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樹脂判別ハンディセンサー(RICOH HANDY PLASTIC SENSOR B150) ナレッジ プラスチックのリサイクルにかかるコストとは?削減の鍵を徹底解説

プラスチック
プラスチックのリサイクルにかかるコストとは?削減の鍵を徹底解説

2026年9月3日

はじめに

プラスチックのリサイクルは環境負荷の低減に欠かせない取り組みですが、実際にはコストの壁が大きな障害になっています。再生プラスチックの製造コストがバージン材(新品の原料樹脂)の販売価格を上回るケースが多く、リサイクルを拡大するには費用構造の見直しが避けられません。
この記事では、プラスチックリサイクルにかかるコストの内訳から、削減に向けた技術・政策・事例までを紹介します。工程ごとの費用がどこで膨らみ、どのような手段で圧縮できるのか、具体的な数値と仕組みをもとに解説していきます。

プラスチックリサイクルの現状と課題

前述の内容を表した図

国内の廃プラ処理状況

日本の廃プラスチック処理は、サーマルリカバリーが大きな割合を占めています。2023年の廃プラスチック総排出量は769万トンで、そのうち素材として再利用するマテリアルリサイクルをされたのは22.2%にあたる171万トンでした。化学的に分解して再利用するケミカルリサイクルは3.4%の26万トン、熱回収するサーマルリカバリーは63.8%の491万トンです(参照*1)。
マテリアルリサイクルされた171万トンのうち、82.4%の141万トンが使用済み製品由来であり、そのなかで一般系廃棄物は74万トンでした。残りの17.6%にあたる30万トンは、生産・加工の過程で出たロス品です(参照*1)。
海外に目を向けると、米国では2018年時点でプラスチック全体のリサイクル率は8.7%にとどまり、リサイクル量は300万トンでした。ただし、PETボトルのリサイクル率は29.1%、HDPE(高密度ポリエチレン)ボトルは29.3%と、容器の種類によっては比較的高い数値を示しています(参照*2)。

リサイクル率が低い背景

プラスチックのリサイクル率が伸び悩む原因は、素材そのものの特性と製品設計にあります。廃プラスチックのうちリサイクルされているものは1割弱にすぎず、約7割がサーマルリカバリーや焼却処理に回されています。長期間の使用による劣化や、多種のプラスチック・その他の素材が混合した製品が多いことが、低いリサイクル率の主な要因です(参照*3)。
再生されるプラスチックペレット(粒状の原料)の品質は、バージンプラスチックに比べて制限があります。そのため、使用済みプラスチックから再生ペレットを製造するコストと、再生ペレットから製品に加工するコストの合計に見合う付加価値がなければ、品質向上を伴うリサイクルは成立しにくい構造になっています(参照*1)。
つまり、技術面での品質の壁と、コスト面での採算の壁が同時に存在しており、双方を乗り越えなければリサイクル率の大幅な改善は難しい状況です。

リサイクルコストの構造と内訳

前述の内容を表した図

回収・選別・洗浄・再生の工程別費用

プラスチックリサイクルのコストは、回収から再生までの各工程で積み上がります。とくに高品質な再生材をつくろうとすると、選別・洗浄・造粒(ペレット化)の工程でコストが大きく膨らむ傾向があります。実証試験の結果では、高度選別を導入して売却益は増加したものの、選別費・洗浄費・造粒費の増加により、費用対効果は、追加コストを十分に吸収するには至りませんでした(参照*4)。
高品質化を志向した場合、売却単価は上がる一方で、選別・洗浄・造粒にかかるコスト増が先行し、付加価値が市場価格に十分反映されていない構造が確認されています(参照*4)。
こうした構造は、品質を上げれば売れるという単純な図式が成り立たないことを示しています。各工程のコストをどこで圧縮できるかを見極めないまま高品質化に投資すると、かえって採算が悪化する可能性があります。

