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ポカヨケ対策でポカミスをなくそう!ヒューマンエラー防止の方法と事例を紹介

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ポカヨケ対策でポカミスをなくそう!ヒューマンエラー防止の方法と事例を紹介

人間は注意をしているつもりでも、ミスをする生き物です。そのため製造業の現場では、ポカ(ヒューマンエラー、うっかりミス)を起こさないための仕組みや、ミスをしてしまった時に発見して不良品を流出させないための対策が欠かせません。ここではポカヨケの考え方や種類、具体的な方法、成功させるためのポイントなどをご紹介していきます。

ポカヨケとは?基本の考え方

ポカヨケとは?基本の考え方

ポカヨケとは、製造業の作業工程に設けられる、うっかりミスを防止する仕組みや装置などの対策を指します。ポカは不良品の発生につながる上に、労災事故などの原因となることもあるので、ポカヨケ対策に非常に重要です。

例えばSDカードやSIMカードは、切り欠きの形が左右で違うので裏返しではスロットに入りません。このように製造業のラインでも、できる限り部品の向きが違うとはまらない型(治具:じぐ)を使うなどして、物理的にミスが起きないポカヨケ対策をします。

物理的に不良品を出さない対策ができない工程では、ミスが起こった時点で「エラー音が鳴る」「ランプが光る」などの方法でミスを知らせて、不良品を出さないポカヨケ対策が必要です。

詳細は以下の記事でご確認ください。

ポカヨケとは?製造業における活用法をわかりやすく解説

ポカヨケ対策の種類と方法

ポカヨケ対策の種類と方法

ポカヨケ対策にはいくつかの種類があり、手段や目的によって次のような分類に当てはめることができます。

  • ● 検知方法別
  • ● 目的別
  • ● 時系列別

ここではそれぞれの特徴や、具体的な方法をご紹介していきます。

検知方法別

ポカヨケは検知方法によって、次のような分類に当てはめられます。

識別式(色分け・ICタグ・センサー・画像認識)

部品に接触しなくても、正誤を判断するための検知方法です。

ラベルを色分けすると、作業者が見た瞬間にぱっと部品などを識別できるようになります。例えば部品の保管場所を判断する時などに、文字を読んで理解し、部品を探す場所を探すよりも、同じ色のラベルが貼ってある場所を探す方が簡単です。

それでも人の目による判断では間違いを起こす可能性を排除しきれません。そこで、取り扱う部品点数が多い工場などではICタグやバーコード、部品そのものをスキャンした画像データで認識するという方法も用いられます。また重さのセンサー検知で部品を識別したり、発注タイミングを見極めたりする方法もあります。

ICタグは電波によって接触せずにデータが読み取れる部品で、専用のリーダーを使えば一瞬でスキャンが可能です。また画像認識システムなら、部品そのものの形状をスキャンするので、間違いが発生すれば確実に発見が可能になります。センサーは識別したい対象によって、さまざまな種類を使い分けます。

ICタグリーダーやセンサー、画像認識システムをラインに設置すれば、「バーコードリーダーでバーコードを読み忘れた」というミスも起こりません。

アラーム式(警報機・センサー)

異常が発生した場合、アラームで作業者に知らせることができます。間違った商品をピッキングした際にアラームが鳴るようにするなどの対策方法があります。

治具式(ガイドピン・ストッパー)

治具式では、間違った部品や向きでははまらない治具に部品をセットすることでミスの発生を物理的に防ぎます。例えば裏表を間違っているとガイドピンがはまらなかったりストッパーが干渉したりして、次の工程に進めません。正しい治具を使えばミスの発生が確実に防げるので、非常に効果的な方法です。

ただし、少量多品種の生産工場などでは治具自体が多種多様となり、その管理も大切になります。治具を間違えてしまうとミスの発生につながるので、できる限りICチップなどで確実に管理しましょう。

目的別

ポカヨケは目的によって、次のような種類に分けられます。

規制式

例えば間違った部品をセットすると、次の工程で使う工具の作動がストップする、部品のロックが解除されないなど、次の工程に進めなくする方式です。不良品の流出を防ぐために非常に有効な手段です。

注意式

不良品や部品違いなどの異常が発生した時、ブザーを鳴らす、光を点滅させるなどの方法で注意を引き、作業者に知らせる方法です。作業者が注意に気付かなければ意味がないので、確実に知らせるため、音の大きさや点滅灯の設置位置などに工夫が必要です。

時系列別

ポカヨケ対策を時系列で分類すると、次のようになります。

発生前

ポカヨケは発生前対策が必須です。発生前対策では作業者が間違う可能性があることを前提に、例え間違っても不良品が発生しない、もしくは発生しても流出しない仕組みを作ります。その考え方に基づく工程設計をフールプルーフ設計といいます。

例えば間違えやすい左右の部品の色を変えたり、形状をあえて少し変えたりすることで、混同を防ぎます。労災事故を抑止するためにも、フールプルーフ設計は大切です。

発生時

発生前対策では、作業工程で不良品が製造されてしまった場合にすぐに発見する検知対策です。最終工程に進む前に不良品を取り除けば、不良品の流出防止や出荷できない製品にかかる工数を削減できます。

