なぜ製造業で不良品が発生してしまうのか、不良品を削減するにはどうすればいいのかなど、製造業における不良品で頭を抱えている方は多いでしょう。製造業における不良品を削減するには、原因をしっかりと把握することが大切です。
そこで本記事では、製造業で不良品が発生する原因や削減方法について詳しく説明します。また、不良品を削減する方法として、品質管理システムの導入を検討している方も必読です。
目次
製造業における不良品とは
品質で定めた規格や顧客のニーズ、良品だと判断できる基準から外れたものを製造業では不良品といいます。
たとえば、製品の一部が破損していたり、メッキ加工製品のメッキが剥がれていたり、部品が間違った場所に組み込まれていたりするものです。
不良品と判断された製品は利益にはつながらないので、廃棄するしかありません。不良品の量が増えるほど余計にコストも増加してしまうため、管理体制を強化するなどして不良品を減らす必要があります。
製造業で不良品が発生する原因
製造業で不良品が発生する代表的な原因として、以下の4つが考えられます。
- ● ヒューマンエラー
- ● 作業環境・設備の問題
- ● 工程や手順などのルール欠陥
- ● 作業者の教育・指導の不足
不良品の発生原因で最も多いのが、ヒューマンエラーです。新人が慣れていない作業についていけず不良品を逃してしまったり、慣れている人でもうっかりと手順を間違えたりすることがあります。
また、照度が不十分な環境下や設備不良による誤作動によって不良品が発生するケースもあるので注意が必要です。特に、部品の分別や整理がされていない状況の中では、間違えて別の部品や異物を混入させてしまう恐れがあります。
たとえ、工程や手順のルールがマニュアル化されていたとしても、内容に不備があればミスは発生するものです。マニュアルは更新されるものですが、更新されずに古い内容のまま運用されると不良品が発生します。
さらに、製造設備や機械を操作したり、製品の品質を管理したりする作業者の教育と指導不足も不良品が発生する原因の1つです。教育を行ったとしても内容が不十分であれば、作業者の技術や知識が身につかず、品質不良を起こしてしまいます。
製造業における不良品の削減方法5つ
では、製造業における不良品を削減するには、一体どうすればいいのでしょうか。主な不良品の削減方法を5つ紹介します。
マニュアルを作成する
まずは、マニュアルを作成したり見直したりすることが大切です。ルールや手順を守るのはもちろんのこと、守るべきマニュアルの内容をしっかりと記載しておく必要があります。
マニュアルの作成または見直しを行う際は、現状の工程に問題はないか、しっかりと正しい情報が記載されているか、誰が見ても分かる内容になっているかをチェックしてください。また、マニュアルを作成した際は、職場内で共有し合うことも大切です。
管理体制を強化する
製品の品質を維持するためにも、管理体制を強化する必要があります。管理体制を強化することで、不良品が発生する前に維持管理や日常点検における異常が見つかりやすくなるからです。
なお、社内や工場内で管理体制を強化する際は、正確に伝わっているか提示や復唱で確認したり、図や動画などを用いて正しい形を伝えたり、何でも聞きやすい空気を作ったりするといいでしょう。
作業環境を整備する
前述したように、作業環境が整っていないところでは不良品が発生しやすくなります。作業者が作業に集中しやすい環境か、環境音の影響を受けていないか、適度な明るさになっているのかなど、作業環境を見直してみてください。
実際に働いている作業者に、現在の作業環境で不安を感じる要素などのアンケートを取り、改善ポイントを探るのも方法の1つです。
作業者の訓練を行う
作業者の教育・指導不足によって不良品が発生することもあるため、定期的に作業者の訓練を行うのも大切なポイントです。
ルールを守り、マニュアル通りに作業することの大切さをしっかりと伝え、わからないことがあれば気軽に尋ねられる雰囲気を作る必要もあります。作業者の訓練は、不良品を削減するだけでなく、労働災害を防ぐためにも必要です。
品質管理システムを導入する
製造業における不良品を削減するために、品質管理システムを導入する方法もあります。品質管理システムとは、製品やサービスの品質をよりよくするために、継続的に品質を管理し改善していく仕組みのことです。
システムを導入することでチェックが多い品質検査でも効率よく進められ、製造プロセス監視の自動化や品質に関するデータの一元管理も実現できるようになります。なお、品質管理システムを導入する際は、システムの機能やタイプを理解して選ぶことが大切です。
