寄稿 日鉄日立システムソリューションズ株式会社
デジタルドキュメントソリューション部 コンサルタント
上級文書情報管理士・文書情報マネージャー 梅原
淳
電子帳簿保存法(以下、電帳法と称します)対応に向けた準備作業は以下の項目に分けて検討する必要があります。
国税関係帳簿と決算関係書類の保存対象は、法令で作成が義務付けられている帳簿と書類になりますが、これらを電帳法に定める要件を満たすことで、電子保存することが可能となります。
その準備は各法令に規定されている備付項目を保存する必要がありますので、現在運用している会計・販売・購買・生産・物流などの各システムのDBの中で、1.どの様なタイミングや単位で対象データが作成され、それらを2.どの様に仕訳データとして会計システムに反映しているのかを、その入力の元となる伝票など(入力原簿)からの流れから整理する必要があります。その上で、対象データの見読可能性(整然とした形での画面表示や印刷、電帳法で定められた項目での検索性)を検証します。
例えば売上に関して「年月日」「取引先」「品名」「単価」「数量」「金額」の各データが、販売管理システムのDBの中で作成されており、会計への仕訳は伝票単位や取引先単位で集計された金額のみ連携している場合は、販売管理システム自体で電帳法の要件を満たす必要があります。それが不可能な場合には、JIIMA*の「電子帳簿ソフト法的要件認証」のパターン2(保存)のソフトなどを利用して要件を満たす方法があります。
取引先との都合で、取引関係の書類は「書面」や「電子データ」など様々な形式で授受されます。電子データの形式についても、CSVデータなどの電子データ、PDFデータなどの電子化データなど多岐に及んでおります。
取引関係書類の電帳法対応においては、法令で定められている取引関係書類をもれなく保存することが必要となります。そのためには現場を巻き込んだ取引関係書類の全量把握のための棚卸が必要となってきます。現場に対して、漠然とした棚卸を依頼しても、求める結果に結び付かないことも考えられますので、電帳法の概要と棚卸をする必然性を丁寧に説明する必要がありますし棚卸を的確に記載できるフォーマットの工夫も必要となってきます。棚卸の結果を受けて、以下について優先順位を付与して対応することが肝要です。