オフィスリニューアルを進める際に気になるのが費用面です。リニューアルの目的や規模と照らし合わせながら、どのくらいの予算を準備すべきか、検討している方もいるでしょう。
また、できるだけコストを抑える方法を検討している方も多いのではないでしょうか。コストは抑えつつ、効果のあるリニューアルをしたいと考える総務のご担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、オフィスリニューアルにかかる費用を種類別・部分別にご紹介します。またコスト削減の方法やコストを抑えても効果のあるリニューアルを進めるアイデア、コストを抑えながら理想のオフィスリニューアルを進める業者選びのポイントも合わせて解説します。ぜひお役立てください。
まずはオフィスリニューアルの定義をご紹介します。
オフィスリニューアルとは、既存のオフィス空間を、より働きやすく、機能的な環境へとアップデートすること全般を指します。近年はオフィスデザインやレイアウト、設計にこだわる企業が増えており、ビジネス戦略と紐付けてオフィス改革を図るケースも少なくありません。
オフィスのレイアウト、設計、デザイン、内装、設備など多方面でオフィスを見直し、新たに作り変えます。
オフィスリニューアルはオフィス改装とも呼ばれることがあります。
オフィスリニューアルはオフィス改修とは異なる概念です。
どちらもオフィス環境をよりよく改善するという意味では共通していますが、オフィス改修が老朽化した内装や設備の改修・改善の意味合いがあるのに対し、オフィスリニューアルは外観や内装、デザイン、設備などを一新すること全般を指します。その際、改修を伴うこともありますが、あくまで刷新が目的となります。
オフィスリニューアルは、主に次の費用がかかります。
改装・内装工事費用 10万円~50万円/坪
家具・什器購入費用 15万円~40万円/人
引越・運搬費用 3万円~5万円/人
設計費用
プロジェクトマネジメント費用
コンサルティング費用
オフィスリニューアルの全体金額の割合(パーセンテージ)で提示されます。規模が小さくなると割高になる場合があります。
内装工事は建物の内部で行う床や壁、天井などの工事を指します。また設備工事は内装工事に含まれることもありますが、照明・電気設備、空調設備、衛生設備、セキュリティ関連の設備、防災設備などの工事があります。
また仮オフィスとは、オフィスリニューアル工事中に業務を行う場所です。工事が部分的で小規模であれば、従業員が働きながら合間を縫って行うこともできますが、大規模なオフィスリニューアルの場合、通常業務との同時進行がむずかしくなります。そこで仮のオフィスを用意して、工事が終わるまで業務を行います。仮オフィスは近隣にあるレンタルオフィスやシェアオフィスなどを短期契約して利用するのが一般的です。その利用料も予算に含めておきましょう。
オフィスリニューアルにかかるコストは、単に工事費や設計料だけではありません。改装費に加え、社内調整にかかる時間、業務の一時停止による機会損失、関係者との打ち合わせにかかる人的リソースなど、見えないコストも含まれます。たとえば、総務部が改装プロジェクトに割く時間は通常業務に影響を与え、結果的に生産性の低下につながる可能性があります。こうした間接的なコストを含めて、オフィスリニューアルの費用を総合的に捉えることが重要です。
間接的なコストの解決策として、プロジェクトマネジメント費用やコンサルティング費用は必要に応じてかかってきます。
主な業務内容例
リニューアル計画の策定:目的(働き方改革、企業のブランド戦略の強化、スペース効率化など)に応じた方針を定める。
レイアウト設計:部門間の動線やコミュニケーションを考慮した空間設計。
家具・什器の選定:機能性・デザイン性・コストのバランスを考慮。
ITインフラの整備:ネットワーク、会議システム、セキュリティなどの再構築。
従業員配置計画:新レイアウトに合わせた座席・部署配置の調整。
予算・契約管理:施工業者やデザイン会社との契約、コスト管理。
社内調整・コミュニケーション:各部門との連携、従業員への周知・説明。
実施日の運営:工事期間中の業務影響の最小化、当日の進行管理。
オフィスリニューアルは、オフィス移転を機に行われることもあるため、下記の費用も想定しておく必要があります。
