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RICOH 製造業DX 実践ラボ

ものづくりにAIを活用するメリット・デメリット|事例や注意点も解説

デジタル化(DX推進)
品質改善
在庫管理

日本経済を支え続けてきたのがものづくりだということはほとんどの人が認めるところでしょう。しかし競争の激化と国際化が進み、日本の製造業の労働生産性は下がってきています。生産性向上に役立つと導入が急がれているのが、AIをはじめとしたデジタル技術です。

この記事では、ものづくりにおけるAI導入のメリット・デメリット、実例、注意点についてまとめます。企業のご担当者様はぜひ参考にしてみてください。

ものづくりにAIを活用するメリット

まず初めに、ものづくりにAIを活用するメリットについて解説します。具体的には次の点が挙げられます。

  • ● 生産性が向上する
  • ● 品質が向上する
  • ● 保守コストを削減できる
  • ● 省人化を実現できる

1つずつ見ていきましょう。

生産性が向上する

まず、AIの活用は生産性向上をもたらします。

自動化という側面で見ると、作業の自動化によって少ない人数で生産できるようになります。さらにヒューマンエラーもなくなり、不良品発生によるロスも減少させることが可能です。

また、見えにくかった実態の把握ができるようになることも生産性向上につながります。発注や在庫管理にAIを活用した場合、現状に即した適正な仕入れが実現しムダが減ります。作業の効率化でも、AIは滞留やボトルネックの発見と解消に効果的です。

また生産設備の監視では故障の予防が可能となり、稼働率が改善します。そのほか単純作業などをAIに行わせることで、人間は付加価値の高い業務に集中することができるようになります。

これらにより生産量向上や生産コスト減の実現が可能です。ひいては生産性が向上すると言えます。

品質が向上する

またAI導入により、製品の品質が向上します。製造・検査いずれもAIにより自動化すればヒューマンエラーがなくなるからです。さらに作業者による作業品質のムラがなくなることも、高い水準で品質が安定することにつながります。

品質が高まると、会社の信用度向上と売上増が期待できます。さらにはその結果、競争力の向上がもたらされるでしょう。

保守コストを削減できる

またAIを活用すると保守コストを削減することができます。AIを製造機器の監視に導入すれば機器の異常を予知したり稼働の傾向を把握したりすることが可能となり、機械が故障する前に点検や調整を行えるからです。故障による修理代が不要になることはもちろん、機械の稼働を止める必要がなくなるのも費用面でプラスとなります。

保守コストを削減できると、生産コストも下がります。さらには稼働率の向上も実現され、生産性も向上します。

省人化を実現できる

AI導入は省人化の実現にも役立ちます。AIに作業をさせることによって、その作業をしていた人員を削減したりほかの付加価値の高い業務に配置換えしたりすることが可能です。結果的に、AI導入前より少ない人数で同じ量の作業ができるようになります。

少人数で同じ作業量ができたり、むしろより多くの作業ができたりするようになります。それによって生産性の向上も期待できます。

ものづくりにAIを活用するデメリット

ものづくりにAIを活用する際のデメリットとしては、高額な初期コストが必要になることが挙げられます。とくに、生産ライン全体に導入する場合など設備が大掛かりになることもあります。その場合はより多くのコストが必要です。

対策としては、一気に大規模に導入せずにスモールスタートで始めることが挙げられます。段階的に導入することで費用負担が一時期に集中するのを抑えられます。さらに小規模な導入で試行錯誤してノウハウを得ておくと、あとでまとめて導入するときに有益です。

そのほか、条件を満たしていれば補助金を活用する方法もあります。

ものづくりにAIを活用する事例

ものづくりにAIを活用する事例を、開発・設計分野と生産・販売分野に分けて紹介します。

開発・設計分野

開発・設計分野では、主にデータの集積・分析・活用においてAI活用のメリットを享受しやすくなります。開発や設計分野ではデータが土台となりますが、AIの得意な作業の1つがデータを扱うことだからです。

