デジタル化が進むなか、学校や教育機関でもICT環境の整備が進められていますが、教育現場におけるICT活用で注目されているものの一つとして電子黒板があります。
今回は、電子黒板の特長や活用メリット、活用シーンのほか、導入に当たって必要な検討事項など、電子黒板を導入する際のお役立ち情報をご紹介します。
まずは電子黒板の概要と特長、従来の黒板との違いを確認していきましょう。
電子黒板とは、従来の黒板やホワイトボードに代わるツールで、デジタル技術を用いて情報を視覚的に表示することができるものです。PCなどの端末と接続し、画面をディスプレイに表示したり、指やタッチペンを使って画面に直接書き込みができます。
学校教育において電子黒板はさまざまな形で活用されています。例えば、教師は授業中にインターネットからリアルタイムで情報を取得して共有したり、動画や画像を用いて視覚的に説明を行ったりすることができます。さらに学生が自分のデバイスから直接電子黒板に情報を送信もでき、授業内で共有・発表することも可能です。このように電子黒板は教室でのコミュニケーションを活性化し、学習の質を向上させる役割を果たしています。
電子黒板は、従来の黒板のように板書の使い方ができるほか、映像を流したり、遠隔地とつなぎ遠隔授業を行ったりとさまざまな使い方ができるのが特長です。
画像や動画の投映・書き込み・データの保存
従来の黒板と異なり、児童生徒からよく見えるように教材を大きく提示したり、提示した教材に、マーキングや補足説明などを直接画面に書き込んだりすることができます。
最近では4Kディスプレイの製品も増え、より鮮明な映像で授業を行うことができるようになりました。
さらにタッチ操作により、一部分を拡大する、移動するといったことも行えます。動画や音声教材も利用できるため、より自由度の高い授業を行うことが可能です。
提示したものは保存しておけるので、後で再び見せることができるのも特長です。
遠隔地とつなぐ
Web会議システムを活用すれば、他の地域や国外とつないだ遠隔授業を行うこともできます。
また従来の黒板は授業が終了した後、板書を消す必要がありましたが、電子黒板はそのように物理的に消す作業が必要ない点も違いといえます。
このように電子黒板は、従来の黒板と比べて自由度が高く、多様な展開の授業を行えるツールです。
電子黒板には主に「タッチディスプレイ型」「プロジェクター型」「ユニット型」の3種類があります。それぞれの特徴を以下に解説します。
タッチディスプレイ型の電子黒板は、ディスプレイそのものがタッチスクリーンになっているタイプです。このタイプは画面に直接触れて操作できるため、直感的で使いやすいのが特徴です。高解像度のディスプレイを備えているため細かい文字や画像も鮮明に表示され、タッチペンを使って精密な書き込みができるため、詳細な図やグラフの説明にも適しています。
プロジェクター型の電子黒板は、プロジェクターを用いてスクリーンや壁に映像を投影するタイプです。投影するだけで使用できることから既存の教室設備を活用しやすく、比較的低コストで導入できるのが利点です。プロジェクターで投影された映像は専用のタッチペン操作も可能で、広い画面に投影できるため大きな教室でも視認性が高いのが特徴です。
ユニット型の電子黒板は、既存のホワイトボードに専用のユニットを取り付けることで電子黒板として機能させるタイプです。このタイプは既存の設備を活用できるため、導入コストを抑えつつ電子黒板の機能を追加できます。ユニットを取り付けるだけで通常のホワイトボードがデジタル化され、タッチペンや指での操作が可能になります。
電子黒板を導入することにより、教育現場においてはさまざまなメリットが期待できます。
電子黒板を利用して授業を行うことで、児童生徒の授業への集中力や理解度が向上し、結果的に学習意欲が高まるというメリットが期待できます。
理由としては、視覚的にわかりやすく教材を活用できるため、理解が深まりやすくなると考えられるためです。また映像などを駆使することで、インパクトがあることから、児童生徒の興味・関心を呼び起こします。興味関心のある対象には自然と集中しやすくなるでしょう。
また電子黒板は過去の授業で提示した内容を保存できるため、復習や振り返りが容易で児童生徒の学習が深まると考えられます。
