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目視検査とは?不良の見逃しが起こる原因や対策6つについて解説

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目視検査とは?不良の見逃しが起こる原因や対策6つについて解説

人間の目で行う検査「目視検査」は、製品に不備がないかどうかを確認する大切な検査です。製品不良の見逃しを防ぐためにも目視検査は必要ですが、具体的にどのような種類があるのか、どのような作業をすることになるのか気になっている方は多いでしょう。

そこで本記事では、目視検査の種類や不良の見逃しが起こる原因、対策などについて詳しく説明します。

目視検査とは

目視検査とは

目視検査とは、人間の目で製品に不具合や不良が起きていないか調べることです。製造工場ではAIやIoTなど最新技術の導入によって、機械やカメラで行う検査が一般的になりつつあります。

とはいえ、製品の表面に付いている細かい傷や印字ミス、異物が混入しているかどうかは人間の目でしか確かめることができません。機械やカメラが逃してしまいやすい不具合などを、人間の目で検査する必要があります。

特に、製品の傷、色味、異物は自動化が難しい検査項目となっているため、目視検査でしっかりと調べることが大切です。

目視検査の種類

目視検査の種類

目視検査といっても、さまざまな種類があります。主な種類となるインライン検査・オフライン検査・全数検査・抜き取り検査に付いて詳しく説明しましょう。

インライン検査

インライン検査は、製造ラインに組み込まれる検査で、ライン工程の中で製品に不具合が起きていないかを調べます。製造過程の中で製品の状態をチェックするため、製造ラインの流れを止めずに検査できるという点がメリットです。検査のスピードが速く、全数検査に適していますが、検査の設備や人員の配置に手間と費用がかかります。

オフライン検査

オフライン検査は、製造ラインとは別の工程で行う検査で、インライン検査よりもさらに精度の高い検査ができるというメリットがあります。抜き取り検査に適しているほか、流れ作業にならず、検査に時間をかけることができるのも大きなメリットです。ただし、全数検査には向いていません。また、検査をする人のスキルによってばらつきが出やすく、人件費もかかります。

全数検査

全数検査は、製造した部品や製品すべてを対象に行う検査です。特に、食品や医療といった絶対に不具合や不備が発生してはいけない製品に対して、徹底的に品質をチェックします。すべての部品や製品の品質が保証でき、不良品の流出リスクを抑えられますが、人件費や時間が必要で破壊検査や耐久検査には向いていないという点がデメリットです。

抜き取り検査

抜き取り検査は、対象となる製品のロットからサンプルを抜き取って検査する方法です。検査の合否はロットごとに判定するので手間を最小限に抑えられ、全数不良が防止できます。また、複数項目の検査が実施できるため、破壊検査や耐久検査にも適しているのが特徴です。ただし、製品すべての品質を保証できるわけではありません。そのため、不具合が発生しやすく、品質改善につなげにくいというデメリットがあります。

目視検査の作業内容

目視検査の作業内容

実際に、目視検査ではどのような作業をすることになるのでしょうか。ここでは、具体的な目視検査の作業内容について詳しく説明します。

形状と構造を検査する

製品が作られた直後に行われるのが、形状と構造の検査です。主に、標準仕様と異なる形状や構造の部品が作られていないか、機能性重視の製品に対して実施されます。

なぜ、製造後に形状と構造を検査するかというと、製造ラインに関わる作業員の人為的ミスや生産設備の不具合などによって、形状・構造違いの製品が作られる可能性があるからです。

特に、手作業による工程が含まれる製造ラインでは、ヒューマンエラーによって規格外の形状や構造をした部品が作られてしまう恐れがあります。基本的に、形状や構造に関する不具合は保証の対象にならないので、注意深く検査することが大切です。

表面を検査する

表面の検査では、製品の表面に傷が付いていないか、欠けていないか、材料が変色していないかなどを調べます。主に、プラスチック製品や部品、電化製品を製造している企業で実施されるケースがほとんどです。

