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RICOH 製造業DX 実践ラボ

ポカヨケ事例から学ぶヒューマンエラーの対策方法を紹介

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ポカヨケ事例から学ぶヒューマンエラーの対策方法を紹介

ヒューマンエラーによっておこる作業ミスは、製造現場の安全操業を左右する問題になり得ます。そのため人的ミスを避けるための対策「ポカヨケ」が、現場責任者から高い注目を集めるのです。

ポカヨケは効果的に活用されれば人的ミスによる不良品発生・流出を防ぐことができ、トラブルの未然防止や軽減に役立ちます。生産力の向上や現場環境の改善にもつなげる手段として、現場の課題に即した種類のポカヨケを取り入れてみてはいかがでしょうか。

ポカヨケの目的

ポカヨケの目的

製造業の現場にポカヨケを取り入れるメリットとして、具体的に以下の事柄が想定されます。

  • ● 労災防止
  • ● 不良品検知

ポカヨケによって上記2つの目的が果たせられれば製造現場の抱えるリスクが減るため、現場環境や生産性に大きなメリットが生まれます。

労災防止

ヒューマンエラーなどによって起こる作業ミスである「ポカミス」は機械の誤操作も引き起こす可能性があり、労災事故を生み出すケースも想定されます。そのためポカヨケを取り入れると、現場で働く従業員に危険が及ぶリスクの未然防止も見込めます。

労災防止対策が徹底されれば従業員の安全性が確保され、労働に対する士気向上も期待できます。また「事故防止策を徹底している企業」というイメージが付けば、結果業界内における信頼獲得にもつながります。

具体的に導入するポカヨケの種類は、目的によって異なります。

不良品検知

ポカミスは不良品を生み出すリスクをはらむため、不良品のいち早い発見や除外といったポイントも重要です。ポカヨケによって不良品検知が徹底されれば不良品流出を防ぐだけでなく、品質の確保された製品の生産力や企業の信頼度アップにつながります。

具体的に導入するポカヨケの種類は、目的によって異なります。

ヒューマンエラーが起きる要因

ヒューマンエラーが起きる要因

ヒューマンエラーによるポカミスが起こる要因としては、主に以下の5つが想定されます。

  • ● 判断エラー
  • ● 行動エラー
  • ● 記憶エラー
  • ● 認知エラー
  • ● ルール違反

判断エラー

「今どういった状況か」「何をすべきか」といった状況判断を誤り、結果確認不足や機械の誤操作などを招き作業ミスにつながります。

行動エラー

作業を進めるための方法や手順を誤り、結果機械操作や安全確認の際に正しい対処ができずにミスの原因となり得ます。

記憶エラー

「今何をすべきか」といった情報が覚えられていない状態で作業を進めた結果、間違った対応を招きミスにつながります。重要な作業や確認を失念して省いてしまい、不良品を生み出すケースも記憶エラーが要因と言えます。

認知エラー

目視や確認の段階で見逃し・聞き逃しや見間違い・聞き間違いがあり、結果ミスを招きます。見間違いによる誤った情報をもとに判断して不良品を見逃してしまうケースも、認知エラーが要因と言えます。

ルール違反

決められたルールに従った判断や行動を行わなかったために正しいやり方で作業が遂行されず、結果ミスを招きます。安全上のルールを守らなかったために必要な作業が十分実行されずに不良品を生み出したり、事故を引き起こしたりするケースなどが想定されます。

ポカヨケ対策は3種類

ポカヨケ対策は3種類

ポカヨケ対策の種類としては、以下の3つが挙げられます。

  • ● 発生前対策
  • ● 発生時対策
  • ● 発生後対策

発生前対策

ポカミスが発生しにくい仕組みや環境を整える方法です。例えば作業過程の中で欠損や組立操作の間違いが起きにくいように部品の形や素材を工夫するなど、設計の段階でリスクヘッジを図る対策が挙げられます。誤操作があった際に正常に作動しなくなるように設計して安全性を確保する「フールプルーフ設計」も、有効な手段として注目されています。

発生前対策が徹底されていれば、不良品が発生するリスクの軽減が可能になります。

発生時対策

製造工程の中で不良品が発生した際に速やかに発見し、除外する方法です。例えば画像認識やセンサーなどの技術を使って不良品を見つけ、通知したりラインを止めたりする仕組みなどを指します。発生時対策が徹底されると不良品が次の工程にまぎれる事態を防ぎ、結果的に不良品の流出を防げます。

発生後対策

不良品が発生した影響を最小限にとどめる対策を指します。不良品が発生したラインを通過して次の工程に移った際などに速やかに検知し、出荷されないように除外する仕組みなどを指します。不良品が発生現場で見逃された場合でも発生後対策が徹底されていれば、最終的に出荷・流出されるリスクを防ぐことができます。

