近年、オフィスにマグネットスペースを導入するのがトレンドになっているというニュースを耳にしたことがある方もいると思います。マグネットスペースとは、磁石に引き寄せられるかのように、自然と人が集まってくる場所を指します。そのトレンドの背景にはどのようなことがあるのか、また導入の効果や作り方も気になるところではないでしょうか。
今回は、オフィスのマグネットスペースの概要から導入が進む背景、導入の具体例、効果、作り方のポイントと注意点、おすすめの企業、導入事例をご紹介します。
オフィスのマグネットスペースの概要と導入の背景をご紹介します。
マグネットスペースとは、マグネット、つまり磁石に引き寄せられるかのように、人が自然と集まってくるスペースを指します。典型的な例として、複合機などの共用の機材や備品を、1カ所に集めてレイアウトする方法があります。
部門や部署の垣根を超えるスペースであり、偶発的な出会いやコミュニケーションを生み出します。
マグネットスペースは、オフィス内で自然と作られることもありますが、近年は意図的にこうしたオフィスレイアウトを施す企業が増えています。
マグネットスペースの導入が進んでいる理由として、社内コミュニケーションの活性化とともに生産性向上が求められていることがあります。
その大きな背景として、多様な働き方としてハイブリッドワークなどが浸透し、従業員が必ずしもオフィスで仕事をするとは限らなくなってきたことが挙げられます。またフリーアドレスという固定席を設けないレイアウト方法を採用している場合には、いつもオフィスに出社すれば、必ず顔を合わせる人がいなくなります。
そうしたなか、社内コミュニケーションの希薄化が問題視されており、意図的に社内コミュニケーションを活性化させる取り組みが求められています。マグネットスペースは、部門や部署を超えた組織横断的な社内コミュニケーションが実現できるほか、気軽な雑談からアイデア創出などの可能性がある新しい取り組みとして注目を集めています。
マグネットスペースの具体例をご紹介します。
オフィスの中央に、複合機とロングテーブル、チェア等を設置し、従業員が自席から印刷物を取りに来た際に、偶発的な出会いを創出します。話が弾めばチェアに座り、しばらく話し込むといったことも可能です。また休憩時間にランチを取るスペースとしても利用できます。
リコージャパンでは、「RICOH Smart Huddle」というコンセプトのもと、オフィスとワークスタイルのデザイン・設計をご支援しており、その取り組みの一環としてさまざまな提案例をご案内しています。
人が立ち寄るきっかけとなる複合機などの周辺をマグネットスペースとしてレイアウトします。給湯室を外に出し、福利厚生の一環として豊富な飲食を備えたオープンキッチンや冷蔵庫を設置します。気軽に軽食を取りながらひとときのリフレッシュも可能な空間です。
オフィス内の共用ゴミ箱もマグネットスペースの牽引役になります。周辺には掲示ボードやデジタルサイネージ、プロジェクターなどを設置し、社内報や社内に周知したい情報を映し出すことで、有意義な情報共有が可能になります。また社内報の情報をもとに雑談が生まれるでしょう。
近年は社内にカフェを設置する企業も増えており、簡易的なカフェカウンターを設けることで、カフェ風の空間を作るケースもあります。複合機やゴミ箱などを中心にカフェカウンターを設けることで、雰囲気のある立ち寄りやすいオープンな環境を作り出すこともできます。
マグネットスペースをオフィスに導入する効果をご紹介します。
マグネットスペースは偶発的なコミュニケーションを促すため、従業員同士のコミュニケーションを促進します。一般的なミーティングスペースとは異なり、部門・部署を超えた交流が可能である点も特徴です。
偶発的な出会いは、日々の業務に新鮮な刺激となるため、従業員に気分転換をもたらすでしょう。また楽しく雑談したり、一緒にランチを楽しんだりすることで、気持ちが高ぶり、仕事へのモチベーション向上に寄与します。その結果、生産性が向上することが期待できます。
