日本国内における使い捨てプラスチックの削減や再生材の活用を進め、国際的な資源有効活用の動きとも連動することを目的とする「プラスチック資源循環促進法」は、設計段階から再資源化までを一貫してとらえ、企業の責務と具体的な対応方向を示す法律として位置づけられています。
本記事では、2025年時点の動向や、新たに求められる設計指針・排出抑制・自主回収の仕組みを整理します。
プラスチック資源循環促進法では、制度が現場で使われるための“運用の具体化”が進んだ点が重要です。特に設計段階では、国が「特に優れた設計」を認定する制度の具体的な基準が整い始めており、経済産業省は2025年7月24日に、清涼飲料用ペットボトル容器・文具・家庭用化粧品容器・家庭用洗浄剤容器の4分野について設計認定基準を公表しています。(参照*1)
一方、排出・回収段階でも、自治体が「同じプラスチックなのに分別が分かりにくい」という課題を解消しつつ回収量を増やす設計が明確化されています。環境省は、容器包装プラ以外のプラスチック使用製品廃棄物も再商品化できる仕組みを設け、分かりやすい分別ルールで回収量の拡大を図る方針を説明しています。(参照*2)
企業にとっての実務上の“新しさ”は、抽象的な努力目標ではなく、認定制度の具体基準が分野別に整ってきたことで、製品要件として社内に落とし込みやすくなった点にあります。
事実、経済産業省は2025年7月24日、4分野の設計認定基準を公表し、認定を受けるには「総合的な評価や情報等の公表」を行い、当該基準に適合する必要がある旨を示しています。(参照*1)
ここで重要なのは、設計が“製品単体の仕様”に留まらず、分別しやすさや情報開示(材質・構造の情報)を含め、回収・再資源化のしやすさまで含めて評価される方向に移行している点です。
排出段階は、業態によってポイントが分かれます。小売・飲食・宿泊などで問題になりやすいのが、無償提供されがちな「特定プラスチック使用製品」です。環境省は対象品目として、フォーク、スプーン、テーブルナイフ、マドラー、飲料用ストロー、ヘアブラシ、くし、かみそり、シャワーキャップ、歯ブラシ、衣類用ハンガー、衣類用カバーの12品目を掲げ、品目ごとに対象業種を整理しています(参照*3)。
一方、工場・オフィス・店舗などで発生する事業系のプラスチックについては、環境省が「排出事業者の判断基準省令」に基づく取組が求められることを示し、排出抑制や再資源化等を進める枠組みを説明しています(参照*4)。その中で「多量排出事業者」は、前年度の排出量が250トン以上とされ、目標を定めて計画的に取り組むこと、必要に応じて勧告・公表・命令等の対象になり得ることまで整理されています。
さらに実務で迷いやすい優先順位についても、同ページは、可能な限り排出抑制、次に分別排出、再資源化、そして再資源化が難しい場合に熱回収という順で考えることを明確にしています。
環境省のFAQでは、自主回収・再資源化事業計画の認定を受けることで、当該計画に基づく事業について廃棄物処理法に基づく「業の許可」が不要になる旨が説明されています(参照*5)。ただし、認定の狙いが資源としての循環にある以上、再資源化の方法を熱回収だけにした計画は認定対象にならないことも明確です(参照*6)。
自治体回収との関係でも、制度は「容器包装プラ以外も再商品化できるようにして、分別の分かりにくさを解消し、回収量を増やす」設計であることが示されており、自治体は指定法人への委託か、再商品化計画を作成して国の認定を受ける方式で再商品化を実施できると説明されています。 企業側から見ると、設計(分別しやすさ・表示)、排出(分別と管理)、回収(認定スキーム活用)が一本の線でつながるほど、回収・再資源化の品質とコストが安定しやすくなります。
2025年の変化でメーカーがまず注目すべきは、国が示すプラスチック使用製品の設計指針への適合です。具体的には、素材の削減や再生プラスチックの利用、分解しやすい部品構造の工夫などが挙げられます。2026年には清涼飲料用ペットボトルの設計認定制度が本格的に始動する予定で、業種や製品分野ごとに策定された標準基準との適合が求められます(参照*7)。ペットボトルのボトルtoボトル比率向上や、文具・化粧品などでの再生素材利用基準も明確化され、業界団体を通じた技術ガイドが示されています(参照*8)。
認定制度は、企業の自主的な取り組みを加速させる仕組みです。国の設計認定を受けることで、環境物品等の調達推進法などによる優遇や調達対象への配慮が得られ、自社製品が行政・公共調達の場で選ばれやすくなります(参照*1)。この制度を活用するには、再生素材の導入だけでなく、製造事業者や再資源化事業者、地域社会と連携した情報共有が重要です。部品の取り外し方や再利用可能な原材料の種類などを事前に周知することで、回収・再資源化プロセスの円滑化につながり、認定取得の可能性が高まります。
上述した通り、ワンウェイプラスチックのうち、特定プラスチック使用製品として規定されるものには、容器包装やカトラリーなどの使い捨てアイテムが含まれます。これらは消費者に広く普及している反面、排出量も多いため、2025年にかけて排出抑制と提供方法の見直し義務が強まる見通しです。たとえば飲食店でのプラスチックストローの提供削減や、コンビニ弁当のスプーンで紙製や木製の代替品を導入する動きが進んでいます(参照*9)。