具体的には、収集したデータのニーズの分析のほか、データをもとに材料選定を自動化することによる設計の効率化などの導入例があります。

ニーズの分析に活用すれば、潜在的なニーズの可視化、データ集計や分析の省力化が実現可能です。またデータが蓄積されるにつれ、新人でも短期間で戦力化できるようになります。実際に試行錯誤することや経験の蓄積が不要となるからです。技術の継承や人材育成でもメリットとなります。

生産・販売分野

生産・販売分野では、主に2つの活用方法があります。作業の自動化と、分析や監視による最適化やトラブル予防です。

作業の自動化の例としては、組立・加工・検査などの作業へのAI導入や需要予測による仕入れの自動化などが挙げられます。

分析・監視による最適化・トラブル予防の例としては、設備などの監視とアラート、各工程の状況の把握と調節が挙げられます。

作業の自動化を行えば、省人化のほか作業の手間や時間の短縮、品質の安定化がもたらされます。最適化・トラブル予防については、作業の効率化や稼働率改善、保守コストの削減が実現されます。さらにはそれらによる生産性の向上も期待できます。

ものづくりにAIを活用する際の注意点

最後に、ものづくりにAIを活用する際の注意点についてまとめます。具体的には次の点が挙げられます。

  • ● 導入目的を明確にする
  • ● デジタル人材を確保する
  • ● セキュリティ対策を強化する

順に解説します。

導入目的を明確にする

まず、AIの導入に際しては導入する目的を明確にする必要があります。導入の前提・基礎と言えるかもしれません。目的があやふやなままだと、導入部門の決定や具体的な内容の決定、事前の効果の検証などを行うことが不可能になるからです。いずれも導入の効果を高めるために必須の作業なので、目的の明確化を初めに行う必要があります。

目的の明確化ができていない場合、一言でいえばじゅうぶんな効果が得られなくなります。目的に最適化した導入ができなくなるからです。

デジタル人材を確保する

さらにデジタル人材を確保することも非常に重要です。AIなどデジタル技術に関する知識がないと、導入までの道筋をつけることができません。具体的には、方針の検討、優先すべき順位や具体的な手法の選択などができなくなってしまいます。

現在デジタル人材の争奪は激しくなっているので、新たに募集する場合は好待遇にすることが必要でしょう。

そのほか現在在籍している社員を育成する方法もあり、その方がメリットが多いとも言えます。AI導入や運用を取り仕切るにはものづくりの実務とデジタル技術の両方の知識が必要ですが、社員なら実務の知識があるからです。

またAIを導入した場合、省人化が実現できる可能性があります。その際、社員をデジタル人材として育成すれば貴重な人材を手放すことなく継続して働いてもらうことが可能になります。

セキュリティ対策を強化する

またAI活用においては、セキュリティ対策を強化する必要があります。AI導入の多くのケースでは、オンラインのネットワークから機密情報にアクセスできるようになります。その場合、個人情報や商品・サービスの社外秘の情報などの流出を避けなくてはいけません。そのためにもセキュリティ対策が必要となります。

システム構築時・運用後いずれも外部からの侵入に備えることはもちろんですが、社内のルールでも対策しておく必要があります。接続するデバイスを分類・可視化したり、デバイスを利用できる環境や担当者を厳格化することが考えられます。そのほか、パスワードや担当者ごとにアクセスできる範囲などを確実に管理することも重要です。

まとめ

ものづくりの競争力を高めていくためにも、作業の効率化や生産性向上・品質向上は必須です。AIはその実現に役立つでしょう。メリットを最大限享受するためにも、事前によく検討を行うことが大切です。その場合、本文中でも述べたように製造の知識とAIの知識の両面が必要となります。

私どもリコーも、AI導入のサポートを行っています。リコーでは製造現場を熟知したデータサイエンティストが生産プロセスデータ活用に向けてサポートを担当します。AI導入をご検討の場合、相談したいことがある場合はお気軽にご連絡ください。ページ最上部・最下部よりお問い合わせいただけます。

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