マグネットスペースを導入すること自体が社外から注目を集めることになります。従業員が楽しく語らうオフィスは人間関係が活性化しており、求職者にとって魅力的な職場として映ります。その結果、優秀な人材が集まりやすくなり、入社後の定着率向上にも寄与します。さらに、こうした職場環境は企業イメージの向上につながり、顧客や投資家からの評価を高める効果も期待できるでしょう。
マグネットスペースで偶然生まれた出会いによる雑談をもとに新しいアイデアが生まれ、やがてイノベーションにつながることもあります。
マグネットスペースの作り方のポイントと注意点をご紹介します。
マグネットスペースは、ただ複合機やゴミ箱を設置するだけではその機能を果たさないことがあります。よくある課題が、「人が集まらない」というものです。
このような問題を回避するために、あらかじめマグネットスペースを設置する場所や動線を検討しましょう。
現状のオフィスを見渡して、従業員が自然と集まりやすい場所はどこかを検討してみてください。オフィスの中心部であれば自然と足が向くでしょう。また多くの従業員が通る動線をとらえて、その動線上に作るのもポイントです。
マグネットスペースのインテリアデザインも非常に重要です。例えば、クロスや家具の素材等の選定が重要です。カラーリングは素朴な落ち着きがあり、安らぐものを選ぶことで、憩いの場になりやすいでしょう。また、観葉植物などの緑やアート作品などを設置すれば、雰囲気を良くすることができます。会話が弾み、より多くの人が自然に集まってくるスペースとなるでしょう。
先にご紹介したように、掲示物による情報共有も有効です。企業の商品紹介や社内報などをスライドショーで見せることで、より会話が弾むスペースとなるでしょう。また日頃から社内の情報共有ができていない課題も解決できます。
マグネットスペースは、気軽なコミュニケーションができる反面、セキュリティ性が低くなりがちです。情報漏洩のリスクがあるため注意する必要があります。対策としては、来客や外部の協力者などが気軽に立ち寄れない場所に設置し、情報が不意に外部に漏れない仕組みにすることが重要です。よってオフィスの入り口付近には設置しないほうが安全といえます。またパーティションを設置することも有効です。
マグネットスペースを設置する課題として、複合機やゴミ箱、カフェ設備などの継続的な管理が必要になる点があります。特に備品の補充等について煩雑になりがちです。またスペースの片付け等は誰が担当するのかなども決めておく必要があります。従業員と管理者の手間をできるだけなくすために、外部の業者に依頼するなど、運用体制も計画しておきましょう。
マグネットスペースには、次のような設備を導入するのがおすすめです。
マグネットスペースにプリンターや複合機を設置するのは定番となっています。そこにセロテープやカッターなどの作業ができる道具や広々と書類を広げられる作業台を併設すれば、そこに訪れた人が便利に活用でき、滞在時間が延びるでしょう。
マグネットスペースの定番であるゴミ箱は、フタ付きの中身が見えないタイプや、ペダルを押すとフタが開く、手を汚さずにゴミを捨てられるタイプなど、見映えや利便性の高いものを選ぶと、快適さが生まれ、人が留まりやすくなるでしょう。
マグネットスペースに文具を集約することで人が集まりやすくなるだけでなく、会社として必要最小限の備品管理が可能になり、コスト削減にもつながります。
文具の集約は以下のような運用面の工夫が挙げられます。
「置いただけ」で終わらせず、オフィス文化として定着させる視点が大切です。
複合機の周辺やカフェカウンター付近にデジタルサイネージを設置します。デジタルサイネージはクラウドに接続しており、遠隔のPCから手軽にコンテンツを差し替えられるような仕組みのシステムにすれば運用の手間がかかりません。このデジタルサイネージに定期的に社内の情報コンテンツを流すことで、訪れた人々の自然な目の誘導につながります。
リコーのデジタルサイネージでコンテンツ提供している例として、天気予報やニュースなどがあります。マグネットスペースに掲示することで、話題のきっかけになるでしょう。
また災害時に役立つ情報コンテンツは防災意識を高めるのに役立ちます。発災時に役立つ地震情報や避難情報、気象警報・注意報といった災害情報は、有事に貴重な情報源となるでしょう。