バージン材との価格差

再生プラスチックの普及を妨げる大きな要因が、バージン材との価格差です。環境省は、再生プラスチックの製造コストがバージン材の販売価格を上回る試算結果を示しており、コスト削減に向けた大規模化・集約化や需要喚起策の検討が必要としています(参照*5)。
具体的な製品レベルでの影響も明らかになっています。一般的なPE(ポリエチレン)フィルムの場合、再生材を30%混合した際には材料費が1kgあたり30%上昇します。製品全体では約15%のコスト増となり、4gのPE袋では全量バージンの場合1枚1.6円に対し、30%再生材利用では1枚あたり1.84円で12.5%(2.4円)増と想定されます(参照*4)。
このように再生材の混合比率が上がるほど製品コストも上昇するため、環境価値の訴求だけでなく、製造工程全体でのコスト低減策とセットで取り組む必要があります。

コスト削減に向けた技術と仕組み

前述の内容を表した図

高度選別・AI活用による効率化

リサイクルコストの削減には、選別工程の効率化が鍵を握ります。NEDOの事業では、前処理・AI識別・ロボットピックアップの工程を統括制御するベンチスケールの選別システムが構築されました。前処理を含む選別工程の処理時間は262秒で、国内の産業廃棄物処理業者での活用を想定した小規模かつワンパスの自動選別システムの技術基盤が確立されています(参照*6)。
また、自動車由来の混合廃プラスチックを対象とした取り組みでは、ジグ(比重選別装置)の採用により比重液廃液の処理や洗浄水を削減し、静電選別と中赤外線ソーターを組み合わせることで効率的かつ精度の高いリサイクルが確立されました。MIX樹脂Aから22%、MIX樹脂Bから14%の再生樹脂が回収され、ASR(自動車シュレッダーダスト)全体の1.3%にあたる年間約6,300トンの回収増に相当します(参照*7)。
選別精度の向上は、後工程の洗浄・造粒にかかる負荷を下げることにもつながるため、リサイクル全体のコスト構造に影響を与える起点となり得ます。

大規模化・集約拠点の構想

リサイクルの処理量が小さいままでは、1トンあたりのコストを下げにくい問題があります。環境省は、再生プラスチックの集約拠点として、全国数か所にリサイクラーが生産した再生材を集め、大量生産に耐えうる供給能力と高品質化・均質化・安定化を実現する品質管理機能の構築を目指しています。受入基準やグレード別の価格設定、プロセス認証の活用により安定運用を図り、破砕・選別・洗浄工程の効率化と標準化を進める方針です(参照*5)。
集約拠点が機能すれば、各地のリサイクラーが個別に担っている品質管理や在庫管理の負担が軽減され、需要側にとっても安定した品質の再生材を調達しやすくなります。スケールメリットによるコスト低減と、供給の安定化を同時に狙う仕組みといえます。

低温成形・ケミカルリサイクル技術

成形時の温度を下げることで、エネルギーコストと素材劣化の両方を抑える研究が進んでいます。京都大学の研究グループは、バロプラスチック(圧力で流動するプラスチック)の一種であるポリL乳酸を含む共重合体を、汎用のポリL乳酸に添加する手法を開発しました。加圧下での低温流動が確認され、成形温度を従来より大幅に低下させることに成功しています。低温成形により分子量の低下が抑えられ、リサイクル時の劣化が大きく改善されました(参照*8)。
成形温度の引き下げはエネルギー消費の削減に直結し、繰り返しリサイクルしても品質が落ちにくくなれば再生材の用途も広がります。素材レベルの技術革新がコスト構造を変える可能性を示す事例です。

