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コラム:学術プレゼンテーションのヒントと失敗

vol.7 デジタルとアナログの活用

「ハイブリッド・プレゼンテーション」のお話を前回にちょっとしました。まだ確立された概念ではありません。「板書」と言う極めて「アナログ」的な手法とビジュアル・プレゼンテーションと言う「デジタル的」な手法の”いいとこ取り”を目指したものです。

ビジュアル・プレゼンテーションの上手でないスピーカーの共通点は、「読み上げ」式になってしまう点です。学生の発表などは典型ですが原稿やシナリオを読み上げてしまうやり方です。誰でもはじめはそうなので決して恥ずかしいことではありません。しかしながらビジネスパーソンや大学の先生は“プロ”なのでもう少しがんばっていただきたいところです。

一方、小学生の先生のように集中量力の続かない「自由奔放」な児童をリスナーにしている方々は、常に注目を浴びている授業が求められます。されども生活科や社会科で日本地図を表示する時は正確さが求められます。ゆっくりと黒板に地図を広げる余裕はなかなかありません。
大学の授業でも位置情報と生産関係の関連性を述べるときには、地図は正確に表現しなければなりません。瞬時に(場合によってはリアルタイムに)地図情報を提示するのにはプロジェクターで投影しながら説明すれば良いのですが、台風のようにその進路を気象学的に予見しながらディスカッションし、学生の考えをまとめたいと思うとそうはいきません。株価の変化で国際経済を教えるときには、スライドも板書も個別に使っては苦労が絶えません。昨晩徹夜して準備したスライドがなかなか役に立たないのです。

その場で情報共有しながら“智を集合”させる知的活動の場合には、デジタルとアナログの活用は必須です。アクティブラーニングはまず、教員がアクティブにならないとはじまらないのですね。プロジェクターで投影した黒板(ホワイトボード)に、どんどんと書き込んで情報共有をはかりながら研究や授業を進めるとき、一瞬の「閃き」をアーカイブしておきたいと思っても今まではなかなかできませんでした。今はそれをいとも簡単にできるようになったので、使わない手はありません。

実際の授業や発表の場で電子黒板を使うことは数年後には“常識”になっていることでしょう。その先駆者になることは結構楽しいことだと思います。

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