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樹脂判別ハンディセンサー(RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150) ナレッジ 製造業における資源循環の指標とは?

資源循環
製造業における資源循環の指標とは?

2025年12月8日

はじめに

製造業において資源を循環させる取り組みは、近年ますます重要性を増しています。地球温暖化対策の観点からは、製品のライフサイクル全体を通じて廃棄物を最小限に抑え、再利用やリサイクルを促進することが求められています。企業経営においても、環境対応を進めることで社会的責任を果たし、ブランド価値を高める機会となります。循環型社会への貢献は、他社との差別化や投資家からの評価にもつながるため、改めて注目されています。
本記事では、資源循環を実践するうえで欠かせない指標に焦点を当て、その基本的な内容や具体的な算出方法、さらに指標を活用した実際の改善事例をご紹介します。特に製造業の環境・サステナビリティ担当者に向けて、リサイクル率、廃棄物削減率、分別精度などの数値化の仕組みと活用ポイントを解説します。企業が脱炭素目標を達成し、循環ビジネスを軌道に乗せるための実用的な情報をお届けします。

資源循環における指標の基本

リサイクル率

リサイクル率は、資源循環の状況を把握する上で最も広く用いられる指標の一つです。一般的には、廃棄物の総排出量に対してリサイクルされた量の比率がリサイクル率として算出されます。リサイクル率が高いほど、企業活動によって生じる廃棄物を有効に利用していると評価されます。多くの企業や自治体がリサイクル活動の進捗度を測定し、成果を対外的に評価・公表する際にこの指標を活用しています。
一方で、リサイクル率にはいくつかの課題が指摘されています。例えば、日本全体で見ると、マテリアルリサイクル施設に投入された廃プラスチックの約2割が残渣となり、品質の問題から再資源化に至らない場合があります(参照*1)。また、リサイクル率は廃棄物の分別協力やリサイクル材の品質、市場での需要などを十分に反映していない場合もあります。数値の上ではリサイクルを行っているように見えても、実際には一部しか再利用されていないことがあるため、リサイクル率だけで資源循環全体を評価するのは難しい面があります。
今後は、リサイクル率だけでなく、分別回収率や有効資源化率、循環高度化指標など、複数の観点から資源循環を評価することが重要とされています(参照*1)。

廃棄物削減率

廃棄物削減率は、企業が生産活動やオフィス部門などで排出する廃棄物を、どの程度削減できているかを示す指標です。ある基準時点の廃棄物排出量と比較して、現時点でどれだけ削減できたかを比率で示します。例えば、基準となる年に対して、排出量が10%減った場合には、廃棄物削減率は10%となります。製造工程を見直して材料の無駄を減らしたり、再利用可能な資材の導入を進めたりすることで数値を向上させることが可能です。
廃棄物削減率とリサイクル率を合わせて見ることで、企業がどのように資源循環に取り組んでいるかをより立体的に把握できます。単にリサイクルを行うだけでなく、廃棄物自体を出さない設計や工程管理が重要です。従来は廃棄物を捨てることを前提に回収対策を講じるケースが多かったのに対し、最近では製造工程の上流段階から原材料使用を削減する設計を行い、廃棄物の発生自体を抑制する戦略へ移行しています。こうした取り組みは企業のコスト削減にもつながるため、経営面からも廃棄物削減率を高める意義は大きいといえます。

分別精度

分別精度とは、廃棄物をどれだけ正確に種類ごとに分けられているかを表す指標です。リサイクル率の向上を目指しても、廃棄物の分別が不十分であれば品質の高いリサイクルが難しいため、分別精度は資源循環を考える上で欠かせません。実際に、複数の素材が混在していたり異物が含まれていると、再資源化の工程でコストが大幅に上昇したり、再利用が困難になることがあります。
製造業の現場では、工程内での金属くずやプラスチックの混在を避けるために、ライン作業の段階から素材ごとに分ける工夫が重視されています。例えば、製品を解体して再度部品に戻す際にも、事前に分別精度を指標として管理しておくことで、回収率や再利用率を向上させやすくなります。こうした綿密な分別ができていれば、企業が掲げるリサイクル率や廃棄物削減率の向上にも大きく寄与します。技術的な側面だけでなく、従業員教育やマニュアルの整備といった人的要素も重要となります。

指標の算出方法

資源循環の指標を算出する際、小規模から大規模まで幅広い産業で活用可能なフレームワークとして注目されているのが、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)のCTI(Circular Transition Indicators)です(参照*2)(参照*3)。
CTIは、製品やビジネスプロセスの循環性を定量的に測定するためのシンプルな枠組みであり、企業がリスクを評価し、循環性を高めるための具体的な行動を特定するのに役立ちます。CTIの特徴は、材料フローの循環性測定を核とし、耐用年数の延長や温室効果ガスの影響、シナリオ計画などの新機能も追加されている点です。これにより、企業はどこにリスクがあり、どこを改善すれば循環経営が加速するかを把握しやすくなります(参照*2)。
もう一つの代表的なフレームワークにMCI(Material Circularity Indicator)があります(参照*4)。MCIは、製品や企業が線形的な形態から循環的な形態へどれだけ移行しているかを測る指標で、原材料の使用量(特に新規資源であるバージン材料)や終末廃棄物量、製品の使用期間などを総合的に評価します。

