MCA無線とは?MCA無線とIP無線の違いと、それぞれの特長とは?

無線の種類を調べていたら、「MCA無線」という名称が見つかり、どのような無線か調べているという方もいるでしょう。現在、無線には様々な種類がありますが、最も注目を集めているのは「IP無線」です。
そこで今回は、MCA無線とIP無線の比較を行い、その特徴や違い、それぞれにおすすめのユーザーを解説します。

MCA無線とIP無線とは?

MCA無線とはどのような無線なのでしょうか。また、近年、注目を集めている IP無線についても、合わせて定義と仕組みをご紹介します。

MCA無線とは

MCA無線とは、「Multi-Channel Access」の略であり、周波数の効率的な利用を目的として開発された一般業務用の陸上移動無線システムです。このシステムの大きな特徴は、一つの周波数帯を多くの利用者が順番に使用する方式であることです。具体的には、MCA無線では「制御局」という拠点があり、この制御局が通信の中継を行います。制御局は、利用者に空いているチャンネルを割り当てることで通信を実現します。もし、すべてのチャンネルが使用されている場合、利用者は順番が回ってくるまで待機することになります。空きチャンネルができ次第、自動的に通信チャンネルが割り当てられ、通信が可能となる仕組みです。これにより、周波数資源を効率的に利用することができます。

IP無線とは

IP無線は、NTTドコモ、au、ソフトバンクといった携帯電話キャリアの通信網を用いた長距離通信ができる無線のことを指します。通信には、IPネットワークが使われ、音声をパケットデータに変換してデータを伝送してやりとりを行います。

MCA無線とIP無線の仕組みの違い

MCA無線とIP無線は、どちらも通信手段として利用されていますが、その仕組みには大きな違いがあります。

まずMCA無線は、専用の無線周波数帯を使用して通信を行います。MCA無線は基地局を介して通信を行い、そのため通信エリアが基地局の設置場所に依存します。通信の安定性や信頼性が高く、特に災害時や緊急時に適していると言われています。

一方、IP無線はインターネットを利用した通信技術です。IP無線の仕組みでは、スマートフォンや専用のIP無線端末を使用して、インターネットを介して音声やデータを送受信します。IP無線アプリをスマホにインストールすることで、特別な端末を持たなくても手軽に利用できるのが特徴です。IP無線はWi-Fiや4G、5Gといったインターネット接続環境があれば、世界中どこでも通信が可能です。

このように、MCA無線は専用の無線周波数帯と基地局を使用するのに対し、IP無線はインターネットを介して通信を行うため、通信エリアや機器の違いが大きなポイントとなります。IP無線の仕組みは、特にスマホの普及により、より手軽で柔軟な通信手段として注目されており、業務用途だけでなく、個人利用やグループでのコミュニケーションにも広く活用されています。

MCA無線とIP無線の特徴

MCA無線とIP無線それぞれの特徴を見ていきましょう。

MCA無線の特徴

チャンネルと通話時間に限りがある

MCA無線は、制御局が利用者に空いているチャンネルを割り当てていくため、空きがなければ利用できません。また限られたチャンネルをスムーズに振り分ける必要性から、通信時間に制限のないIP無線機と異なり、MCA無線機では1回の通信時間が3~5分に制限されます。

災害時の通信手段として利用される

災害時には、携帯電話や固定電話は通信網に通信が集中するため、接続が制限されつながりにくくなります。その点、MCA無線は、電話回線を利用しないことから災害時の備えとして利用されています。

制御局の契約数によって通信距離が変わる

通信距離は、中継する制御局の契約数によって変わってきます。制御局の契約数が多ければ全国通信も可能であり、エリアを区切れば、関東、近畿など拠点間通信も可能となります。制御局は24時間365日体制で保守管理されています。

資格取得は不要だが免許申請が必要

利用に無線従事者等の資格は必要ありませんが、免許申請は必要です。

IP無線の特徴

エリアを問わず利用可能

IP無線はインターネット回線を利用して通信を行うため、エリアを問わず利用することが可能です。中継局の契約も必要なく、既存インターネット回線の利用で通信することができます。