オフィスリニューアルとオフィス移転を同時に行う場合は、新オフィスの賃貸契約時にかかる費用と引っ越し費用、旧オフィスの原状回復工事や廃棄物処理費用も予算に入れておきましょう。
オフィスリニューアルは、数十万円から数百万円にも上るコストを要する大規模なプロジェクトとなります。できる限りのコスト削減を行いたいものです。
オフィスリニューアルのコスト削減の方法をご紹介します。
オフィスリニューアルは全体リニューアルと部分リニューアルに分かれるとお伝えしましたが、コストを抑えることに重点を置いた場合、部分リニューアルを選択し、部分的に必要最低限の箇所のみを対象とするのが良いでしょう。
このとき、優先課題から順番に解決を進め、優先度の低い箇所は次の機会に行うなども一案です。例えば固定席を持たないフリーアドレスの導入のために執務エリアのリニューアルを優先し、エントランスや会議室は後日に回すといった具合です。これにより重要な課題が先に解決されることで、生産性向上を生み出し、費用対効果が期待できます。
全体リニューアルも部分リニューアルも複数箇所の施工を考えている場合は、優先度に応じてコストにメリハリをつけるのも一案です。
オフィスリニューアルの費用はさまざまな項目があることをお伝えしましたが、一つ一つ別々の業者に依頼するのと比べて、一括で依頼するほうがコストを抑えられることがあります。業務の範囲や業者の基本料金設定によっても変わりますが、設計から内装・設備工事、家具や機器の選定・導入、運用までワンストップで対応するトータルサポート会社に見積もりを取り、比べてみるのもおすすめです。
オフィスリニューアルが事業拡大や業務改善などビジネスの課題解決を意図する場合、国や機関による補助金が利用できることもあります。条件に合致するものがあれば申請手続きを行いましょう。
オフィスリニューアルに利用できる可能性のある補助金
これらの補助金の根本的な目的は中小企業の生産性向上や事業拡大を支援することにあるため、それらを目指す中小企業は、オフィスリニューアルの際に適用できるものはないか確認する余地はありそうです。
リコージャパンでは単なるデザインやレイアウトの変更ではなく、企業の成長に寄与するオフィスづくりのコンセプトとしてRICOH Smart Huddleを提唱しています。費用の項目別に、コスト削減のポイントとあわせてご紹介します。
内装や設備はできるだけ既存のものを活かすようにし、最低限の施工を行う方針にする方法が一つに考えられます。
また内装に利用する建材やクロスなどはグレードによって価格に開きがあるため、こだわる必要のある箇所はグレードを上げ、必要のない箇所はグレードを下げるなど細かな調整をしましょう。
家具や什器についてもグレードがあるため、必要に応じてグレードを調整するのが良いでしょう。またリースやレンタルを利用して初期導入コストを低減するのも一案です。ただし、ランニングコストがかかるため、長く使う場合は買い切りのほうが良いこともあります。
ICT機器などはリース・レンタル利用が可能であることもあるため、短期利用を想定すれば初期導入コストにメリットがあります。またクラウドサービスとオンプレミスを選べる場合はクラウドサービスのほうがコスト低減になるでしょう。
アイデア次第でコストを抑えることも可能です。
固定席をなくすフリーアドレスやリモートと出社を併用するハイブリッドワークを採用する場合、スマートフォンからオフィスの座席や会議室の予約ができるシステムを導入することで、新しい働き方の導入浸透と効率化が可能です。
リコージャパンでは、スマートフォンから座席予約が可能で、在席場所の可視化もできるシステムをご提案しています。顔認証の入退室システムと連動しているため、セキュリティ強化も可能です。
会議室の予約も含めた仕組み導入により、新しい働き方を促進できます。
予算の範囲内で集中力を高める個室ブースやリラックスのためのソファなどを導入することで、従業員ニーズに応えることができます。
集中力を高める個室ブースの導入をご提案しています。周囲の騒音をマスキングできるブースなら、個人作業やリモート会議に集中できます。
リモートと出社のメンバーがつながりあえるリモート会議では、360°カメラをマイクスピーカーとあわせて導入することで、物理的な距離を感じさせない仕組みを作ることができます。