製品レベルでは、全体製品アプローチと構成部品・材料別の包括的アプローチがあり、バージン資源の使用抑制や廃棄物削減の度合いを数値化できます。MCIは、社内での評価だけでなく、サプライヤーや顧客への説明、企業価値の向上にも活用されています。CTIとMCIのどちらを利用するかは企業の目的や業種によって異なりますが、共通しているのは、資源循環を「どれほど定量的に示せるか」に焦点を当てている点です。
さらに、COP30では新たにGCP(Global Circularity Protocol)が発表され、企業の循環性を測定・管理・開示するための国際標準として注目されています。GCPはCTIを基盤に、国際基準との整合性や情報開示を重視した枠組みであり、今後の循環経済評価の重要な指針となる見込みです。日本はこのGCPの開発に協力し、COP30のジャパンパビリオンで紹介するなど、国際的な循環経済の推進に積極的な役割を果たしています。(参照*7)

指標を活用した改善事例

日本国内の事例として、リコーグループでは、2050年までに製品のバージン材料使用比率を12%以下に抑えるという長期目標を掲げています(参照*5)。2030年には60%以下という中間目標を設定し、2021年度から2024年度の実績ではバージン材料使用比率を87.9%から78.3%へと段階的に削減しています。

対象製品はデジタル複合機やプリンターで、年間のバージン材料使用量は約6万6千6百トン程度で推移しています。さらに、ポストコンシューマー由来の再生プラスチックの利用割合も

  • 2021年8.6%
  • 2022年16.2%
  • 2023年32.1%
  • 2024年32.3%

と増加傾向にあり、主力ユニットへの再生プラスチック組込みが進行しています。これらの取り組みにより、リサイクル率や廃棄物削減率の向上が実現されています。こうしたデータを社内外に公表することで、組織全体の取り組み推進や顧客からの評価向上にもつながっています(参照*5)。

また、廃棄物削減やリサイクルの取り組みが顕著な企業として、空調機器ブランドで知られるダイキン工業の例があります(参照*6)。2024年度の家庭用電機リサイクルでは、約56.8万台の家庭用エアコンを回収し、約55.6万台をリサイクル等によって処理しました。

リサイクル等による処理重量として22,226トン、リサイクル重量は20,356トンとなり、リサイクル率は91%を達成しています。
素材ごとの内訳では、

  • 鉄5,924トン
  • 銅1,570トン
  • アルミニウム555トン
  • 非鉄金属と鉄の複合材料8,247トン
  • フルオロカーボン342トン
  • その他の有価材料3,716トン

が回収されました。

さらに、再冷媒として使用されたフルオロカーボンの回収重量は368,910kg、再利用・リサイクルに回されたフルオロカーボンの重量は336,660kgとなっています。ダイキンは家電リサイクル法の要件を満たすだけでなく、部品の再利用と素材のリサイクルを効率的に行うことで、リサイクル率や分別精度を高めています。
分別の徹底によって高品質な資源を回収できるため、再資源化の精度や効率がさらに向上しています。社内で定めた廃棄物削減率や分別精度を管理指標として設定し、PDCAサイクルを回すことで改善を加速させています(参照*6)。

おわりに

製造業における資源循環は、環境負荷の軽減や企業経営の持続可能性に深い関連性を持っています。リサイクル率や廃棄物削減率、分別精度などの指標を正しく設定し、定量的に把握することで、どの段階に課題があり、何を改善すれば良いのかが明確になります。さらにCTIやMCIなどの国際的なフレームワークを活用することで、各社独自の取り組みをより客観的に評価し、比較検討できる可能性が広がります。
指標に基づく循環型経営は、脱炭素社会へ向かう世界的な潮流の中で、製造業の企業価値を高める大きな機会となります。社内で正しくデータを収集し、改善策を検討し、それを成果につなげていくプロセスが重要です。本記事でご紹介した指標や事例が参考となり、貴社の資源循環の取り組みが一層充実する一助となれば幸いです。

お知らせ

資源循環を評価するうえでは、リサイクル率や廃棄物削減だけでなく、素材の特性を正しく理解しておくことが重要です。
とくにプラスチックは種類ごとに性質や用途が大きく異なるため、循環の設計や工程管理を考える際には、それぞれの素材に応じた適切な扱いが求められます。
製造現場では、こうした素材の違いを踏まえ、処理や再資源化に向けた仕組みを整えることが、循環プロセス全体の改善につながります。
こうした取り組みを支えるためには、素材を正確に判別する手段が欠かせません。

そのお役に立てるデバイスとして「樹脂判別ハンディセンサー」を開発しました。リコーの樹脂判別ハンディセンサーを使用すると、13種類の主なプラスチックを簡単に識別することができ、さらに最大100種類までのデータを登録してカスタマイズすることが可能です。

日々様々なシーンで利用しているからこそ、しっかり判別して再利用率を高め、環境にやさしい使い方をしていきましょう。

製品カタログダウンロードはこちらから

樹脂判別の仕組みと製品仕様はカタログでご覧いただけます。

環境問題への取り組み、何から始めるか迷った方へ。樹脂判別ハンディセンサー製品カタログダウンロード カタログをダウンロードする

参照

著者名

福田 竜一
RICOH Digital Services BU 環境・エネルギー事業センター 事業推進室 商品サポートグループ
旧:リコー電子デバイス事業部(現:日清紡マイクロデバイス)にて半導体の生産技術に従事。半導体のMEMS技術を元に新規事業として樹脂判別ハンディセンサーの立上げから関わり現在に至る

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