバーの決定

それぞれどのような準備が必要なのか詳しく解説します。

構築者の決定

まず、クラウドファイルサーバーを自社で構築するか、アウトソーシングするかを決定します。

自社にITエンジニアがいる場合は、自社構築も一つの選択肢です。

しかし、初めてクラウドファイルサーバーを構築する場合や、自社に専門知識が不足している場合は、アウトソーシングすることが推奨されます。

アウトソーシングすることで、専門家のサポートを受けながら、安全かつ効率的に構築を進めることが可能です。

構築時期の決定

次に、クラウドファイルサーバーの構築・導入時期を決定します。

サーバーの選定から構築作業までには時間がかかるため、少なくとも半年程度の期間を見積もる必要があります。

具体的なプロジェクトスケジュールを立て、余裕をもって計画を進めることが重要です。

特に、大規模なシステム移行や新規プロジェクトにおいては、計画的なスケジュール管理が重要となります。

構築サーバーの決定

最後に、どのクラウドファイルサーバーを導入するかを決定します。

主要なクラウドファイルサーバーとして、以下の3つがあります。

  • Amazon Web Services™(AWS™)
  • Microsoft Azure
  • Google Cloud™

各クラウドファイルサーバーの特徴を以下の表にまとめています。

特徴 AWS™ Microsoft Azure Google Cloud™
市場シェア 1位(約32%) 2位(約22%) 3位(約10%)
強み ・最も包括的なサービス
・高い信頼性と安定性
・豊富な導入実績
・Microsoftツールとの統合
・ハイブリッドクラウドの強み
・エンタープライズ向け機能
・データ分析とAI/ML
・オープンソース技術
・ネットワークの速さ
料金体系 従量課金制
(1秒単位)
従量課金制
(1分単位)
従量課金制
(1秒単位)
グローバル展開 33リージョン 60以上のリージョン 40リージョン
主な顧客層 幅広い業種・規模 ・エンタープライズ
・Microsoft製品ユーザー
・スタートアップ
・テクノロジー企業
特徴的なサービス ・Amazon EC2®
・Amazon S3
・AWS Lambda™
・Azure Virtual Machines
・Azure Active Directory
・Azure DevOps
・Google Compute Engine™
・BigQuery®
・Kubernetes Engine

出典:Worldwide cloud service spending to grow by 20% in 2024

料金だけではなく、サービスの信頼性や容量、スペック面も踏まえて選定することをおすすめします。

他のクラウドファイルサーバーについて知りたい方は「【最新版】主要クラウドファイルサーバー比較|料金や特徴・選び方を解説」をご覧ください。

一般的なクラウドファイルサーバー構築の手順

一般的なクラウドファイルサーバーを構築する手順は以下の通りです。

  • STEP1:構築目的を設定する
  • STEP2:ネットワーク構成図を作成する
  • STEP3:必要なリソースを確認する
  • STEP4:リソースの作成と設定
  • STEP5:サーバーを構築する

それぞれの手順について詳しく解説します。

STEP1:構築目的を設定する

事業における具体的な目的を理解し、目的に応じたクラウドファイルサーバーを選定します。

例えば、オンプレミスサーバーの運用コストの削減、事業拡大に伴う柔軟なリソース管理、新規プロジェクトの迅速な立ち上げなどの目的が考えられます。

構築目的に応じて必要な機能やスペックが変わってくるため、具体的なニーズを洗い出しておくことが重要です。

STEP2:ネットワーク構成図を作成する

次に、クラウドファイルサーバーのネットワーク構成図を作成します。

ネットワーク構成図は、サーバー、ネットワーク機器、接続方法などを視覚的に表したものです。

具体的には、サーバーに接続する機器の数、やり取りする情報の種類、データの流れなどを詳細に描き出します。

STEP3:必要なリソースを確認する

クラウドファイルサーバーを導入する目的や、ネットワーク構成図に基づいて、必要なリソースを確認します。

主なリソースには「CPU」「メモリ」「ストレージ」の3つがあります。

クラウドファイルサーバーは必要に応じたリソースの増減は容易ですが、運用コストに関わるので構築前にある程度設計しておくことが重要です。

STEP4:リソースの作成と設定

リソースの確認が終わったら、次はリソースの作成と設定を行います。

具体的には、仮想マシンの作成、ネットワーク構成の設定、ストレージの割り当て、セキュリティグループの設定などが含まれます。

ネットワーク構成図を確認しながら、各設定を進めましょう。

STEP5:サーバーを構築する

最後に、サーバーを構築します。

選択したOSやアプリケーションのインストール、必要なパッケージや設定の実施、セキュリティポリシーやアクセス権の設定などを行います。

すべての設定が完了したら、サーバーにログインして起動し、正常に動作することを確認しましょう。

問題なければ、クラウドファイルサーバーの運用が開始できます。

クラウドファイルサーバー導入後に注意すべき運用管理

クラウドファイルサーバーの構築が完了した後は、以下の点に注意しながら運用管理を行っていく必要があります

  • 定期的なバックアップの取得
  • モニタリングとパフォーマンス管理
  • 継続的なセキュリティ対策

それぞれの注意点について詳しく解説します。

定期的なバックアップの取得

定期的なバックアップは、データの紛失や障害から迅速に復旧するために必要です。

例えば、AWS™では、AWS Backupというサービスを利用することで、様々なAWS™リソースを一元的にバックアップできます。バックアップスケジュール設定や、復元の自動化も可能なので、手間なく安全にデータを保護できます。

他にも、初期費用がかからないため低コストで利用可能である 点や、操作が簡単であるといった特徴があります。

モニタリングとパフォーマンス管理

クラウドファイルサーバーの安定した運用を維持するためには、継続的なモニタリングとパフォーマンス管理が必要です。

例えば、AWS™では、Amazon CloudWatch™を使用してリソースの監視とパフォーマンス管理を行います。

Amazon CloudWatch™では、サーバーのCPU使用率、メモリ使用量、ネットワークトラフィックなどをリアルタイムで監視できます。また、アラームを設定することで、異常が発生した場合に自動的に通知を受け取ることが可能です。

モニタリングとパフォーマンス管理を適切に実施することで、トラブル時のサーバーのダウンタイムを最小限に抑え、安定した運用につながります。

継続的なセキュリティ対策

クラウド環境は、常にセキュリティリスクにさらされているため、継続的なセキュリティ対策が重要です。

例えば、AWS™では、Amazon GuardDuty®を使うことで、機械学習を活用した高度なセキュリティ監視が可能です。

APIコールや通信ログを監視して、不正アクセスや悪意のあるソフトウェアの活動などを検知します。

さらに、AWS Identity and Access Management(IAM)を使用することで、AWS™システム上のユーザーIDやリソースを、安全に一括管理することが可能です。

アクセス権限を必要最低限に設定することで、セキュリティ強化につながります。

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クラウドファイルサーバーのスムーズな構築には、事前の計画と自社の目的に合ったツールの選定が重要です。

構築後は安定した運用管理を実施するために、バックアップの取得やモニタリングを行う必要があります。

AWS™は、300以上の豊富なサービスを提供しているため、運用管理もスムーズに進められます。

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