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【最新版】建設業の職人不足を解消する10の対策|原因やICT化の事例もご紹介します!

画像:【最新版】建設業の職人不足を解消する10の対策|原因やICT化の事例もご紹介します!

建設業界では労働者高齢化や過酷な労働環境などの理由から、深刻な人員不足が課題となっています。これらを解消するためには、人材の育成や労働環境の改善、ICTの活用による業務効率化などが欠かせません。

本記事では、建設業における「2024年問題」と 建設業の職人不足が進んでいる原因、建設業の職人不足を解消する対策について解説します。また、建設業の職人不足を防ぐICT化の事例についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

建設業における「2024年問題」とは?

建設業界における「2024年問題」とは、2024年4月から適用される時間外労働の上限規制によって生じる労働力不足問題のことです。この規制は、政府が2019年に施行した「働き方改革関連法」による時間外労働の上限規制で触れられていました。

法律が施行されることにより、時間外労働の上限は「月45時間・年間360時間」に制限され、最低でも毎週1日の休日が原則となります。

この法律の背景には、労働者の健康や生活の質を守るという目的があるため、「2024年問題」へ対応していくことは、業界全体の発展には欠かせない課題と言えます。

しかし、従来の労働環境を変化させることは簡単なことではなく、対応に頭を抱える経営者も多いことでしょう。

建設業の職人不足が進んでいる5つの原因

2024年問題が注目される以前から、建設業では、職人不足が進んでいます。ここではその原因について5つにわけて解説します。

  • 職人の高齢化
  • 長時間労働の横行
  • 給与水準の高止まり
  • 建設需要の拡大
  • 不十分な離職率の改善

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.職人の高齢化

建設業における高齢化はほかの業界に比べても顕著であり、人手不足の大きな要因のひとつです。実際、2020年の国土交通省の調査によると、就業者のうち55歳以上が約34%と、全体の3分の1を占める結果となっています。

これは、建設業に対する若者のネガティブな印象が大きく影響しているといえます。たとえば、建設現場の危険性、体力を使う作業、長時間労働といった印象により、新しい人材の雇用が進んでいないのです。

この問題を解決するためには、建設業の魅力をもう一度認識し、若い世代へのアピールが必要となります。

2.長時間労働の横行

建設業界では、長時間労働についてもたびたび問題視されています。建設業は、ほかの産業に比べて長時間労働が横行している状況とも言えます。

具体的な国土交通省の調査結果によると、2016年度の建設業の年間実労働時間は2056時間に達しており、これは全産業の平均よりも336時間長いという結果です。

さらに、建設業では休日が確保されにくいという課題も抱えています。調査結果によれば、工事に従事する労働者の約65%が月に4日しか休めない状況に置かれており、このような長時間労働の現場であることが新しい人材確保の大きな課題となっています。

3.給与水準の高止まり

建設業界における人手不足には、給与の問題も深く関わっています。

国土交通省の調査結果によると、製造業などの他業種が50〜54歳まで給与が上がり続けるのに対して、建設業では45〜49歳で賃金のピークを迎えているのです。

また、建設業には日給制を採用している企業が多く存在します。日給制の場合、天気の影響で作業が停止した場合や、欠勤が生じた際に給与が変動するため、これが給与を不安定にしている要因と言えるでしょう。%が月に4日しか休めない状況に置かれており、このような長時間労働の現場であることが新しい人材確保の大きな課題となっています。

4.建設需要の拡大

高齢化や人手不足が深刻な課題となっている建設業界ですが、建設需要は拡大の一途をたどっています。国土交通省の2023年度のデータによれば、建設投資額は右肩上がりで増加する予測で、その額は70兆3200億円(前年度比2.2%増)にのぼる見込みです。

これには政府と民間の投資が含まれており、とくに民間の建設需要が全体の64%を占めています。この増加する建設需要に対して、人材供給が追いついていないのが現状です。

今後も建設需要の増大が続くと予想されるなか、人材供給が追いつかない状態が続くと、現場での負担が増大するおそれが懸念されています。

5.不十分な離職率の改善

厚生労働省の統計データによると、新規高卒者の建設業における離職率は45.3%と平均離職率の39.2%よりも高い現状です。

この背景には、長時間労働や少ない休日、そして低賃金の問題などが関係しています。これらの問題を解決するには、週休二日制の導入や労働の効率化など、労働環境の改善が不可欠です。

