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RICOH 製造業DX 実践ラボ

RFIDとは何か?その仕組みと活用例を紹介

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RFIDとは何か?その仕組みと活用例を紹介

2024年問題をはじめ物流業界での人手不足は今後さらに深刻になる恐れがあります。また、さまざまな商品や、製造工程における物の動きなどの管理が必要になる製造業や流通業などにおいても、その管理コスト削減は大きな課題となるでしょう。これらの課題を解決する手段の1つがRFIDの活用です。
本稿では、RFIDとはどのような仕組みでどのようなメリットがあるのか、その活用例と併せて解説しました。商品や製品などの管理に課題をお持ちのご担当者様はぜひ参考にしてください。

RFIDとは

RFIDとは

RFIDとは、IDなどのさまざまな情報が記録された専用タグのデータを近距離の無線通信を活用して非接触方式でやり取りする自動認識技術です。やり取りされる情報には、IDの他に商品名称や価格、製造年月日などさまざまなものがあります。

RFIDは、「ICタグ・RFタグ」「RFIDリーダライタ」「処理システム」から構成されています。ICタグ・RFタグ(RFIDタグ、電子タグなどとも呼ばれる)は、データ記録用のICチップや通信用のアンテナなどの保護素材を用いてタグ化したものです。荷物などに貼り付けやすいようにシール状にしたものや、パレットに内蔵できるものなどさまざまな形状のものが提供されています。

RFIDリーダライタは、ICタグ・RFタグに対して電波や磁界を照射してタグと通信するための装置です。RFIDリーダライタにもいくつかのタイプがあります。荷物などに装着されているタグ情報を読み取る際に便利なハンディータイプや、特定の場所を通過するタグ情報を対象にしたゲートタイプなどが主に利用されています。処理システムは、上記でやり取りされた情報を実際に業務で活用するためのシステムです。業務や活用目的によりさまざまで、例えば物流関連では倉庫・在庫管理システム、小売業でのPOSレジなどが考えられます。

情報を読み取る際の基本的な動作は次のようになります。まず、RFIDリーダライタからICタグ・RFタグに対して電波や磁気を照射。ICタグ・RFタグがその電波などを受信してICチップを起動し、チップに記録されている情報を送信します。RFIDリーダライタがその情報を受信し、処理システムに渡します。

さまざまなRFIDの種類

さまざまなRFIDの種類

ICタグ・RFタグには、搭載バッテリーによって「パッシブタグ」「アクティブタグ」「セミパッシブタグ(セミアクティブタグ)」の3種類があります。

パッシブタグは、RFIDリーダライタから発信される電波などをエネルギー源として動作するタイプのタグです。バッテリーが不要で価格も安価なのが特徴ですが、アクティブタグと比較して通信できる距離が短くなります。物流倉庫でのパレット管理やアパレルでの商品管理など、多数の商品などを管理する業務に適しています。

アクティブタグは、バッテリーを内蔵したタイプのタグです。タグ単独で稼働でき、通信距離もパッシプタイプよりも長いことが特徴です。バッテリー搭載のため、そのバッテリー管理が必要になることや、サイズが大きくなり価格も高くなることがデメリットです。大規模倉庫での資材や人のロケーション管理、また、温度センサーと組み合わせた鮮度管理などに活用されています。

セミパッシブタグは上記のそれぞれ特徴を持つ中間的なタイプです。通常時はパッシプタイプとして動作し、RFIDリーダライタからの電波などを受信した時のみ内蔵バッテリーを使って通信します。アクティブタグよりもバッテリーの消耗を抑えることができ、パッシプタグよりも通信距離が長くなる、という両方のタイプの特徴を併せ持ちます。マラソンなどのレースのタイム計測やスマートメーターなどに活用されています。

搭載バッテリーの種類の他にも、通信に使用する周波数帯によって「LF帯(135KHz以下)」「HF帯(13.56MHz帯)」「UHF帯(900MHz帯)」「マイクロ波帯(2.45GHz帯)」の4つの種類があります。LF帯とHF帯は通信方式に電磁誘導方式を採用しており、比較的環境に左右されにくいのが特徴。交通系カードや電子マネーなどのNFC(Near Field Communication)はHF帯に分類されます。UHF帯とマイクロ波帯は電波方式を採用。UHF帯は通信距離が長いという特徴を持つため、物流や在庫管理などで多く使われています。