プラスチック製品や部品は、取り扱いによってはすぐに傷が付いてしまう傾向があるため、細部まで検査をする必要があります。製品によっては0.1mm単位で表面形状の検査を行うこともあるほど、かなり細かい部分まで検査するのが特徴です。

仕上がりを検査する

仕上がりの検査は、目視検査において最終的に製品の品質をチェックする重要な検査です。一般的に、生産ラインの最終工程で実施されることが多く、製品を市場に出しても問題がないか、製品の仕上がり度合いや傷の有無、動作不具合など全体的に調査します。

最終検査を怠ると、不良品が市場に出てしまい、社会の信用を失う恐れがあるので入念に検査を行うことが大切です。なお、最終検査で不合格と判断されたものは、不良品として処分されます。

目視検査で不良の見逃しが起こる原因

目視検査で不良の見逃しが起こる原因

では、なぜ目視検査で不良の見逃しが起きてしまうのでしょうか。主な原因を4つピックアップしたので、ぜひ参考にしてください。

検査環境が整備されていない

検査環境がしっかりと整備されていない環境の中では、十分な検査を行うことができず、不良の見逃しが起きてしまう恐れがあります。たとえば、照明設備が整っていない場所で検査を行うなどです。前述したように、目視検査は人の目で製品をチェックする検査なので、しっかりと検査ができる環境を整える必要があります。

検査員が疲労を感じている

人の目で検査を行う目視検査は、検査員の精神面や体調面における管理にも気を配る必要があります。検査員が疲労を感じていると、不良の見逃しが起きやすくなり、不良品を市場に出してしまうことになるでしょう。検査員の体調や精神面に負担が生じないようにするためにも、定期的にヒアリングを行い、スピーディーな検査が実現できるシステムを導入したり、検査環境を整えたりするなどの工夫が必要です。

検査員を十分に教育できていない

検査員の教育が十分でなかったことが原因で、不良の見逃しが起こることもあります。目視検査は検査員によってどうしてもばらつきが起きやすく、新人を雇ったとしても一人前になるまで教育するには時間とコストがかかってしまうのです。また、最近では、外国人技能実習生を採用する企業も増えてきていますが、文化と言葉の違いで教育に時間と労力がかかるというデメリットが大きな課題になっています。

人手が足りていない

人手が足りていないのも、目視検査で不良を見逃してしまう原因の1つです。人手不足になると検査員1人にかかる作業量が多くなり、精神面と体力面に大きな負担がのしかかります。作業量が増える→精神面や体力面の不調が多くなる→精度の高い検査ができなくなるという悪循環に陥ってしまうというわけです。

目視検査で不良を見逃さないための対策

目視検査で不良を見逃さないための対策

目視検査で不良の見逃しが起きる原因を踏まえた上で、どうすれば不良の見逃しを防ぐことができるのか、ここでは対策を考えていきたいと思います。

主な対策として挙げられるのは、以下の7点です。

  • ● 検査環境を整備する
  • ● 検査環境を整備する
  • ● スピードを重視しない
  • ● こまめに休憩を取る
  • ● 基準書を作成する
  • ● 見本を作成する
  • ● 品質管理システムを導入する

それぞれ、具体的にどういうことなのか、詳しく説明していきましょう。

検査環境を整備する

まずは、目視検査の環境が整っているか、見直す必要があります。特に、目視検査は目を使って検査を行うため、照明設備に注意したほうがいいでしょう。

適切な明るさになっているか、明るすぎず暗すぎないかどうかなど、検査環境をチェックしてください。どのくらいの照度や輝度にすべきか分からない場合は、JIS規格で定められている工場の照度基準を参考にするのがおすすめです。

スピードを重視しない

作業効率化を目指すため、検査スピードを速める企業が増えていますが、スピードを重視し過ぎないようにすることも大切なポイントです。

検査スピードばかりに目を向けてしまうと、検査の質が落ちてしまい、不良の見逃しが起こりやすくなります。あくまで検査の質を下げずに、いかに効率よく目視検査をできるかどうかが重要です。