また、採用時のミスマッチを避け、若手職人の意見を尊重する努力が求められています。しかしながら、多くの中小企業の建設会社では、これらの対策が不十分であるといえます。

建設業の職人不足を解消する10の対策

建設業の職人不足を解消する方法として、次の10の対策が挙げられます。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

1.技能教育の推進

建設業界において、技術継承の課題は深刻化しています。職人の中には「技術は現場で学べ」といった考えをもっている方も多く、明確な教育プログラムを持たない企業も多いです。

しかし人手不足が進む中、この伝統的な技能継承方法だけに頼るわけにはいきません。技能教育の体系的な推進は、次世代の職人を育成するうえで重要な取り組みです。

具体的には、OFF-JTといった実践的な手法教育や、厚生労働省管轄のものづくりマイスター認証などを活用することが推奨されています。これにより、経験豊富な先輩職人のノウハウを若手に伝えるだけでなく、新しい技術や考え方も織り交ぜた教育が可能になります。

2.適切な工期設定

インターネットの接続状況や通信速度が不安短い工期設定も、労働者の過酷な勤務を招くため、離職率が高まる要因のひとつです。定だと、視聴の途中で画面が止まったり、映像や音声が乱れるおそれがあります。

建設業界は、増加するニーズと限られた人手との間で、厳しい工程管理が求められる状況が続いています。残業が多く、長時間労働が常態化しているような環境下では、労働者の疲労が慢性化し、健康面やモチベーションが低下してしまいます。一方、余裕のある工期設定ができていると、働く職人の負担は軽減されるため、結果的に離職の防止になるのです。

国土交通省が示す「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を参考にし、発注者も含めた全関係者が理解と協力のもと、余裕をもった工期設定を推進することが、業界全体の健全な発展への道筋となると考えられているのです。

3.資格取得支援制度の導入

建設業の現場では、専門的知識や技術を必要とする作業が多く、それを裏付ける資格を取得していなければ作業ができないため、有資格者の負担が大きくなりやすいです。

このような背景から、資格取得支援制度の導入は、業界の職人不足解消に向けた有効な取り組みといえます。会社がこれら資格を取得するための費用を支援することで、従業員は新しい技術や知識を身につけられるようになります。

4.業界イメージの改善

建設業界における職人不足を解消するためには、業界イメージの改善が必要です。現状、若者にとって建設業界のイメージは、上記で解説してきたような風評からも魅力的な業界に映っているとは言えません。

しかし、会社や現場によっては、働き方改革や労働環境の改善が進んでおり、職場の安全性と効率性が向上しているところもあります。このような現状と、建設業界が魅力的で創造的な仕事であることを伝え、建設業界全体のイメージ向上を推進する努力が、業界イメージの改善につながると考えられています。

5.外国人労働者の活用

建設業界における職人不足の解消策として、外国人労働者の雇用も増加しており、2019年から導入された特定技能認定は、建設業界の労働力不足を解消する一助とされています。

技能実習認定は、1号(1年)・2号(2年)・3号(2年)と区別され、移行時には実技と日本語の試験が行われます。特定技能制度が2019年4月1日から導入されたことで、人手不足が深刻な産業分野において、外国人材の受け入れが可能となりました。

とくに建設分野では、特定技能2号に移行することで、外国人労働者の無期限雇用が可能となり、長期的な人材確保が可能になります。

6.多能工の育成

多能工とは、複数の専門的な工事作業を1人で極める職人のことです。建設業界において、多能工の育成が人手不足の解消に向けて重要な対策として注目されているのです。

ひとつの分野に特化せず幅広いスキルを持つ多能工は、さまざまな作業に対応できるため、生産性の向上に貢献します。多くの建設企業は、多能工訓練を行う施設を設置し、従業員にさまざまな技能を習得させています。