電子黒板を利用する授業では、生徒のノートをタブレット端末などで撮影し、電子黒板上に提示して皆に共有することもできます。ただ一方的に教員が授業を行うだけでなく、情報を共有し、コミュニケーションを取りながら、双方向の授業を実現します。
教員にとっての利便性は大幅に向上します。これまで板書にかけていた時間を削減できるほか、過去の授業データを保存し、後での呼び出しも容易であるためです。また授業中にスムーズに教材を切り替えて提示できるので、児童生徒を待たせることなく、途切れない授業が可能になります。
近年、教員の長時間労働の深刻な実態が問題になっており、教員の働き方改革は急務となっています。電子黒板は授業の効率化やスピード化につながるため、労働時間の短縮にも寄与すると考えられます。
実際の教育現場において、電子黒板はどのようなシーンでどのように活用されているのでしょうか。具体的なシーンと活用方法をご紹介します。
電子黒板は、タッチ操作で拡大縮小が容易に行えます。算数の図形や社会科の地図などを拡大して見せたい場合に便利です。児童生徒もわかりやすく対象を認識できるので、理解が進みやすくなるでしょう。
児童生徒の興味関心をより高めたいときにも有効活用できます。例えばWeb会議システムを接続して、近隣の他校と画面を共有しながら同時に授業を進めていくといった方法を取れば、新鮮な体験となり、興味関心が高まると考えられます。
また社会科の歴史の授業において、伝統的な工芸品を手元で映しながら、電子黒板に拡大して表示するといった貴重な機会も提供できます。このような授業は、児童生徒たちの興味関心を大きく引くでしょう。
前述の通り、電子黒板は授業で投映した内容を保存しておくことができるので、後日過去の授業内容を振り返りたいときに素早く内容を表示することができます。
実演を伴う授業の場合に、教員が実演している手元をカメラを通して画面に表示することで、後ろの席の児童生徒も間近で見ているかのように実演を詳しく見ることができます。これによって、より実技の技能を習得しやすくなると考えられます。
児童生徒が教壇の前に立ってクラスメイトの前で何かを発表するのは、よくある授業の1シーンです。このような児童生徒が発表する授業において電子黒板を活用することで、より有意義な発表になります。
例えば他の児童生徒のノートを複数画面に映し出し、意見を言い合うといった授業は、児童生徒のコミュニケーション活性化と自主性を引き出すことにもつながるでしょう。
電子黒板を学校に導入する際には、導入目的や設置環境を確認することで選ぶべき製品が分かり、満足のいく成果につながると考えられます。
電子黒板の導入目的や「どのように使うのか」を明確にしてから、機器の選定を進めていくことが大切です。目的や使い方によって選定すべき製品も変わってきます。例えば、「電子黒板を使って写真や資料を拡大させて細部まで見せて理解を深めたい」といった場合は4Kディスプレイ搭載の製品を選ぶなどが考えられます。
電子黒板の導入前に、設置する場所や明るさなど環境を確認しておきましょう。
まず、電子黒板を設置するスペースを確認します。教室などの設置スペースに応じて製品を検討する必要があります。スタンドが付いている製品の場合は十分に置くスペースがあるのか、スペースを確保できない場合は壁掛けを検討するなどが考えられます。
また、画面への光の映り込みは問題なさそうかなど環境面も配慮した上で設置スペースを検討しておくと良いです。
万が一、機器にトラブルが起きたときの対応方法を予め検討しておくことも重要です。画面が映らなくなったなど、トラブルが起きた場合は授業を中断することになり、早急に復旧する必要があるためです。
トラブルが生じた際の問い合わせ先や、サポート体制はどうなっているのかも十分に確認しておきましょう。
電子黒板に教材や資料を映すためには、教材をあらかじめデジタル化しておかなければなりません。すべての教材や資料がデジタル化されているわけではないのが現状と思われます。自らデジタル資料をPC上で制作することも念頭に置いておきましょう。
電子黒板を導入することで、児童生徒の学習が深まるのはもちろんのこと、教師の働き方改革の推進といったところまで幅広いメリットが期待できます。
電子黒板の導入をご検討の際はお気軽にリコーにご相談ください。教育現場向けの製品を複数取り揃えており、機器選定のお手伝いや導入サポート、トラブル時のサポート対応も行っております。