コラム 22

コラム

今さらだけど「電子帳簿保存法」を詳しく知りたい!

寄稿 OAG税理士法人 大谷 洋一郎

令和5年10月から適格請求書保存方式、いわゆるインボイス制度が始まります。数年前から全国各地で経営者から実務担当者の皆様にセミナーを通じてインボイス制度や電子法簿保存法の説明をしていますが、この「電子帳簿保存法」がイマイチわからないといった声が多くあります。今回のコラムでは、電子帳簿保存法の概要について説明します。

電子帳簿保存法の理解のポイントは「会社の帳票の様態3パターン」

皆様の会社に存在する帳票を分けると、大きく3つにわけることができます。一つ目は、自社の会計システムに入力して作成した会計データとしての帳票、二つ目は、取引先から紙媒体で受領した帳票、三つ目は、取引先からデータで受領した帳票です。この3つの様態に応じて電子帳簿保存法の各種のルールが決められています。

自社の会計システムに入力して作成した会計データとしての帳票

経理担当者が会計システムに仕訳等を入力した際、帰宅時にバックアップデータを保存します。本来、原則として、この会計データは紙で打ち出して紙で保管しておくことが必要です。税務署の税務調査にすぐに対応できることが趣旨です。ただ、このご時世、いちいち紙で打ち出して保存することはとても非効率ですし、コストもかかります。そこで、紙で打ち出さずにデータで保管する場合に、「電子帳簿保存法の電子帳簿等保存の要件」を満たす必要が出てきます。

前述の内容を表した図

取引先から紙媒体で受領した帳票

経理担当者のもとに、郵送で紙の請求書が届いたり、営業担当から接待後の領収書等が紙で提出されたりします。本来、原則として、これらの帳票は紙でそのまま整理して綴って保管しておくことが必要です。これまた税務署の税務調査にすぐに対応できることが趣旨です。ただ、このご時世、いちいち紙でそのまま保存することはとても非効率ですし、保管場所のコストもかかります。そこで受領した紙の帳票をスキャンで読み取ってデータで保管する場合に、「電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件」を満たす必要が出てきます。

取引先からデータで受領した帳票

経理担当者がメールを開くと、取引先からメールに添付されたデータの請求書が届いたり、営業担当が出張した際に法人登録している旅行サイトの画面でデータの領収書をダウンロードしたりします。本来、原則として、これらのデータは紙で打ち出して保管しておくことが必要です。税務署の税務調査にすぐ対応できることが趣旨です(もういいですね笑)。そこで、(ここから重要)、2024年1月から、これらデータで受領した帳票はデータで保存することが“義務“となり、紙で印刷しての保管は原則禁止となります。この場合に、「電子帳簿保存法の電子取引の要件」を満たす必要が出てきます。

インボイス制度導入に向けて

「会社の帳票の様態3パターン」について簡単に説明しましたが、令和5年10月以降のインボイス制度開始に伴い、まず対応が必要なことは「電子帳簿保存法の電子取引の要件」を満たした対応をすることです。なぜなら、義務だからです。一方、「電子帳簿保存法の電子帳簿等保存の要件」「電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件」は現在の経理実務に照らすと、その導入は非常に重要です。業務のDX化、コスト削減の点で効果抜群です!3パターンを理解して、今後の対応をご検討ください。

  • 本文に掲載されている情報は、2023年8月現在のものです。
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