7.福利厚生の拡充

週休二日制や固定月給制の導入、各種社会保険の整備や福利厚生の拡充などは、職人不足の解消に向けた重要な取り組みです。就業時間を変化させた後も、現場を安定的に稼働させるには、作業のオートメーション化が欠かせません。

オートメーション化が実現することにより、受注できる工事の幅が広がるだけでなく、職人たちが安心して働ける環境づくりにつながります。福利厚生の改善は、建設業界の未来を明るくするために欠かせない取り組みです。

8.若手職人の処遇改善

建設業界では、若手職人の不足が深刻な問題となっているため、処遇の改善が求められています。さまざまな改善ポイントが存在しますが、なかでも給与面の見直しは急務と言えるでしょう。

一般に、建設業の職人の給与は日給制が主流ですが、これを固定月給制に移行することで、職人たちはより安心して働けます。また、固定月給制にすることにより、独立せずに定年まで勤めたいと希望する職人が増える可能性もあるでしょう。

9.SNSを活用した採用活動

建設業界の魅力を伝える新たな求人情報の発信手段として、SNSの活用が期待されています。とくに若年層へのアプローチを考えると、SNSの活用は欠かせない選択肢です。

では、X(旧Twitter)やFacebook、InstagramなどのSNSで、「#求人募集」などのハッシュタグを使用して投稿することで、ターゲットとなる層に直接アピールできます。

また、SNSは基本的に無料で利用できるため、コストをおさえながら多くの人たちへアピールが可能です。SNSを活用し、採用活動を積極的に行うことで、業界へ新しい風をもたらし、職人不足が解消されることが期待されます。

10.現場のICT化

ロボットやAIによる作業の自動化は、少ない人手で高品質な仕事を可能にしますが、このICTの活用による業務効率化も、職人不足の解消策として期待されています。
たとえば、クラウドを利用することで図面や工程画像の管理が容易になり、場所や時間を気にせずに情報を共有できることで、進捗管理もスムーズになります。

また、AIを導入することで、ルーチンワークの自動化やヒューマンエラー対策も可能です。、近年では設計や画像認識の分野でもAIの活用が広がり、作業品質の向上と作業時間の短縮が図れています。

これらのICT化により、建設業界の働き方が大きく変わり、人手不足を克服することが期待されているのです。

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建設業の職人不足を防ぐICT化の事例3選

さきほど職人不足の解消策のひとつとして「ICT化」を紹介しましたが、ここでは建設業におけるICT化の事例をいくつかご紹介します。

  • 工事情報共有システムの導入
  • 遠隔臨場の活用
  • AIの活用

1.工事情報共有システムの導入

建設業界での職人不足の対策として、工事情報共有システムの導入が進んでいます。このシステムは、図面、工程表、写真などの膨大なデータをインターネットで効率よく共有できる仕組みで、紙の書類を持ち歩く必要が無くなります。

ワークフローのオンライン化が進むことで、書類の承認作業もスムーズになり、工事伝票の電子納品も可能になります。

2.遠隔臨場の活用

建設業界においては「遠隔臨場」の活用も職人不足への対応策として増えてきています。

遠隔臨場とは、ウェアラブルカメラやネットワークカメラを用いて、現場に足を運ばずに遠隔で確認作業を行う技術です。
遠隔臨場は、業務の効率化などさまざまなメリットがありますが、現場への移動時間削減や労働時間の短縮などがとくに大きなメリットと言えるでしょう。遠隔臨場は、働き方の見直しといった観点からも、建設業界における新しい働き方のスタンダードになると注目されています。

3.AIの活用

建築業界では、職人不足の解消としてAIの活用が進んでいます。AI技術を活用することで、構造設計の単純作業や施工現場の画像認識などの作業が、スピーディかつ正確に行えるようになります。
「国土交通省技術基本計画」では、AIなどのテクノロジーの積極的な導入と活用が推奨されており、業界全体でもAIの活用はI進んでいる状況です。

建設業の職人不足でよくある3つの質問

建設業の職人不足でよくある質問を紹介します。よくある質問は以下の次の3つです。

  • 質問1.インボイス制度の導入は職人不足に影響する?
  • 質問2.建設業界の人手不足の観点からみた労働力の推移は?
  • 質問3.職人不足の対策にもなる「省工数化工法」とは?

