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リモート点検とは?概要や導入するメリット・デメリット、代表的な利用シーンをご紹介します!

画像:リモート点検とは?概要や導入するメリット・デメリット、代表的な利用シーンをご紹介します!

リモート点検の導入により、点検業務の省人化やトラブル対応の迅速化などのメリットがあります。ただし、運用にあたっては、セキュリティ問題や通信環境整備の課題があります。

本記事では、リモート点検の概要や導入するメリット、導入における注意点を解説します。また、おすすめの利用シーンについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

リモート点検とは?

リモート点検とは、設備や機器の状態を遠隔地から点検する手法です。

これまでは、設備点検・メンテナンスを実施する際、作業員が直接現場に足を運ぶ必要がありました。しかし技術の進化により、近年ではリモート点検の導入も進んできております。

幅広い業種でリモート点検が求められている理由

リモート点検は、さまざまな事業でその価値が認識されつつあります。

新型コロナウイルスの影響や働き方改革によって、リモートワークの重要性が高まりました。メンテナンス作業においても、この流れは例外ではありません。リモート点検の導入によって、人の移動や集まりを減らすことで、感染症のリスクを軽減することが可能になります。

また、ビジネスのIT化が進んでいることもリモート点検の価値が認識されている要素の1つです。製造業からサービス産業まで、工場の自動制御システムや建設作業の作業状況をリモートで監視できるようになることで、突発的なトラブルにも迅速に対応できるようになります。

リモート点検でできること・できないこと

リモート点検の技術躍進により、機器や設備の稼働状況や作業現場の遠隔監視が可能となり、機器の動作状態や現場の状況を確認できるようになりました。

たとえば、障害が発生した場合でも、システムのログを取得して異常原因の特定から、機器制御などの対応までおこなえるようになります。

ただしリモート点検では、部品交換などの物理的な修理対応はできません。導入する場合は、リモート点検でできること、できないことを正しく認識しておく必要があると言えます。

リモート点検の主な手法

リモート点検の手法は、工事現場や製造現場の状況把握やトラブルシューティングを効率的に行うための手法を提供しています。主に以下の3つの手法があります。

  • 遠隔監視:
    作業者にウェアラブルカメラを装着させ、遠隔地から作業状況や点検内容について監視できる。これにより、現場監督者が遠隔で複数の現場を並行して監視することが可能。
  • 試験プログラムの遠隔実行:
    特定の試験プログラムを用いて、機器の動作を検証する。この手法は、通常の運用とは異なる条件下での機器の動作を確認したい際に有効。遠隔から実行することで、特定の行動や問題点を随時観察できる。
  • 遠隔でのソフトウェア更新:
    機器のソフトウェアを更新するため、更新プログラムを遠隔から送信し、ソフトウェアの更新が可能。これにより、機器の機能追加やバグの修正を遠隔で操作できる。

これらの手法は、工事現場や製造現場での運用の効率化と安全性の向上に貢献しています。

リモート点検を導入する3つのメリット

次はリモート点検を導入するメリットについて紹介します。

  • トラブル対応の迅速化につながる
  • 点検業務の省人化につながる
  • 作業者の安全を確保できる

それぞれの内容についてみていきましょう。

1.トラブル対応の迅速化につながる

リモート点検を現場に導入するメリットとして、トラブル対応が迅速にできる点が挙げられます。リモート点検を導入することで、現場監督者もしくは作業員を現地に派遣するまでのタイムラグがなくなります。

さらに、機器の各種データやパラメータを事前に分析すれば、故障の具体的な箇所や原因の把握が可能です。リモートでの事前診断により、作業員が現場に向かう前に必要なツールや部品の準備が可能です。

また、離れた場所から熟練者が対応方法について指示できます。その結果、到着後すぐに修理やメンテナンス作業に取りかかれるため、トラブル対応の速度も上がります。

2.点検業務の省人化につながる

リモート点検の導入により、点検業務の省人化が図れます。従来、点検やメンテナンスのためには、作業員が物理的に現場へ向かう必要がありました。

しかし、リモート点検を導入することで、オフィスや自宅から状況を確認することが可能となります。また、多数の機器状態を一度に把握することや、複数の現場を並行して監視できるため、一人の作業員がカバーできる範囲も広がります。

3.作業者の安全を確保できる

インフラ設備の点検における作業者の安全確保は、リモート点検の導入によって大きく前進しています。とくに、大規模なインフラ設備に関しては、作業員が現地対応をおこなう負担が大きくなるという課題がありました。

しかし、リモート点検の技術の進化により、監視カメラやドローンを活用して、リスクを最小限に抑えながら効率的に設備の状態を確認できるようになっています。このような技術の導入により、作業員は安全な場所からの点検ができるため、事故リスクも大幅に軽減させられます。

リモート点検を導入する際の注意点は3つ

続いて、リモート点検の注意点について紹介します。主な注意点は次の3つです。

  • 安定した通信環境が必要になる
  • セキュリティ対策が必要になる
  • 物理的な修理には対応できない

1.安定した通信環境が必要になる

工事現場などの特定の場所では、一般的な通信環境と異なる場合が多く、信号の弱いエリアや通信障害が頻繁に発生するエリアもあります。

不安定な通信環境では、点検精度も低下します。このようなリスクを回避するため、通信環境の事前調査や、適切な通信機器の検討が不可欠です。

また、工事現場の状況や規模に応じて、通信インフラの設置や更新が求められる場合もあります。安定した通信環境の確保は、リモート点検の効果を最大限に引き出すための基盤となる要素です。