再生プラスチックや代替素材の導入は、製造原価の上昇や耐久性・品質面での課題が生じることもあります。また、商品購入時には価格や使い勝手が優先されやすいという調査結果もあり(参照*6)、消費者の協力を得るには工夫が必要です。商品の環境価値を訴求し、分別しやすい包装設計や店舗での情報発信を強化することがポイントとなります。
プラスチック廃棄物の適切な再生を実現するには、製造・販売事業者などによる自主回収システムが重要です。事業者が回収を主導することで、リサイクルの質向上や廃プラスチックの効率的な収集が可能となります(参照*10)。実際、花王やライオンなどは、家庭で使い終わったつめかえパックや容器を回収し、自社や他社と連携して再資源化の実証を進めています(参照*11)(参照*12)。
こうした自主回収の仕組みを始動するには、「自主回収・再資源化事業計画」の作成と国の認定がカギです。認定を取得すれば、廃棄物処理法の許可なしで回収が可能となり、消費者にとっても回収ルートが明確化されるメリットがあります(参照*10)。企業側には回収ステーションの整備コストや再資源化工程での混入不純物対策などの課題がありますが、これらを乗り越えれば環境負荷低減や企業イメージ向上、持続可能なビジネスモデルの構築につながります。
環境配慮型設計による素材転換は、国内外で積極的に進められています。食品や飲料業界では、ボトルtoボトルの再生プロセスを確立し、利用量を伸ばす取り組みが進展しています。2024年度の統計では、国内のペットボトルリサイクル率が85.1%、そのうち37.7%が飲料用ボトルへのボトルtoボトルに充当されました(参照*7)。この成果は、分別回収や軽量化、再資源化施設の充実が相乗効果を生み出した結果です。
日用品業界では花王やライオンが協業し、使用済みパッケージを再生材料化して新たな容器へ生まれ変わらせるプロセスを試験導入しています。ライオンが食品メーカーと連携し、宅配サービスで回収されたキャップを再生プラスチックとして日用品容器に活用する構想もあり、実用化されれば分野横断的なリサイクルが促進されます(参照*12)。化粧品業界でも花王とコーセーが水平リサイクルを本格化し、販売店舗で回収した容器を再び同一用途に活かす仕組みを拡大中です(参照*11)。これらの取り組みは、製品ライフサイクル全体を見据えた素材転換の可能性を示しており、企業の競争力向上にも寄与します。
再生プラスチックの利用拡大には、技術的課題と品質面の担保が重要です。大量の再生樹脂を導入すると、異物混入や原材料の安定供給に不安が生じる場合があるため、分別精度を高めた回収システムや、化学分解を活用したケミカルリサイクル技術による品質向上が必要です(参照*7)。
さらに、企業や自治体、リサイクル事業者が協力するコンソーシアム形式での技術開発が進み、自動車の内装部品への再生プラスチック導入も具体化しています(参照*13)。2030年代前半には自動車のプラスチック使用量の15%以上を再生材とする目標が掲げられ、サプライチェーン全体の高度化が急務です。
汎用プラスチックの再生率向上だけでなく、高付加価値品への再生材適用も、今後の資源循環の質向上に寄与します。
プラスチック資源循環促進法が求める企業の義務は、設計から排出、回収まであらゆる段階を包括しており、従来の循環型社会推進施策よりも実効性を重視しています。2025年の段階で具体的な成果を示すことは、企業の評価向上だけでなく、国際的な責任や事業継続にも大きく関わります。
メーカーや販売事業者は、代替素材の開発や回収インフラの整備に加え、消費者意識の啓発にも注力する段階にあります。今後は新技術や他社・他業種との連携を通じて、より成熟した資源循環の仕組みを構築することが期待されます。
プラスチック資源循環促進法の運用が具体化する中で、設計・排出・回収の各段階をつなぐ実務として、素材ごとの正確な分別がこれまで以上に重要になっています。
特に現場では、用途や由来の異なるプラスチックが混在するケースも多く、分別精度の差が再資源化品質やコストに直結します。マテリアルリサイクルを着実に進めるためには、判別技術やデータ活用など、分別を支える仕組みづくりが欠かせません。
では、どうすれば、マテリアルリサイクルを加速させることができるのでしょうか。さまざまな種類があるプラスチックを正確に分別できれば、マテリアルリサイクルが加速します。
そのお役に立てるデバイスとして「樹脂判別ハンディセンサー」を開発しました。リコーの樹脂判別ハンディセンサーを使用すると、13種類の主なプラスチックを簡単に識別することができ、さらに最大100種類までのデータを登録してカスタマイズすることが可能です。
日々様々なシーンで利用しているからこそ、しっかり判別して再利用率を高め、環境にやさしい使い方をしていきましょう。
樹脂判別の仕組みと製品仕様はカタログでご覧いただけます。

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