緊急時にもつながりやすい

IP無線はインターネット回線を利用するため、電話回線がつながりにくい状況でも連絡手段として活用できます。企業の災害対策やBCP対策として利用されています。

コストを抑えて利用可能

IP無線は、導入後は、月額料金を支払い利用するのが一般的です。固定料金であれば、よりコストを抑えることができます。特にスマートフォンにアプリをインストールするだけで使い始められるIP無線アプリの場合、手持ちのスマートフォンがあれば機器購入コストが不要となり、さらにコスト減となります。

無線資格・免許が不要

IP無線は、利用に際して資格の取得や免許申請は一切不要です。手間やコストの削減につながり、導入しやすいといえます。

MCA無線とIP無線の選び方

MCA無線とIP無線の特徴がわかったところで、
それぞれの無線機の選び方やおすすめのユーザーを押さえておきましょう。

MCA無線がおすすめのユーザー

自営無線がメリットになる

MCA無線の特徴は、自営無線であることです。独自の中継局を持って運営されているため、一般的な携帯電話やIP無線機が圏外となるエリアや状況になった場合と比較し、自前の中継局を利用するため安定した通信が可能になります。この携帯電話網のインフラに左右されない点がメリットとなる場合にMCA無線は向いています。
実際、自治体などでも利用されている信頼性の高さはメリットの一つとなるでしょう。

災害時に限った利用など運用コストがそれほど負担ではない

MCA無線はコストが高額になりがちです。よって日々業務で利用するような場合に不向きといえます。一方で、災害時など頻度が高くないシーンで活用するのであれば、確実な通信が可能になることもあり、コストはそれほど気にならないでしょう。

MCA無線に使い慣れている

すでに長年MCA無線を使用してきて、従業員が使い慣れているといったケースは、MCA無線の利便性が高いでしょう。

IP無線がおすすめのユーザー

日々業務利用するためコストを抑えたい

IP無線は、ほぼ毎日、業務で利用する場合に適しています。特にIP無線アプリは他の無線機と比べてコストを抑えやすいこともあり、おすすめです。すでに業務用スマホを導入している場合は、安価に導入しやすいでしょう。
また通話品質や通信エリアが広いといったメリットも加味すれば、コストパフォーマンスも高いといえます。

通話のエリアが広範囲

IP無線機は、エリア問わず利用できるとお伝えしましたが、山岳地帯などの電波の届かない場所を除けば、日本全国、安定した通話が可能になります。複数機同士の遠隔地コミュニケーションが求められる場合は、IP無線が第一選択肢となるでしょう。

通話品質を確保したい

クリアできれいな通話品質を保てるIP無線は、通話品質を確保したい場合に適しています。特に聞き間違いや聞き漏らしなどが致命的となる医療や介護の現場などでは重宝するでしょう。

通話以外の機能も活用したい

IP無線のスマホアプリの場合、特に機能が充実しています。例えば、文字起こしやライブ映像配信、翻訳、GPSによる位置表示機能、強制起動などが挙げられます。これらの機能に価値を感じる現場では、IP無線アプリをおすすめします。

現在はIP無線のエリア拡大によりIP無線がおすすめ

特にMCA無線は、これまで災害時の備えとして利用されることが多くありました。しかし、MCA無線はコスト面で割高になることや、予約待ちになることもあるなどの弱点もあります。

そのため近年、災害などのBCP対策としては、IP無線に置き換えるケースが増えてきているのが現状です。IP無線はつながるエリアも拡大しているため、将来性も期待できます。
さらに、IP無線はアプリを利用することで、コストを大きく抑えることが可能です。

まとめ

MCA無線の概要や特徴とともに、IP無線との比較、おすすめのユーザーもご紹介してきました。通信やコミュニケーション手段を検討している場合や、BCP対策を検討している場合には、IP無線のほうがおすすめです。特にIP無線アプリはより手軽かつ安価に導入できます。

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