質問1.インボイス制度の導入は職人不足に影響する?

2023年10月から、インボイス制度の導入に伴い、消費税の仕入税額免除方法が変わります。ただし、適格請求書を発行するためには、事前に「適格請求書発行事業者」としての登録が必須です。

とくに建設業界では、多くの取引が1000万円以下とされるなかで、報酬事業者と免税事業者の区別によって、発注元企業の税負担が大きく変わる状況が想定されます。

10月以降、適格請求書発行事業者として登録していない業者からの仕入れは、仕入税額免除の対象になりません。そのため、職人や一人親方として活動する方々にとって、登録を行わない選択は、取引先からの審査外となるリスクを負う可能性があります。

この制度導入が、建設業の職人不足にどの程度影響するかは未知数ですが、業者間の取引態様や選択基準に変化を起こすことは予測されます。

質問2.建設業界の人手不足の観点からみた労働力の推移は?

建設業界における労働人口の推移を紹介します。下記表は総務省統計局より発表される労働力調査より作成した建設業に従事する労働人口の推移です。

抽出年月 2014/4 2015/4 2016/4 2017/4 2018/4 2019/4 2020/4 2021/4
建設業(単位:万人) 510 510 499 492 504 503 528 498

表からもわかる通り、激しく増減が起こっているわけではありません。この数字の背景には、労働力の高齢化により就労できなくなった人を補うように、外国人労働者の雇用が拡大していることが要因としてあります。

下記の図は、厚生労働省の外国人雇用状況の届出書より作成した建設業における外国人労働者の推移です。

抽出年月 2015/10 2016/10 2017/10 2018/10 2019/10 2020/10
建設業(単位:万人) 2.9 4.1 5.5 6.8 9.3 11

この結果は、2019年に特定技能が新たな在留資格として開始され、技能実習から合わせて最大10年の就労が可能になったことが、急激に伸びている要因であると予想されます。

質問3.職人不足の対策にもなる「省工数化工法」とは?

建設業界の人件費の確保と職人不足が深刻な課題に対処するため、「省工数化工法」の導入が注目されています。この工法は、人件費の削減と作業効率の向上を目指すものです。

主な省工数化工法を以下に紹介します。

  • プレキャストコンクリート工法:
    「プレキャスト」とは、事前に成形されたという意味を持ち、コンクリート部​​材を工場で先行製造することで、現場での型枠解体作業を省く手法。これにより工期の短縮が可能。
  • 移動式吊り足場:
    とくに狭い作業スペースや制限時間内での作業が必要な場合に有効。
  • 鉄筋ジャバラユニット工法:
    工場での品質管理のもと、鉄筋部材を組み立ててから現場へ搬入することで、現場での組み立ての手間や時間の大幅な削減が可能。
  • 移動式吊り足場:
    構造物に取り付けられたラックレールに沿って足場を移動させる手法で、作業者は安全かつ迅速に移動できる。足場の組み立てや解体にかかる時間とコストの大幅な削減が可能。
  • ラス・鋼製型枠の使用:
    型枠とコンクリートを一体化させる手法で、施工時に型枠を外す手間が省ける。また、素材の強度と耐久性を高めるため、建築の品質向上にもつながる。

これらの省工数化工法により、建設現場での作業効率が向上し、人手不足の解消やコスト削減につながります。

まとめ

この記事では、建設業における「2024年問題」と建設業の職人不足が進んでいる原因、建設業の職人不足を解消する対策について解説しました。

現場見学会を成功させるには、参加者にとって価値のある見学会を提供することが大切です。

建設業界では労働力の高齢化や過酷な労働環境などの理由から、深刻な人員不足が課題となっています。これらを解消するためには、人材の育成や労働環境の改善、ICTの活用による業務効率化などが欠かせません。

この記事で紹介したICT化の事例を参考に、ICTの積極的な活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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