こまめに休憩を取る

検査員の負担を減らすためにも、こまめに休息を取りましょう。長時間も連続して目視検査をしていると、目の疲れから自然と集中力も低下し、不良を見逃してしまう恐れがあります。

目安としては、2時間に10〜15分の休憩時間を確保してください。また、急病などで欠員が出たとしても、すぐに補助できる環境を整えることも大切です。

基準書を作成する

あらかじめ基準書を作成しておくことも、不良の見逃しを防ぐ対策の1つです。基準書とは、品質のばらつきを防ぐために、作業内容・不良項目・測定方法など検査における基準が記されています。

検査の基準を明確にしておけば、検査品質も均一化できるようになるでしょう。なお、基準書の追記や更新が発生した際は、その都度、すべての検査員に共有する必要があります。

見本を作成する

不良の見逃しを防ぎ、作業効率を上げるために、見本を作成する方法があります。どのようなものが良品で、どのようなものが不良品になるのか、客観的に判断するためにも見本を用意したほうがいいでしょう。

特に、限度見本は良品と不良品の境目にある見本「限度見本」は、製品の品質における合否で迷ったときの判断基準になる重要なものです。そのときの体調や先入観によって判断が左右される可能性もあるため、見本を作成しておけば体調や先入観に左右されず、一定の品質が保てます。

品質管理システムを導入する

目視検査で不良の見逃しを防ぐために、品質管理システムを導入するのも対策の1つです。品質管理システムとは、製品やサービスの品質向上をサポートする仕組みのことです。

たとえば、検査に関係するデータを検査装置から直接品質管理システムに取り込むことで、結果の入力ミスやデータ改ざんなどが予防できます。目視検査は人が関わる作業ですので、どうしてもヒューマンエラーが発生してしまうものです。そこを専用機器やITシステムでカバーするのが、品質管理システムを導入する大きなメリットといえます。

また、ヒューマンエラーの防止だけでなく、品質管理システムでは検査項目の追記や変更も簡単に修正できるため、作業効率の向上にもつながるでしょう。

参考に、おすすめの品質管理システムを下記にピックアップしたので、ぜひチェックしてください。

RICOH SC-10A

作業支援カメラシステムの「RICOH SC-10A」は、自動的に類似部品や欠品、作業順序などの組み立て状況を作業途中にチェックしてくれる画像認識カメラです。部品のシリアルナンバーや作業時間などの実績まで、作業結果におけるすべての画像を記録します。不良の見逃しが防げるほか、作業の実績や結果をリアルタイムで収集するため、作業分析やトレーサビリティーにも活用できます。

RICOH SC-20

作業検査カメラの「RICOH SC-20」は、組み立て工程における作業ミスを検査するため、リアルタイムで作業中の品質がチェックできるほか、作業後にまとめて一括検査することも可能です。パソコン要らずで簡単に設置できるので、デジタル検査を取り入れたい企業にとっても手軽にはじめられます。目視検査でどうしてもチェック漏れが起きてしまったり、品質が均一化できていなかったりする際におすすめです。

RICOH フレキシブルイメージチェッカー

「RICOH フレキシブルイメージチェッカー」は、ハンディーカメラや据え置きカメラを設置することで、欠品や相違などを自動判定します。多彩なカメラアングルで画像検査ができるため、目視検査といったチェック作業の属人性が減り、工数削減と同時に不良の見逃しが防げるという点が特徴です。また、カメラによる自動判定の結果も記録するので、製造工程のDXがスマートに実現します。

まとめ

人間の目で製品の不良をチェックする目視検査は、検査員の体調や先入観、検査環境などに左右されやすく、不良の見逃しといったヒューマンエラーが起こりやすくなります。少しでも不良の見逃しを防ぐには、検査環境を整え、検査員を適度に休ませ、基準書や見本を作成するなど対策はさまざまです。

不良の見逃しはもちろん、作業効率をアップさせたい場合は、品質管理システムの導入をおすすめします。品質管理システムを導入することで、データの一元管理が実現し、品質が維持しやすくなります。RICOHでは目視検査を手助けする品質管理システムを用意しておりますので、ぜひチェックしてください。

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