2.セキュリティ対策が必要になる

リモート点検を工事現場で導入する際、効率と便益を追求するだけでなく、セキュリティ対策も必要です。通信が不正に傍受され、機器をハッキングされてしまうようなことがあった場合、企業にとって計り知れないダメージを負うことになります。

とくに、工事現場のような環境では、不正アクセスによるリモート操作が生命にも影響を与える可能性があり、慎重な対応が求められます。そのため、専門家やセキュリティ会社と連携し、最新のセキュリティ技術を採用するのも1つの方法です。

また、セキュリティは一度設定すれば終わりではなく、定期的なアップデートや点検が事前に必要です。これらの継続的な管理計画がリモート点検の成功につながります。

3.物理的な修理には対応できない

リモート点検を導入しても、物理的な部品の交換や機械の手直し、施工のやり直しといったトラブルは、現場で直接対応する必要があります。そのため、機器に故障が発生した場合、はじめにリモート点検でその原因を診断し、その後に現場の作業員に具体的な修理手順や対応を伝えるというフローが考えられます。

この点を踏まえて、リモート点検を導入する際は十分な研修や説明を行い、作業員が現場で解決する可能性のある課題を把握しておくことが、スムーズな運営のために重要です。

リモート点検の代表的な利用シーン

リモート点検の注意点について理解できたところで、次はリモート点検の代表的な利用シーンを紹介します。主な利用シーンは次の4つです。

  • 工事現場の遠隔臨場
  • 産業用ロボットの保守・修理
  • 空調設備の監視・点検
  • UAVによる橋梁の点検

それぞれ解説します。

工事現場の遠隔臨場

遠隔臨場技術は、工事現場における作業の確認や検査業務を効率化します。作業員が装着するウェアラブルカメラや現場に設置されるネットワークカメラを活用し、瞬時に映像共有が可能になりました。

たとえば、特定の材料の確認作業をする場合、発注者は遠く離れた場所からでも、ウェアラブルカメラで撮影した映像で材料の確認ができます。

このような方法は、発注者の移動時間やコストを削減するだけでなく、作業の進行をスムーズに行うために有効です。

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産業用ロボットの保守・修理

産業用ロボットは、製造業や組み立てラインでの重要な役割を担います。そのため、これらのロボットの故障は、生産ラインの停止や生産遅延などの問題につながります。

これまで、産業用ロボットが故障した際は、作業者が修理担当者に連絡し、修理担当者が現場にて修理するのが一般的でした。しかし、リモート点検が導入されることで、故障発生時の対応が改善され、設備のダウンタイムの削減や生産性の向上が実現されています。

空調設備の監視・点検

建物の適切な温度と湿度を保つための空調設備は、快適な環境を維持するための重要な役割を果たします。

これらの空調設備においても、最新のリモート点検技術を利用することで、空調設備の監視や点検作業が大幅に効率化されています。

UAVによる橋梁の点検

橋梁の点検にUAVが活用されています。これにより、橋梁点検において人と同等の定期点検が可能になりました。
また、橋梁点検車の利用が不要となるため、点検コストの縮減や道路利用者の利便性向上に貢献しています。

今後は、行政職員や民間コンサルタント等の技術者が、簡易で安価に利用できる技術の開発が注目されています。さらに、発着点から自動で移動し、自動で調査できる技術の開発など、リモート点検の普及にはUAVによる点検技術の開発が不可欠です。

リモート点検でよくある3つの質問

リモート点検でよくある質問について紹介します。

  • 質問①リモート点検に必要な技術や関連項目は?
  • 質問②リモート点検を導入するまでのおおまかな流れは?
  • 質問③リモート点検の仕組みとは?

質問①リモート点検に必要な技術や関連項目は?

リモート点検と関連する技術として「リモート故障判定」や「予兆検知・予知保全」があります。

リモートでの故障判定はリモート点検と密接に関連しています。リモート点検は機器の状態を確認するもので、その結果、故障が見つかればそれがリモート故障判定となるのです。

また予兆監視とは、機器が故障する前の微妙な変化を検知するもので、これにより予防的なメンテナンスが可能となります。

質問②リモート点検を導入するまでのおおまかな流れは?

リモート点検の導入は工事現場での効率と安全性を高めるために重要なステップといえます。

リモート点検の導入には、それなりの期間と人員が必要です。顧客先サーバーへソフトウェアをインストールする場合は社内のみならず、関係者へ情報を共有し、計画を立てることが求められます。

次に、必要なハードウェアとソフトウェアの検討が必要です。機器の種類やセキュリティ性など、最適な製品やサービスを選ぶことが重要です。とくに工事現場で使用する場合、耐久性や安全性も考慮する必要があります。

最後に、検討したハードウェアとソフトウェアを実際に導入します。この際、設定作業や環境構築が必要となる場合が多く、顧客先での環境構築も必要です。

質問③リモート点検の仕組みとは?

リモート点検の仕組みの核となるのは、IoT端末とネットワークシステムです。機器や設備から発生するさまざまなデータをIoT端末が収集し、それをネットワークを通じてオフィスや制御センターに送信します。

この情報を基にオフィスでは状況を評価し、必要に応じて遠隔で機器や設備を制御します。

まとめ

この記事では、リモート点検の概要や導入するメリット、導入における注意点を紹介しました。

リモート点検を導入することで、点検業務の省人化やトラブル対応の迅速化などのメリットが得られるため、さまざまな事業分野での活用が期待されています。

ただし、運用にあたっては、セキュリティ問題や通信環境整備の課題があります。これらのポイントに注意して、それぞれの事業分野に適したリモート点検の導入を検討してください。

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