不良品の削減におすすめの品質管理システム2選
それでは、不良品の削減におすすめの品質管理システムを2つ紹介します。それぞれ特徴が異なるので、ぜひ参考にしてください。
RICOH SC-10A
「RICOH SC-10A」は、画像認識で作業ミスを防ぐ作業支援カメラシステムです。画像を認識するカメラを用いることで間違いやすい部品や組み立て状態を作業前にチェックできたり、作業の実績をリアルタイムで収集できたりします。
また、作業時間の実績や作業結果の画像が記録できるので作業分析が可能となります。システム導入に時間と手間がかかるのでは……と不安を感じている方も多いですが、RICOH SC-10Aはマウスとキーボードで内蔵アプリケーションが簡単にセットアップできるほか、オールインワンで簡単に運用できます。
RICOH SC-20
「RICOH SC-20」は、外観検査では不可能な手作業工程の品質を検査するカメラです。作業中、リアルタイムで作業品質や組み立て状況などがチェックできるほか、作業後にまとめて一括検査することもできます。目視検査をデジタル化したい、検査の品質を均一化したい、作業分析やトレーサビリティーを確保したい方におすすめです。
また、カメラ・画像認識・ソフトウェアが一体化しているため、マウス・キーボード・モニターがあれば簡単にセットアップできます。タッチパネルモニターを使用すれば、マウスとキーボードも不要です。
不良率の計算方法
製造業における品質管理で非常に重要な役割を担っているのが、製造プロセスや特定の製品で不良品の割合を示す「不良率」です。
基本的に、不良率はパーセンテージ(%)で表し、算出する際は「(不良品の数/総生産数)×100」という計算式を使用します。たとえば、2,000個の電子製品を製造している工場から20個の不良品が出た場合、(20/2,000)×100=1になるので不良率は1%です。
なお、継続的に品質改善を行うためには、不良率を正確に計測し監視する必要があります。
製造業における不良率の目標
不良率を計測・監視する上で押さえておきたいポイントは、業種や製品・生産規模などによって許容される不良率が異なるという点です。一般的に、不良率の目安は標準偏差(σ:シグマ)が基準で、製造業における不良率の目安は「3σ」または「6σ」となります。
たとえば、3σは1,000個の製造数に対して不良品が3個未満、6σはさらに厳しくなり、100万個の製品に対して不良品が3個発生する割合です。なお、製造業でも自動車部品は6σ、プラスチック製のおもちゃ類は3σというように、製品によって求められるレベルが変わります。
製造業で不良品が発生した場合の対応
では、実際に製造業で不良品が発生した場合、どのように対応すればいいのでしょうか。
不良品発生時の大まかな流れは、下記のとおりです。
- 1. 影響範囲の調査と確認
- 2. 原因の調査と分析
- 3. 改善・解決策の策定と実施
最初に、不良品の発生によってどこまで影響を受けているのか、どのような問題が発生しているのかを調査し明らかにする必要があります。影響範囲を社内の関係部門へ共有するのはもちろんのこと、状況によってはサプライヤーへの対応も必要になるでしょう。
影響範囲の調査と確認を終えた後は、なぜ不良品が発生したのか、原因を調査し分析することになります。原因を明らかにするだけでなく、問題を起こした要素やプロセスなど詳細を分析することが大切です。詳細箇所までしっかりと調査・分析することで、再発防止につながります。
そして最後は、改善・解決策の策定と実施です。不良品発生の原因と分析を考慮し、再発防止のための改善・解決策を策定し実施します。改善・解決策は風化しやすい傾向があるため、定期的にサプライヤーと情報共有や確認を行いながら再発防止に努めることが大切です。
まとめ
製造業における不良品は、大量に発生するほど余計なコストがかかり、企業の信用問題にもつながる恐れがあります。できるだけ不良品を生み出さないためにも、マニュアル作成や管理体制の強化、作業環境の整備、作業員の教育といった取り組みが必要です。
また、ITシステムや専用機械を使用した品質管理システムの導入も、不良品を削減する方法となります。「導入コストがかかるのでは?」と不安になっている企業も多いと思いますが、手軽に導入できる品質管理システムも続々と登場しているので、ぜひチェックしてみてください。