RFIDのメリットと導入時の課題

RFIDのメリットと導入時の課題

RFID活用のメリットには次のようなものがあります。

複数タグの情報を一括で読み取りできる

対象物に1つずつリーダライタをかざす必要がないので、特に大量の商品や荷物を処理する場合に作業効率が大幅に向上します。

遠隔からでも読み取りできる

数メートルから数十メートル離れていても情報の読み取りが可能です。高所にある荷物や遠くを通過する物や人の情報も容易に確認することができます。

直接見えなくても読み取りできる

ダンボール箱の中など直接タグが見えなくても情報を読み取りできます。従来のように1つ1つ箱から出して読み取る必要がなくなるので作業効率が向上し、商品などを個別にばらす必要がないので紛失や破損の発生を抑えることもできます。

表面が汚れていても読み取りできる

アンテナを通じて通信するため、タグ表面が汚れていても問題なく情報を読み取ることができます。屋外をはじめ作業環境があまり良くない状況でも運用しやすいというメリットがあります。

反対にRFIDを導入する場合の課題としては、初期投資が必要なことや、周囲の金属や水分の影響を受けて正しく情報を読み取れない場合があることなどが挙げられます。

RFIDとバーコードやQRコードとの違い

RFIDとバーコードやQRコードとの違い

次に、RFIDはバーコードやQRコードと比較してどのような違いがあるのかも確認しておきましょう。前章のRFIDの特徴として述べたような、複数のタグ情報を一括で読み取ったり、遠隔から読み取ったりすることはバーコードなどではできません。バーコードなどの読み取り距離はせいぜい数10cm程度です。また、バーコードなどは視覚的な情報を読み取るので箱などの遮蔽物があったり、汚れがひどい場合に読み取りできません。

記録できる情報量は、バーコードが約20文字でQRコードが約7,000字。RFIDは約1,000字なので、情報量に関してはQRコードが優れています。ただし、RFIDはデータの書き換えが可能であることが大きな特徴です。タグのコストに関しては、バーコードやQRコードのほうが単価が安くなります。

RFIDの活用例

RFIDの活用例

RFIDは、企業が抱える課題やアイデア次第でさまざまな形での活用が可能です。その代表的な例をご紹介します。

入出庫/検品作業の効率化

RFIDを活用することで、例えば入庫検品時や出荷時に逐一ダンボールなどの梱包を開けて1つずつ検品する必要がなくなります。ハンディータイプやゲート式のリーダ/ライタで梱包の外から一気にタグ情報を読み取ることで大幅に作業効率を上げることができます。

棚卸し作業の効率化

棚卸し作業は流通・小売業をはじめさまざまな業種で欠かせない作業です。しかし1つ1つ在庫を確認していく作業は多くの手間がかかります。RFIDを活用すれば一括で在庫の情報を確認でき、作業時間を短縮できます。

資産管理

什器や備品などの事業所内のさまざまな資産や、製造現場で使用する工具などの管理にRFIDを活用することができます。持ち出しや移動をRFIDで自動的に記録・管理することで、どの資産がどこにあるかがリアルタイムで把握でき、紛失を防止することもできます。

ピッキング作業

ピッキング作業に使用するカゴ車にリーダライタを取り付けて、カゴ車にいれた荷物の情報をタグから自動的に読み取るようにすれば、ピッキングの際に逐一バーコードなどを読み込ませる必要がなくなり、作業が効率化します。ピッキングリストを目視する方法よりも作業ミス、チェックミスが起こりにくくなります。

入出庫管理や工程管理、資産管理の課題を解決する「リコーRFIDソリューション」

リコーでは、RFIDを活用した業務改革を容易に実現するためのさまざまなソリューションを提供しています。

RFIDプラットフォームサーバーソフトウェア「RECO-Bridge IDR-1 V2」は、さまざまなRFID機器と上位システムとの接続を開発レスで実現します。RFIDデバイスに柔軟に対応でき、共通インターフェースを活用することでアプリケーション開発の工数及びコストを削減します。

また、RFIDを実際に運用する場所の電波を計測し、その結果に基づいて安定稼働を支援する「RECO-Bridge アドバイザリーサポート」も提供しています。個々のRFID機器だけではなく、実際に利用する空間の状況を把握した上で、RFIDシステムを安定稼働へと導きます。

その他にも、タグの情報を可視化する「RECO-View RFタグシリーズ」があります。同シリーズは、普段は目にすることができないタグ内の情報をリライタブルシートに印刷できるソリューションです。タグ情報の書き換えと情報の印刷という機能を併せ持っており、別途印刷機やライタなどを用意する必要がありません。

リコーはこれらのRFIDソリューションの提供を通じて、製造や物流、販売業務での入出庫管理、工程管理、資産・備品管理におけるさまざまな課題の解決を支援します。

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