プラスチックは容器や包装材、生活用品から産業資材まで幅広く利用されている合成樹脂の総称です。扱いやすさや耐久性の高さから、世界中で大量に生産・消費されていますが、使用後のプラスチック廃棄物の処理は大きな社会課題となっています。
この課題解決のために注目されているのが「マテリアルリサイクル」です。マテリアルリサイクルとは、使用済みプラスチックを細かく裁断・洗浄し、再び樹脂や製品として製造し直すリサイクル手法です。ほかにも、化学的に分解して再利用するケミカルリサイクルや、焼却時の熱エネルギーを回収するサーマルリカバリーがありますが、素材本来の特性を活かせるマテリアルリサイクルは、より効率的な資源循環に貢献できる方法とされています。
日本におけるプラスチックリサイクルの現状を見ると、2021年の廃プラスチック総排出量は824万トンで、そのうち約25%が有効利用されました。内訳はマテリアルリサイクル21%、ケミカルリサイクル4%です(参考*1)。2022年も同様に、廃プラスチック総排出量823万トンの25%が有効利用され、マテリアルリサイクル22%、ケミカルリサイクル3%となっています(参考*2)。
マテリアルリサイクルは資源循環の要として注目されていますが、再生原料の品質や混在物の除去が課題となることも多いです。プラスチックをどのように選別し、高品質な再生素材を得るかが、今後の課題解決のポイントです。
プラスチックリサイクルが求められる理由は主に2つあります。1つ目は環境負荷の低減です。プラスチックを焼却や埋め立てに回すと、CO2排出や海洋プラスチックごみ問題など、さまざまな環境リスクが生じます。2つ目は資源の有効活用です。石油資源には限りがあるため、マテリアルリサイクルによって新規資源の使用を減らし、持続可能な社会の実現に貢献できます。
2023年の日本のプラスチック生産量は887万トンで、前年より64万トン減少しました。一方、廃プラスチック総排出量は769万トンで、約25%が有効利用されています(参考*3)。発泡スチロールのように、マテリアルリサイクル率が51.0%に達している素材もあります(参考*4)。これらのデータは、プラスチックリサイクルが着実に進展していることを示しています。
しかし、国内には未利用の廃プラスチックも依然として存在し、これらを効率的に回収・分別して再利用率をさらに高めることが今後の課題です。製造業やリサイクル部門の担当者にとっては、効率的な分別とコストの両立が求められています。特にマテリアルリサイクル率を高めるには、素材判別のスピード向上や適切な選別工程の導入が重要です。
近年、マテリアルリサイクル技術の進化が加速しています。東北大学、産業技術総合研究所、滋賀県立大学、ブリヂストンによる共同研究では、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系プラスチックの接合性を強化し、再生素材の強度を向上させる技術が開発されています(参考*5)。
また、福岡大学を中心とした研究チームは、高分子材料の再生技術に特化した人材育成講座を開設し、NEDOの革新的プラスチック資源循環プロジェクトに参加しています。高分子の強度を保ちつつ、再生材としての性能を落とさない方法を実践的に学ぶ取り組みが進められています(参考*6)。
このような技術革新の背景には、企業や自治体、研究機関が環境負荷削減とコスト効率化の両立を強く求めている現状があります。再生原料の安定供給や品質維持のために、新たな接着技術や混合技術の実用化が進めば、プラスチックリサイクル市場の拡大が期待されます。
マテリアルリサイクルのプロセスを円滑に進めるには、分別された廃プラスチックを高品質で回収し、再び製品として生まれ変わらせる流れが不可欠です。例えば、発泡スチロール(EPSやPSP)はインゴットやペレットに加工され、文房具や建築資材などに再利用されています(参考*4)。
石川県では、廃プラスチックの回収やマテリアルリサイクル活動を支援する補助金制度が設けられています(参考*7)。また、東京都ではサーキュラーエコノミーを推進するビジネスモデルへの補助制度があり、2R(リデュース・リユース)や水平リサイクルを実践する事業者への支援が拡大しています(参考*8)。
さらに、再生プラスチックの品質や安全性を保証するための「Sustainable Plastics Certification(SPC)」認証プログラムも開発されています。これは、マテリアルリサイクルプロセスにおける品質や安全、環境面の基準を設け、需要者が安心して利用できる市場形成を目指すものです(参考*9)。
このような多様な事例が生まれる背景には、プラスチック再利用が「企業の持続可能性を示す証明」として社会的に重視されている現状があります。再生材を利用した製品づくりは、消費者からの評価や販路拡大にもつながる可能性があり、企業規模を問わず注目されています。
プラスチック廃棄物のマテリアルリサイクルを実践するには、分別精度の向上が不可欠です。生産現場では、廃プラスチックを速やかに分別・回収できる体制づくりが重要となります。素材判別用の機器を導入することで、不純物の混在を大幅に減らし、再生原料として使用可能な範囲を拡大できます。これにより、廃棄コストの削減や企業の競争力向上も期待できます。
また、安定したサプライチェーンを維持するためには、自治体や廃棄物処理業者、メーカーが連携し、回収系統を最適化する必要があります。2023年度の統計では、エネルギー消費削減が251ペタジュール、 CO2排出削減が1750万トンという成果が確認されています(参考*3)。2022年度の調査でも、未利用廃プラスチックを取り込むことでさらなる削減効果が見込まれています(参考*2)。
今まさに、製造業やリサイクル部門の担当者にとっては、最新技術を活用して環境負荷の低減とコスト効率を両立させる絶好の機会です。分別装置や測定機器の導入によって、スピードと正確性を高め、循環型社会の実現に一歩近づくことができます。企業の取り組みを社内外に発信することで、市場や投資家からの信頼を獲得する契機にもなります。廃プラスチックの課題を乗り越え、マテリアルリサイクルによる生産性と環境保全の両立を目指す姿勢が、今後のプラスチック資源循環のカギとなります。
プラスチックのマテリアルリサイクルを推進するには、種類ごとの正確な分別が不可欠です。現場で使える判別技術や簡便なツールで再利用率を高め、循環型資源利用を実現することが求められています。
環境保全や自然再興への取り組みを求められる今、私たちは正しいリサイクルの知識を持ち、マテリアルリサイクルを進められるように努力することが必要です。
では、どうすれば、マテリアルリサイクルを加速させることができるのでしょうか。さまざまな種類があるプラスチックを正確に分別できれば、マテリアルリサイクルが加速します。
そのお役に立てるデバイスとして「樹脂判別ハンディセンサー」を開発しました。リコーの樹脂判別ハンディセンサーを使用すると、13種類の主要なプラスチックを簡単に識別することができ、さらに最大100種類までのデータを登録してカスタマイズすることが可能です。
日々様々なシーンで利用しているからこそ、しっかり判別して再利用率を高め、環境にやさしい使い方をしていきましょう。
樹脂判別の仕組みと製品仕様はカタログでご覧いただけます。

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