企業のポカヨケ対策事例

企業のポカヨケ対策事例

製造業を営む企業が取り入れているポカヨケ事例を具体的にご紹介します。いずれも課題の改善に応じた装置やシステムを導入し、大きな効果を挙げているケースです。

作業支援カメラシステムによる作業ミスの軽減

医療機器メーカー「富士フイルムテクノプロダクツ」では、血液検査装置に関するユニット製造工程の中で作業支援カメラシステム「RICOH SC-10A」を導入。ネジを締める順番を間違えたり、トルクを掛けていなかったりといったトラブルが発生した際に速やかに検知される仕組みのため、作業ミスが進行するリスクの軽減が図られています。

ヒューマンエラーを防ぐためそれまで現場は熟練工が配置されていましたが、システム導入によって経験の浅い人員も作業できるようになり人員確保の面でもメリットが生まれています。またそれまでチェックの際にシートへの記入作業があったものの、同システムではカメラの自動判定履歴がサーバーに残るためペーパーレス化にも貢献しています。

作業支援カメラシステムによる属人化の解消

自動車開発・研究に関わる計測機器製造を手掛ける「小野測器」も、新製品システムの組立に「RICOH SC-10A」を導入。部品の取り付け忘れが発生した際に検知されるほか、画像での作業結果の保存が可能になりました。

そのため不良品発生リスクの軽減やトレーサビリティーの確立といったメリットが生まれ、品質向上に貢献。また工程管理作業が標準化され、それまで特定の人員に依存していた作業が他の人員も手掛けられるようになるなど業務推進の効率化にも貢献しています。

3Dプリンターによる組立ミスの撲滅

小ロット高付加価値の大型プリンターを製造する「リコーインダストリー」は、部品点数が多く複雑な組立工程でのミス撲滅を目指し、3Dプリンターで造形した治具を積極的に導入。各部品に合わせた形状などを治具に採用し、結果部品の取り違えミスなどを防いだり、組立の向きや順番が分かりやすくなったりといった効果が生まれています。治具は3Dプリンターを使って製作するため短期で調達でき、従来の金属よりも軽量な樹脂製であるという利点もあります。

さらに複数の治工具を集約し作業台を移動式にするなど現場の生産ラインも見直したところ、作業導線がシンプルなり、省スペース化にも成功。結果月間不具合件数ゼロ、生産効率20%以上改善、工具の管理コスト大幅削減を達成しました。

ポカヨケを効果的に活用する3つのポイント

ポカヨケを効果的に活用する3つのポイント

ポカヨケを取り入れるにあたり、以下のポイントを踏まえると効果的です。

  • ● 現状の課題を見つめ直す
  • ● 必要な工具を見極める
  • ● 訓練で危機管理能力を高める

前述した通り、ポカヨケにはいろいろな種類があります。具体的な手段を検討したり、ポカヨケの機能をよりアップさせたりといった点において、上記のポイントを意識することをおすすめします。

現状の課題を見直す

まず、なぜポカヨケが必要になっているのか、現場の課題を見つけることが重要です。ポカヨケが緊要となる背景には「マニュアルが分かりにくく、作業が複雑に感じられる」「現場が作業に集中しにくい環境にある」「ルール遵守を徹底する風土が十分に醸成されていない」など、複数の要因が想定されます。「自社の課題はどこにあるのか」といったポイントを見極めた上で、課題に対してより効果的な種類のポカヨケを講じる姿勢が重要です。

必要な工具を見極める

ポカヨケのために工具を導入する場合、現場の状況に応じて「どのような工具をどこに配置するのがベストか」といったポイントを吟味することが重要です。ポカヨケのために採用される工具としては、部品の取り付け・組立の間違いを防ぐため、特定の部品や作業に応じて設計された「専用治具」などが挙げられます。工具に関しては現場の状況に応じて「どのような種類のアイテムをどこに配置するのがベストか」といった点の吟味が必要です。

現場の課題点に適応した工具や装置を採用しなければ環境改善につながらない可能性も想定されるため、種類や配置方法などをよく検討しましょう。

訓練で危機管理能力を高める

従業員に対して日ごろから訓練を実施し、緊急のトラブルが発生した際に常に冷静に対処できる体制を整えておくことも重要です。十分に注意をして作業に取り組んでもヒューマントラブルは起こってしまうことがあるため、トラブル時にすぐに対応できる高い危機管理能力を一人ひとりが備える必要があります。緊急時に冷静に対処できる人員がそろう危機管理能力が高い現場には、ポカヨケも浸透しやすいと言えます。

ポカヨケ導入事例を参考に対策を進めよう

ポカヨケ導入事例を参考に対策を進めよう

成果を挙げている先のポカヨケ事例も参考にしつつ、自社のポカミスが起こりやすいポイントを洗い出して最適な対策を模索することは品質や生産力向上につながります。品質検査のデジタル化が可能な作業検査カメラやミスを防ぐ工夫の凝らされた治工具など、ポカヨケに効果的なシステムや装置も多彩なので、より現場に適した手段を選びましょう。

詳しくはこちら:作業検査カメラ RICOH SC-20

現場の声などももとにベストな種類のポカヨケのあり方を探り、競争力強化につなげてください。

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