オフィス新設や移転、リニューアルなどの際に必要になるオフィスの内装工事は、さまざまな種類があり、ビジネス目標に適合させつつ、費用を抑えながら進める必要があります。
今回は、オフィスの内装工事から種類、相場、工事の流れ、よくある失敗、失敗を防ぐポイント、最新トレンド、気をつけたいポイントまで内装工事にまつわる必要知識を網羅的にご紹介します。ぜひお役立てください。
オフィスの内装工事の概要をご紹介します。
オフィスの内装工事とは、建物の内部で行う工事を指します。
具体的には、パーティション施工や壁工事、天井工事、床工事、造作家具工事、電話・LAN配線工事、電源・照明工事、空調・衛生工事、セキュリティ工事などがあります。
内装工事には、A工事、B工事、C工事という工事区分があります。これは、内装工事のうち、どの施工会社が担当するか、また誰が費用を負担するかを定めたものです。
A工事:建物のオーナーが施工会社を選び、オーナーが工事費用を負担する。
対象:建物の外装・外壁・階段・共用部
B工事:建物のオーナーが施工会社を選び、借主が工事費用を負担する。
対象:防災設備、配電盤、給排水管など
C工事:借主が施工会社を選び、借主が工事費用を負担する。
対象:オフィス内部の壁紙の張替えや照明器具の設置、LANの配線工事など
この区分を理解することで、内装工事の棲み分けや費用負担について把握できます。
| A工事 | B工事 | C工事 | |
|---|---|---|---|
| 施工会社の指定 | オーナー | オーナー | テナント |
| 施工会社への発注 | オーナー | テナント | テナント |
| 工事費用の負担 | オーナー | テナント | テナント |
| 主な対象範囲 (物件により異なる) |
施設の共用部、テナント銘板など | 建築内装、空調設備、衛生設備、電気工事、セキュリティ(共用部)など | 内装仕上げ、間仕切り、家具・備品、電話工事、LAN工事、照明器具、セキュリティ(テナント部)、サインなど |
B工事は対象範囲が大きくなれば、費用が増加する恐れがあります。B工事全体の費用負担を減らすには、事前にオーナーに交渉するなどの方法があります。工事区分の調整、範囲の変更によりB工事分の項目をC工事扱いにすることで、テナント側の費用負担を減らすことができます。
A工事、B工事、C工事について詳細を記載しております。
オフィスの内装工事の相場をご紹介します。
オフィスの内装工事は、1坪あたり10万~50万円が相場です。
ただし、内装工事の内容や施工会社等によって異なるため、あくまで目安となります。
オフィスの内装工事の費用や内容は、オフィスを賃貸契約する際の状態によっても変わります。
例えば、居抜き物件とスケルトン物件とでは大きく費用が変わってきます。
居抜き物件とは、前の入居者の設備が残してあり、その設備を再利用できる物件です。その内装・設備の工事は不要であるため、コスト削減できます。
一方、スケルトン物件とは、壁や床、天井などの内装がすべて撤去された状態で契約する物件です。つまり原状回復が済んだ後となります。この場合、内装工事を一から行う必要があるため、居抜き物件よりも費用が上がります。
一般的に、企業がオフィスの内装工事を行う際には、次の流れで進めていきます。
内装工事を行うタイミングといえば、オフィスの物件を契約するときが多いでしょう。またオフィスをリニューアル・リノベーションなど刷新・修復するときにも行われることがあります。
このとき、内装工事によって現状課題を解決することを考えましょう。現在のオフィスの内装にまつわることの現状を分析し、課題を把握します。
内装工事の目的とオフィスコンセプトを策定します。例えば、オフィス移転時に新しい働き方を実現することが目的であれば、オフィスコンセプトを「柔軟な働き方を実現するオフィス」などに設定します。
オフィスデザイン・設計、内装工事等の会社を選定します。
専門会社の支援のもと、ゾーニング*・レイアウト・デザインを検討します。
目的に応じたゾーニング・レイアウト・デザインの検討結果をもとに、設計していきます。
内装工事の施工を行います。
施工後のオフィスに什器や荷物を搬入したら完了します。
オフィスの内装工事のよくある失敗と、防ぐポイントをご紹介します。
よくある失敗
これらの失敗を防ぐには、次の点に注意することをおすすめします。
まずは目的とコンセプトを明確にしましょう。工事完了後に想定とのずれをなくすには、その目的とコンセプトに基づく設計と工事を行う必要があります。そのため、内装工事の施工会社に共有することで、ずれることは少なくなるでしょう。
内装工事は設計に基づいて行われるため、そもそも設計が課題解決につながるかどうかを再確認しなければなりません。設計を担当する会社との確認とすり合わせを入念に行いましょう。
見た目のデザインは問題なくとも、通路幅が狭いなど、実用性が伴わなければ、問題です。デザインと実用性のバランスを考えましょう。
課題分析からコンセプト策定、デザイン・設計、内装工事、引き渡し、アフターフォローまで、すべての工程をワンストップで手伝ってくれる専門企業を選ぶのも一案です。それぞれの工程の専門家に個別に依頼するよりもコストパフォーマンスがよくなることが期待できます。さらに、ずれのない一貫したコンセプトに基づく対応が可能になるでしょう。
建築基準法や消防法など、内装工事を行うにあたって遵守すべき内容を含む法律に準拠します。このとき、オフィスの内装工事の実績豊富な信頼の置ける専門会社を選ぶようにし、適宜、相談するようにしましょう。
オフィスの内装の最新トレンドをチェックしておきましょう。