国内外の政策・制度とコストへの影響

前述の内容を表した図

欧州ELV規則と再生プラ含有義務

欧州では、自動車分野で再生プラスチックの使用を義務化する動きが具体化しています。欧州委員会は2023年7月に、現行のELV指令(廃自動車指令)等を改正する「自動車設計の循環性要件及び廃自動車管理に関する規則案」を公表しました。2025年12月に暫定合意が成立し、2026年2月に最終条文案が公表されています(参照*5)。
この規則案では、再生プラスチック含有率の義務化要件として、規則施行6年後に15%以上、10年後に25%以上が求められ、そのうち自動車由来の再生材割合を20%とする旨が示されました(参照*5)。
含有率の義務化は再生材の需要を制度的に創出するため、量の拡大を通じて1トンあたりの製造コストを押し下げる効果が期待されます。一方で、自動車メーカーにとっては再生材の調達コストが製品原価に加わることになり、サプライチェーン全体でのコスト配分が焦点になります。

米国SB54・EPAインフラ投資

米国ではカリフォルニア州のSB54法が、プラスチック汚染の削減を目的とした大規模な費用負担の枠組みを定めています。同法と関連規則の直接コストは、10年間の実施期間で約210億ドルと試算されています。生産者責任組織(PRO)は2027年暦年から2037年1月1日まで、年間5億ドルの追加負担金をカリフォルニア州税務局に納付する義務を負います(参照*9)。
インフラ面では、米国環境保護庁(EPA)が、路上回収・拠点回収・処理施設の整備に365億〜434億ドルの投資が必要と見積もっています。この投資により、包装材や有機廃棄物を中心に8,200万〜8,900万トンの追加回収が見込まれ、2018年時点の回収量9,400万トンに対して91%増という規模です(参照*10)。
制度による費用負担とインフラ投資は、短期的にはコスト増の要因となりますが、回収量が大幅に増えれば処理単価の低下につながる構図です。

国際プラスチック条約とEPR

国際的なルール形成もリサイクルコストに影響を与えます。国際プラスチック条約の議論では、拡大生産者責任を国際ルールの下で実施した場合、5,760億ドルの収益が見込まれ、廃棄物管理能力の増大を通じてプラスチック廃棄物管理を効果的に実施できるとの分析があります。国際ルールの導入により、各国がばらばらに規制を敷く場合と比べて、プラスチック廃棄物管理の支出から収入を差し引いた累積正味コストは9%削減され、日本でも分散ルール比で10%の削減が見込まれています(参照*11)。
国ごとの規制が乱立するよりも、統一されたルールのほうが管理コストを抑えられるという試算は、国際交渉の方向性を考えるうえでの指標になります。

事例に見るコスト比較と経済効果

前述の内容を表した図

自動車向け再プラの試算

自動車分野は再生プラスチックの大量消費先として注目されていますが、コスト面での課題が依然として残ります。環境省の検討会では、供給量目標の達成可能性を左右する将来コストの分析が行われ、再生材の価値訴求への対応を明確にする方針が示されました。コスト削減とコストギャップの縮小、そして環境価値の訴求による行動変容を促す必要があるとの方向性です(参照*12)。
対策を講じない場合の影響も試算されています。2040年までに、プラスチックの回収・処分にかかる年間コストは30%増の1,400億ドルに達し、米国の納税者はプラスチック一般廃棄物の管理費として年間約370億ドルの負担を強いられる見通しです。対策開始が5年遅れるだけで、各国政府など公的部門のプラスチック回収・処分にかかる年間コストは、2040年までに推計23%、270億ドル増加するとの分析もあります(参照*13)。
コスト負担の先送りがさらなる負担増を招くという試算は、早期の投資判断を後押しする根拠となります。

容器包装リサイクルの費用対効果

容器包装プラスチックの分野では、リサイクルと焼却を総合的に比較した分析が行われています。廃プラスチックの処理費用だけでなく、新たなプラスチックの調達費用を含めて「リサイクル処理+再生プラ調達」と「焼却処理+バージンプラ調達」のコスト比較を行った結果、前者のほうが低コストでした。事業系容器包装プラスチックをマテリアルリサイクルするこのケースでは、CO2を1トン削減する費用が焼却処理よりも約2万円安くなるとの分析です(参照*3)。
世界規模の試算では、プラスチックの生産量削減と循環利用の拡大を進める「システム転換」シナリオにおいて、2040年のプラスチックシステム全体の年間コストは2.3兆ドルとなります。生産量が減ることで回収・選別・処分にかかる公的支出は190億ドル減り、13%の削減になる一方、より多くのプラスチックが経済圏内で循環するため、リサイクルへの支出は 何もしなかった場合 より39%多い760億ドル増になります(参照*13)。
処分コストの削減とリサイクル投資の増加を差し引きで考える視点が、費用対効果を正しく評価するうえでは欠かせません。

