複数の荷物の情報を一括で読み取ったり、離れた場所や梱包内の見えない物の情報も確認できるRFID。その特長から、従来のバーコードやQRコードによる荷物・物品管理よりもさらに広範囲の業務や領域で活用が進んでいます。本稿では実際にどのような業務に対してどのように役に立つのか、代表的な例をご紹介します。RFID活用の具体的なイメージをつかみたいご担当者の方はぜひ参考にしてください。
入出庫管理
入出庫作業の効率化と入出庫状況のリアルタイム把握
仕入元からの現品票をRFID化し、RFIDリーダーを搭載した入荷ゲートで一括して読み取り。入荷作業と検品を同時に実施でき、入荷作業が効率化できます。また、従来オペレーターが順次入力していた伝票の情報を一括で登録できるため、リアルタイムで入出庫状況が把握でき、入力ミスの恐れも少ないので、部品在庫などを適正化できます。
通い箱やパレットなどの所在及び数量管理
通い箱やパレットにRFタグを装着して、出荷時にRFIDリーダーで情報を読み取ることで、いつ、どこに通い箱などが出荷されたのかを、正確かつ自動的に把握できるようになります。返却時に同じくタグ情報を読み取ることで、回収及び未回収の通い箱がどこにあるのかも把握。紛失を防止することでこれまで発生していた紛失分の補充コストを抑えることができます。
多品種製品の入出庫処理精度向上
100点以上の医療向け製品を取り扱う企業では、従来バーコードで出荷管理を実施していました。しかし誤出荷や欠品の発生が多く、スタッフの作業負担も大きいことが課題となっていました。RFIDシステムを導入したことで、製品内容の確認時間が大幅に短縮すると共に誤出荷なども減少。医療機関内の一時保管庫での製品内容の確認や、実際に利用した製品の確認も即座にできるようになりました。
ロケーション・在庫管理
原材料出庫管理による破棄ロスの削減
原材料生産時にRFIDタグに原材料の品目や量、使用期限情報などを登録してシステムと紐づけます。出庫時にゲート型RFIDリーダーでタグ情報を自動的に読み取った上で出庫指示情報を照合。品違いやより古い在庫がある場合、使用期限切れの場合などにアラートを送出します。これにより原材料破棄ロスが削減できます。
ロケーション把握による配膳の効率化
部品や仕掛品などにRFタグを装着し、部品保管場所や組み立てエリアなどでタグ情報を読み取ることで、ロケーションを把握。取得した情報を使ってロケーションの整備や効率的な配膳が可能になります。入庫から出庫までの一連の流れを作ることで、完成までの工程が長い仕掛品などは、ロケーションと同時に進捗も把握できるようになります。対象のエリアにより、アンテナ型やハンディー型など作業に適したRFIDリーダーを選択できるので、さまざまなエリアや状況でも対応可能です。
棚卸し作業時間短縮
RFタグとハンディータイプのRFIDリーダーを用いて棚卸し作業を実施。一括で情報を読み込むことができ、また、隠れていたり商品との距離があったりしても読み込むことができるので大幅に棚卸し作業の効率が向上します。短時間で作業が終わるためスタッフの負担も軽減。定期的に棚卸しすることでより正確に在庫情報を把握できます。
製造工程管理
指示書のRFID化でリアルタイムに進捗を把握
作業指示の内容をタグに書き込んでRFID化。作業開始時に作業者の社員証と共にリーダーで読み込ませることで、製品が今どの工程にあるのか、誰がいつどの工程を担当したのかなどを一元的に把握することができます。ロケーション情報を設定しておけばリアルタイムでロケーションも把握できます。作業指示書の読み込みは着手時にリーダー上に置き、完了時にそれを抜くような動作にしておくことで、作業者の手間を増やさず工程管理を実現できます。取得した作業時間から原価を正確に算出することもできます。
検査作業の効率化と精度向上
電子機器に使用するPCB基盤にRFIDを実装し固体管理。検査時にタグデータを読み込むことで、さまざまな製品に必要な検査プログラムを自動選択できるようにします。これにより検査業務が効率化し、検査プログラムの選択ミスなどを防止することで検査精度も向上できます。