執務エリアには固定席をなくしたフリーアドレスが採用されることが増えていますが、従来と比較して、メンバーがどこにいるのか、出社しているのかが不明で困るという従業員からの声がよく聞かれます。オフィスの在席状況を遠隔から確認できる仕組みが導入されています。
リコージャパンでは、スマートフォンから座席予約が可能で、在席場所の可視化もできるシステムをご提案しています。
働き方改革により、必要なときだけ主要メンバーですぐに短時間で行うハドルミーティング*が増えてきました。リモートワーカーも含めたオンライン会議も含めたハドルミーティングに最適化されたミーティングスペースの創設を加味した内装設計がトレンドになっています。
リコージャパンでは、すぐに会議ができるミーティングスペースをご提案しています。
例えば、井戸端会議のような立ちスタイルミーティングの場を提供し、可動式の縦型ディスプレイを用いてリモート先が等身大で映るようにすれば、まるでそこにいるかのような臨場感のもとでミーティングが可能です。
あらかじめ内装・設備工事によりボタン一つでカメラやスピーカー、Web会議システムが起動する仕組みを作れば、準備の手間も軽減されます。
リモートワークが定着する中、コミュニケーション不足や組織の一体感が損なわれている課題があり、オフィス空間をよりコミュニケーション活性化させる試みがトレンドです。一つが、カフェ風スペースの設置です。
カウンターテーブルや給湯設備を施し、カフェのような雰囲気を演出し気軽なコミュニケーションを生み出すのがねらいです。
複合機やゴミ箱などの業務の合間に誰もが立ち寄る場所に、あえて給湯やカウンター、福利厚生の飲食物、デジタルサイネージによる社内報掲示などを通じて偶発的なコミュニケーションを生むスペースをご提案しています。
リフレッシュスペースなどには、アロマの香りを自然に漂わせる仕組みを取り入れることで、従業員のリラックスを促します。従業員の健康・リラックス促進のための試みとしてトレンドです。
リコージャパン晴海トリトン事業所では、アロマを採用し心地よい空間を演出しています。
複合機やキャビネット、壁クロスなどのウォールラッピングにより、目に優しく心がなごむ雰囲気を作り出すこともトレンドになっています。
バイオフィリックデザインとは、人間が本能的に持つ「自然とつながりたい」という欲求に基づき、植物、自然光、水、木材などの自然要素を空間に取り入れる設計手法です。ストレス軽減や集中力向上、創造性の促進など、心身の健康や快適性アップに寄与します。オフィスに取り入れることで、従業員のウェルビーイング*にも寄与します。
壁紙や床材などの内装に用いる材料の観点からは、サステナブルな素材の使用がトレンドです。古い住宅を解体した際に出る古材や自然素材の壁紙、廃棄物を利用した再生素材の内装ボードなどが挙げられます。
オフィスの内装工事で最新技術を取り入れたい場合に気をつけたいポイントをご紹介します。
最新技術には、Web会議システムやサウンドマスキング、その他のICT機器などがありますが、それらの導入実績のある内装工事業者を選びましょう。
技術は単に「トレンドだから」「便利だから」などの理由で導入するのではなく、自社のビジネス課題に紐付くものを導入することをおすすめします。それにより、導入の効果を得られます。
内装工事後に、技術面に不具合が生じた場合のアフターフォローや、メンテナンスの必要性などを事前に確認し、運用に困らないようにしましょう。
技術の導入後に、導入効果が出ているか、効果検証の仕組みを整えておくようにすれば、着実に成果につなげられるでしょう。
課題に紐付く最新技術の内装設計と工事は、リコージャパンにおまかせください。
デジタルサービスとワークプレイスデザインを統合し、新しい働き方をご提案するサービスです。最大の相乗効果を生むオフィスづくりをワンストップでご支援します。
オフィスリニューアルに必要なプランニング*からディレクション、デザイン、コーディネートの各プロセスに、デジタルサービスと、経営課題に基づくワークプレイスデザインを両輪でご提供します。
オフィスリニューアル・移転時には、内装・設備工事も含むワンストップでのご対応が可能です。
オフィスの内装工事は、ただの物理的な工事ととらえず、オフィスデザイン・設計の一部としてコンセプトに基づく計画で進めることが重要です。
内装工事を考える際には、ぜひ工事という観点からだけでなく、オフィス作りのプロジェクトの一部ととらえ、オフィスコンセプトから伴走支援するリコージャパンにおまかせください。
リコージャパンでは多様化する経営環境に合わせ、デジタルサービスとワークプレイスを組み合わせた「RICOH Smart Huddle」のコンセプトのもと、働き方のリニューアルをサポートし、お客様のご支援をいたします。
”新しい働き方”をお客様と一緒に考えながら、オフィス移転やリニューアルを、計画から理想の働き方が実行されるまで、プロジェクトマネジメントの業務も含めワンストップでご支援いたします。
また、部分的なリノベーションやデザイン・設計、什器やICT機器の選定など、ピンポイントでのご対応も可能ですので、お気軽にご相談ください。
弊社の実践事例も紹介できますので、「RICOH Smart Huddle」の詳細は、以下よりご覧ください。
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監修者 わたなべ
2005年リコーグループに入社。
15年間、建築設計事務所で意匠設計および設計監理に従事。
美しさと機能性を両立する空間づくりを目指し、企画から監理まで一貫して携わる。
戦略担当として、人財戦略にも取り組んでいる。
この一冊で、最新の7つのワークスタイルが分かり、お客様の課題を解決に導きます。
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