コスト削減の判断基準と注意点

プラスチックリサイクルのコスト削減に取り組む際には、品質向上とコスト増のバランスを慎重に見極める必要があります。実証段階では、高度選別により売却益は増加したものの、選別・洗浄・造粒費の増加を吸収するには至らず、高品質化による付加価値が市場価格に十分反映されていない結果が出ています。さらに処理量が限定的であるため、スケールメリットによる単位あたりのコスト低減は未検証のままです(参照*4)。
一方、製造工程における端材の活用も必要です。プラスチック製造業では製造コストの約7割を材料コストが占めるとされ、成形工程で発生する端材と不良品を効率よく工程に戻すことが利益へとつながります(参照*14)。
また、異なる業種間で再生素材を融通する取り組みも始まっています。OA機器から回収したプラスチックと異業種から回収したプラスチックをハイブリッド化することで、材料グレードや色材の統一化、需要と供給のバランス、コスト面の課題を解決し、同じ用途に繰り返し再生する方式であるクローズドマテリアルリサイクルにおける再生プラスチックの開発が実現しました(参照*15)。

おわりに

プラスチックリサイクルのコストは、選別・洗浄・造粒といった各工程で積み上がり、バージン材との価格差が依然として残っています。一方、AI選別の導入や集約拠点の構築、低温成形技術の開発、そして国内外の政策による需要創出は、このコスト構造を変え得る具体的な手段です。
コスト削減の道筋は一つではなく、技術革新・規模の拡大・制度設計の3つを組み合わせて初めて成果につながります。自社の工程のどこにコスト増の要因があるのかを把握し、適切な施策を選ぶことが、プラスチックリサイクルの経済性を高める出発点になります。

お知らせ

プラスチックのリサイクルとコスト課題を解決するには、正確な分別で再利用率を高める仕組みが鍵になります。多様な種類を短時間で判別できるツールや作業フローの導入で、現場負担とコストを同時に削減できます。

環境保全や自然再興への取り組みを求められる今、私たちは正しいリサイクルの知識を持ち、マテリアルリサイクルを進められるように努力することが必要です。

では、どうすれば、マテリアルリサイクルを加速させることができるのでしょうか。さまざまな種類があるプラスチックを正確に分別できれば、マテリアルリサイクルが加速します。

そのお役に立てるデバイスとして「樹脂判別ハンディセンサー」を開発しました。リコーの樹脂判別ハンディセンサーを使用すると、13種類の主なプラスチックを簡単に識別することができ、さらに最大100種類までのデータを登録してカスタマイズすることが可能です。

日々様々なシーンで利用しているからこそ、しっかり判別して再利用率を高め、環境にやさしい使い方をしていきましょう。

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樹脂判別の仕組みと製品仕様はカタログでご覧いただけます。

環境問題への取り組み、何から始めるか迷った方へ。樹脂判別ハンディセンサー製品カタログダウンロード カタログをダウンロードする

参照

著者名

長野 修司
リコー 経営企画本部 環境・エネルギー事業センター 事業推進室 事業推進グループ
デザイン部門にて製品デザインに従事。その後、新規事業企画・開発やDX部門にて社外への業務改善コンサル業務を経て、現在、ゼネラリストとして環境事業の推進を行っている。

【本コラムのご利用にあたって】

本コラムは、AI技術を活用して情報収集および作成を行っております。掲載の際は、別の検証システムによるファクトチェックを行い、情報の正確性向上に努めております。

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