PLCとの連動による自動化
生産品にRFタグを装着しコンベヤーの特定ポイントでRFIDリーダーにより情報を読み取って生産品を識別。生産品に合わせてPLCでコンベヤーを制御し、A製品なら別ラインへ流し、B製品ならラインを止めて手動制御に切り替えるなどの制御ができるようになります。これにより生産の自動化や同一ラインでの多品種生産が可能になります。
備品・資産管理
資産や備品の所在や数量を正確に把握
資産ラベルをRFID化し、保管場所を紐づけして登録することで、資産の所在や利用状況が正確に把握できるようになります。保管場所が変わったり、他へ貸し出ししたりした場合でも最新の情報を保つことができ所在不明や紛失を予防できます。同様に備品ラベルをRFID化して、出庫時にゲートで自動的に出荷を記録すれば、在庫数をリアルタイムで把握できます。これにより発注数やタイミングを適正化できます。
部品箱量の適正化
標準で使用している部品箱にRFタグを貼付。全品登録することにより、全社で、どこに、どれだけ、どの種類の箱があるのかを把握。適正な箱数を把握すると共に、有休の箱を他の現場へ転用するなどして保有数を必要最低限に抑えることができるようになります。
ショールーム展示物の不正持ち出し防止
ショールームの展示物が盗難防止ワイヤーによって固定されており、来館者が自由に製品の性能などを試すことができない場合がありました。展示品にRFタグを装着すると共に、出入り口にゲート型RFIDリーダーを設置し持ち出しをチェック。ワイヤーを撤去し、ショールーム内で自由に試すことができるようになりました。加えてデモ機の貸し出し・返却手続き時間も短縮され、企業のイメージアップにもつながっています。
トレーサビリティー・出荷管理
医療材料のトレーサビリティーを確立
すべての管理対象物品にRFタグを貼付。入荷から出荷、消費までの一連の情報をRFIDで取得できるようにします。使用される医療現場には使用後のRFタグ投函BOXを設置することで、リアルタイムで消費した情報を把握できるようになります。また、手術材料の管理をRFID化することで、「いつ、どの手術で、どの患者に、どのドクターが、どのロットの商品を使ったか」などのトレーサビリティーを確保することもできます。
出荷検品作業の効率化
従来は出荷時にダブルチェックを実施している工程を、RFID化によって検品ゲートで自動的に出荷商品と出荷リストを照合するように変更。作業工数が大幅に削減されると共に、製品の期限切れチェックも細かく行えるようになります。
出荷時の自動仕分け
RFIDとソータ、自動仕分け装置を連携。搬送物にRFタグを貼付して、ソータに投入された搬送物の情報をソータ上部に設置したRFIDリーダーが自動的に読み取ります。その情報を基に自動的に仕分け処理。従来のバーコード読取方式と比較して、大幅に作業効率を向上できます。
RFIDシステム構築や運用を容易にする「リコーRFIDソリューション」
ここまでご紹介したとおりRFIDは、製造業をはじめ、物流や流通などさまざまな業界での業務効率化や精度向上、そしてコスト削減などに貢献します。しかしここで問題となるのが、そのようなRFIDシステムをいかに構築して運用するかという点。リコーではRFIDシステム開発を容易にするRFIDプラットフォーム「RECO-Bridge IDR-1 V2」や、RFIDの安定稼働を支援する「RECO-Bridge アドバイザリーサポート」、さらに、RFタグの書き換えと可視化を同時に実現する「RECO-View」など、RFIDシステムの構築・運用を容易かつ高度化するソリューションをトータルで提供することでそれらの問題を解決します。
リコーRFIDソリューションは、電子機器開発メーカーや部品製造メーカーなど、製造業を中心とした多数の企業に導入。多くの成果を上げています。ぜひ下記から詳しい内容をご確認ください。