具体的には、画像認識システムや光学センサーによって不良品を検知します。警報機のアラームや光の点滅によって作業者に知らせる方法もありますが、不良品を検知すれば次の工程に進めない仕組みを作ると、さらに強力な対策となります。

発生後

万が一不良品が発生しても、流出させないための検査工程です。目視による完成検査や出荷前検査のほか、画像認識によって不良品を検知すると、出荷ラインから排除するという方法もあります。完成検査や出荷前検査は、不良品流出を防ぐための最後の砦です。

ポカヨケ対策の手順

ポカヨケ対策の手順

ポカヨケの手順は次のようなものがあります。

  1. ● 課題の特定
  2. ● 業務内容の標準化
  3. ● 治具や工具の活用
  4. ● 効果測定と工程改善

それぞれの手順を具体的に見ていきましょう。

1.状況確認から課題を特定する

ひと口にポカやヒューマンエラーと言っても、「この工程は忘れやすい」「部品の小さなキズを見逃すことがある」「この工程の手順が人によって違う」「正しい手順が教えられていない」「手順書に定められた手順を守らない作業者がいる」など、その内容は様々です。適切なポカヨケ対策を講じるために、まず現場の状況を把握し、課題を特定しましょう。

2.業務内容を標準化する

作業の手順が人によって違うと、抜け漏れの発生に気付きにくくなるためミスの発生原因となります。特に熟練の作業者が担当する業務は属人化しがちで、担当者が変わると品質のバラツキやミスが生じやすくなります。業務内容を標準化し、品質を均一化すると同時にポカヨケ対策を図ります。

3.治具や工具を的確に活用する

可能な工程では間違った部品を受け入れない治具や、作業工程を間違うと作動を停止する工具などによって、ポカヨケ対策を図ります。作業者や近くに頼らないポカヨケ対策は確実性が高く効果的です。

4.効果測定を実施する

ポカヨケ対策を実施したら、導入前後の不具合や不良品の発生率や原因分析を行い、導入した対策の効果測定をしましょう。検証した結果、効果がなかった場合、効果が出る別の方法を検討します。効果があった場合も、別の対策を講じたり治具の改良を図ったりすることでさらなる効果が期待できるかもしれません。検証と改善を繰り返すことで、不良品の発生率ゼロを目指します。

ポカヨケを実施するメリット3つ

ポカヨケを実施するメリット3つ

ポカヨケを実施するメリットには次のようなものがあります。

  1. ● 不良品の低減
  2. ● 生産性の向上
  3. ● 労災防止

それぞれのメリットを具体的にご紹介します。

不良品の低減

製造業において、不良品の発生や流出は企業の信頼を損ない、大きなコストの発生につながるため絶対に防止しなくてはなりません。ポカヨケ対策はその不良品の発生や流出を直接防ぎ、企業の信頼性向上につながります。

生産性の向上

ひとたび不良品が発生すれば、再発防止対策などに多大な時間とコストがかかります。ポカヨケ対策で不良品が防げればその工数が削減でき、良品の生産にかける時間も増やせるので、生産性が向上します。

労災防止

例えばプレス機の作動時にうっかり指を挟んでしまうと、指を失うといった重大な労災事故につながる可能性があります。これを防ぐために、左右の指で同時にボタンを押さなければプレス機が作動しないといったポカヨケ対策が導入されています。このようにポカヨケ対策は労災事故を防止することにもつながります。

ポカヨケ対策の成功事例は以下の記事でご確認ください。

ポカヨケ事例から学ぶヒューマンエラーの対策方法を紹介

ヒューマンエラーを防止するためのポイント

ヒューマンエラーを防止するためのポイント

ヒューマンエラーを防止するために、次のようなポイントに注意しましょう。

  1. ● ポカヨケの考え方を理解する
  2. ● 現場との連携を意識する
  3. ● システムを構築する

それぞれのポイントごとに解説していきます。

ポカヨケの考え方を理解する

ポカヨケ対策をする上で重要なのは、「物理的にミスできない仕組みを作る」「ミスが起こってしまったら、必ず発見して不良品を流出させない」という2つの考え方です。ダブルチェックやチェックシートなど、従来の「人の意識にだけ頼ったミス防止策」で、完全にポカを防ぐことはできないと理解しましょう。

現場との連携を意識する

ポカヨケ対策として工程が追加される場合は、その意義を伝えておかなければ協力が得られません。また現場からの意見を聞く中で、「この部品の見分けがつきにくい」「この工程は逆のほうが作業を進めやすい」といった気付きが得られることもあります。作業者が非協力的だと工程飛ばしなどによって不良品が発生することもあるので、教育も含めて現場との連携を意識することで、ポカヨケ対策の効果を上げましょう。

システムを構築する

ポカヨケ対策用の治具を用意する、AIによる画像認識システムを導入する、ミスが発生したら工程がストップする仕組みを作るなど、ポカヨケ対策を意識したシステムを構築しましょう。人の手や意識に頼らないシステムの構築が大切です。

ポカヨケ対策で業務効率化を行おう

ご紹介したように、ポカヨケ対策では人の手や意識に頼らないシステムの構築が最も効果的です。労働安全衛生に関する教育訓練と同時に、仕組みによるポカヨケ対策を図りましょう。

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作業検査カメラ RICOH SC-20

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