横須賀市立総合医療センターにて実施された合同防災訓練の様子
横須賀市立総合医療センターは令和7年3月1日に現住所に移転開院されました。三浦半島地区初の病院ヘリポートが整備され、災害時に交通網が寸断されるリスクの高い『半島』という地形における、災害医療を支える新たな災害拠点病院として期待されています。
令和7年11月9日、神奈川県と三浦市の合同総合防災訓練「ビッグレスキューかながわ」が実施されました。これは大規模災害発生時における県・市および関係機関との連携強化を目的とした実践的な訓練です。
本訓練において、横須賀市立総合医療センターでは、大規模災害発生時の多数傷病者受け入れ対応ならびに他病院からのDMAT隊受け入れ対応の院内体制構築および訓練を目的とし、職員約70名が参加したほか、県内5つの病院からのDMAT隊も参加しました。
この本番さながらの訓練に、リコージャパンとしてもお役立ちできないかと、広島大学付属病院様での事例などをご紹介したところ、大型電子ペーパー「RICOH eWhiteboard 4200(以下、eWB)」、360度カメラ「THETA」を活用した双方向型ライブ配信システム「RICOH Remote Field(以下、Remote Field)」をご活用いただきました。
横須賀市立総合医療センターでは、多数傷病者受け入れのためのトリアージポストを設置。重症(赤)、中等症(黄色)、軽症(緑)の3つのエリアに分け、傷病者の受け入れと処置の訓練を実施しました。1階トリアージポストの赤エリアと黄色エリアの境にRemote Fieldを設置し、傷病者の受け入れ状況や混雑具合といった情報を360度カメラで撮影し、ライブ配信を行ないました。ライブ配信画像はセンター内3階に設置された災害対策本部の大型ディスプレイに常時投映され、状況の把握に活用されました。
また、3つのエリアで集められた「傷病者の性別」「名前」「年齢」「怪我の状況やどのような処置を行なったか」などの情報は、1階の現地調整所に設置されたeWBに記入。記入された内容は、3階の災害対策本部のeWBとリアルタイムで共有され、病院外への転送が必要かどうかなどの状況判断にもご活用いただきました。
「今回のシステムは延命や救命といった医療に直接役立つものではありませんが、自分たちの組織を立て直し、維持するような本部機能を高めるシステムも、災害時には役立つのではないかと感じました。後方支援の部隊が混乱していたら、結果的には崩れてしまう。事務方がどう動くかは重要です。」
副管理者・救命救急センター センター長
本多 英喜 様
東日本大震災から10年以上経過した現在、当時を知る事務職員からも既に退職者が出ており、その退職にあたって、災害時の対応についてのノウハウ継承が不十分だったこと、また、慢性的な人手不足も重なり、異なる業種からの転職者も多い事務職員に対する災害医療に関する教育機会の不足などが課題であったと言います。
「必要な情報を収集し、さらにその情報を伝達するとなった場合、今までは事務方が現場に行って紙にメモする、電話で伝えるくらいしかありませんでした。ただ、事務方は実際現場で見ても医療に関する状況がよく分からないことも多く、医療者に聞くにしてもそもそも何を聞くべきかも分からないなど、時間と情報のロスが発生することもありました。eWBなどのツールを医療者が直接活用することにより、情報の劣化がない状態で即時共有できますし、しかも1対1だけではなく、1対多でも可能である点が、eWBを使った利点ではないかと感じました。」
総務課長
園田 千穂 様
1階の情報収集エリアでeWBに書き込む役割をご担当された医事課の宮崎様は、実際使用してみて、情報共有が瞬時にできる点が良かったと言います。
「今回のような大規模な災害訓練は当院として初めての試みでしたが、離れた2ヵ所の情報共有が瞬時にできるというところでは、非常に良かったと感じました。事前の打ち合わせでは、情報の認識齟齬は絶対に起きると聞いていましたが、eWBを使用したことでそういった齟齬が起きづらくなりました。
今回の訓練では、最初はあえて電話のみで情報共有を行ないました。口頭で伝えた内容を本部で記載してもらい、情報収集エリアではそれを見るだけ。そうすると、伝わりづらかったり、聞き間違いなどの問題が発生しました。しかし、途中からeWBを活用して現地調整所で記入した内容をそのまま本部と共有するスタイルに変更したところ、情報が格段に伝わりやすくなり、情報共有が円滑に行なえるようになりました。」
医事課係長
宮崎 博典 様
実際訓練の現場で活用されたことで、新たな気づきもあったようです。
本多様「教科書的には現場にニーズを聞いて動く形になりますが、本当に苦しい時や大変な時には、支援要請ができない時も多くあります。Remote Fieldを使ってリアルタイムで状況を把握することで、現場からの要請を待たず、本部側がプッシュ形式で支援を行なう判断もしやすいと感じました。」
園田様「こうしたシステムを災害時にいきなり使うのは難しいですし、コストパフォーマンスも悪くなってしまいます。日ごろ使用しながら、いざという時にも使えるという体制を構築していくことが大事かなと感じました。また、今回リコージャパンさんにご協力いただいたような病院運営にも有効なITソリューションが世の中に存在していても、それを知らない人が多いので、今回の訓練を通じて職員のITソリューションに関する知識の底上げを図れたのではないかと考えています。」
本多様「現場と本部を常につないで情報を共有できたことは、本部機能の強化に役立ちましたし、大きな強みだと感じます。記録としても残せるので、その記録を次にどう活かすかを考えていきたいですね。」
これからもリコージャパンは災害時や防災に活用できるソリューションの提供を通し、誰ひとり取り残さない防災への取り組みに努めてまいります。
ご質問・お問い合わせはこちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。