社内外のメンバーが気軽にリモートミーティングを行える環境をさまざまにご提案しています。リモート参加者のいる会議では、リモート先から360°カメラで会議室を見渡すことが可能で、情報格差を解消できます。タブレットの配置場所により、疑似的にその場に座っているかのように演出できます。
その他、井戸端会議もリモートメンバーも含めて、ディスプレイと接続機器で手軽に実施可能な環境や、取引先との1対1のリモートミーティングが可能な個別ブースなども手軽に実施できるのでおすすめです。
リモートではなかなか得られない偶発的な「人、モノ、情報との出会い」を創出する、複合機や休憩スペース、掲示板を1箇所にまとめたスペースのコピーバーをご提案しています。
コピー出力したものを取りに来たり、ゴミを捨てに来たりしたついでに偶発的な出会いが生まれます。その結果、部署を横断した横のつながりを生み出し、気軽な雑談からアイデアが生まれることもあるでしょう。
軽飲食物を福利厚生として用意しておくことで、より休憩スペースの印象が強くなり、憩いの場としての利用も進みます。
ディスプレイやプロジェクターで社内報を表示すれば、自然に情報をキャッチでき、社内の情報共有も可能になります。
オフィスリニューアルでは、コストを抑えつつも、目的やコンセプトに沿った理想的なオフィス作りを進めたいものです。そこでコストを抑えながら、理想のオフィスリニューアルを進められる業者選びのポイントをご紹介します。
複数業者から相見積もりを取るようにして、相場を把握したり、比較したりしながら吟味するのがポイントです。その際、比較ポイントとして、詳細が記載されているかどうかのチェックも行いましょう。
費用の項目が漠然としており、内訳がわからないような記載では、何にどのくらいの費用がかかるのか不明です。その項目の中に不必要な費用が含まれていれば、無駄なコストをかけることになってしまいます。信頼のおける透明性の高い業者を見つけるためにも、費用の詳細を明らかにしてくれるところを選びましょう。
自社のオフィスリニューアルに近い実績の事例の有無を確認しましょう。同業種のオフィス作りの事例が多いほど、業界特有の課題に通じていると考えられます。また近しいオフィスコンセプトの実績が多ければ、デザイン・設計も自社の希望に近いものとなるでしょう。
オフィスリニューアルがただのデザイン刷新にとどまらないよう、自社の課題をヒアリングする姿勢があるかどうかも見極めましょう。ビジネス課題に耳を傾け、解決のために親身になってくれる業者であれば、コスト削減にも協力してくれる可能性があります。
完成後のアフターフォローが万全な業者を選ぶことで、安心して任せられます。保証期間がきちんと用意されているのはもちろん、不備があればすぐにケアしてくれるなどの体制の有無も確認しましょう。
オフィスリニューアルの費用はリニューアルの範囲や工事内容などによって大きく変わってきます。またコストをできるだけ抑えるためには、一つ一つの項目に対して、コツを押さえながら実施することがおすすめです。一つ一つの積み重ねにより、トータルコストを圧縮できるでしょう。
またコストを抑えながら実施するオフィスのリニューアルに際しても、今回ご紹介したアイデアを活用することで、ニーズを満たしたリニューアルを進めていけます。
コスト削減やコンセプトの実現、アイデアなどにお困りの場合は、リコージャパンがご支援します。
デジタルサービスとワークプレイスデザインを組み合わせたプロジェクトマネジメントをはじめとした企画、設計、工事、ICT環境の手配、アフターフォローまで、ワンストップでご支援いたします。トータルサポートの会社をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
![]()
監修者 わたなべ
2005年リコーグループに入社。
15年間、建築設計事務所で意匠設計および設計監理に従事。
美しさと機能性を両立する空間づくりを目指し、企画から監理まで一貫して携わる。
戦略担当として、人財戦略にも取り組んでいる。
この一冊で、最新の7つのワークスタイルが分かり、お客様の課題を解決に導きます。
サービスや価格に関する質問などお気軽にご相談ください。