カフェ風のハイカウンターを設置し、キッチンスペースやコーヒーマシンを設置するマグネットスペースは、多くの人を集めることができます。キャスター付きワゴンを設置すれば、ポットやコーヒーカップなどを乗せて手軽に移動させられるので、語らう場所の自由度も増します。
アロマディフューザーを設置することで、心地よい空間作りに役立ちます。リラックスできる香りに触発され、気軽な会話を創出するでしょう。
環境音を流す機器を設置すれば、よりリラックスできる空間になります。オープンスペースのコミュニケーションを促すエリアには、自然環境音のほか、ジャズやスムース、ラテン、ボサノバなどの気分がよくなる音楽も向いているといわれています。マグネットスペースのコンセプトや目的に応じて選びましょう。
マグネットスペース導入がおすすめの企業をご紹介します。
ハイブリッドワークやフレキシブルワークなど新しい働き方を導入している場合、従業員の気軽なコミュニケーションが減少している課題に直面している企業も多くあります。そのような企業は、マグネットスペースをオフィスに設置することで、コミュニケーション活性化につながります。また、部門・部署が横断した組織的なコミュニケーションが活性化するため、横のつながりが希薄化している企業にもおすすめです。
会議室やミーティングスペースが不足しており、従業員同士の打ち合わせや話し合いのスペースがない場合に、マグネットスペースは一つの有効な手段となります。
先述の通り、マグネットスペースを設置すること自体、新しい試みであり、世間一般から注目を集めやすいところがあります。先進的な取り組みや従業員にとって働きやすい環境作りを率先して行っているという意味で、企業のブランド戦略が進み、採用に有利に働くでしょう。
オフィスにマグネットスペースを導入した事例をご紹介します。
リコージャパンの岩手支社では、フリーアドレス制のデスクレイアウトを採用しています。作業スペースを大きく確保できる机のほか、窓際のカウンター席、半個室のブース席など多様な業務に対応できるようにしています。
その中でマグネットスペースをオフィスの中央に設置しています。一角にプリンターを配置しており、プリンターの上部にモニターを設置し、誕生日を迎える従業員の名前を表示させるようにし、話題作りの一助としています。
このような働き方改革に取り組むオフィスを、取引先や外部の人たちに体感してもらおうと開放しており、随時、オフィスの見学者が訪れます。実際にこのオフィスを見学して働きたいと思い入社した従業員もいます。
マグネットスペースとしてオフィスにカフェスペースを設けた例があります。この例では、カフェにラウンジスペースを隣接設置しました。カフェカウンターの周りにカフェのようなソファー席やカウンター席、ファミリーレストランのようなボックス席などカジュアルなラウンジスペースが設けられています。
ラウンジスペースは、ガラス扉で執務スペースと仕切られており、執務スペースからは見えないように工夫されています。この例では、偶然の遭遇や会話の増加に大きな効果をもたらしています。
ある企業は、30年運営の老朽化した社員食堂をリニューアルし、多目的スペースにしました。昼休憩の1時間だけでなく1日中社員が集まり、ミーティングや軽食を楽しむ気軽なリフレッシュスペースとして使えるほか、セミナーや研修も開催する場所となりました。
地域の人々との交流も行われており、他企業からの見学者も訪れるなど、話題を呼ぶマグネットスペースの一つとなっています。
ある企業には、マグネットスペースに自動販売機が設置されており、すべての飲料を無料で利用することができます。社長が全て代金を支払う仕組みになっており、従業員はICカード式の従業員証をタッチするだけで缶入り飲料が出てきます。この自販機の設置によって、マグネットスペースの利用回数が増加しました。
マグネットスペースは、偶発的な出会いと会話を生み出す自然と人が集まるスペースとして注目を集めています。フリーアドレスなどの新しい働き方に適しているため、採用しているオフィスはぜひ積極的に設けて、社内コミュニケーションを活性化させましょう。
リコージャパンでは多様化する経営環境に合わせ、デジタルサービスとワークプレイスを組み合わせた「RICOH Smart Huddle」のコンセプトのもと、働き方のリニューアルをサポートし、お客様をご支援いたします。
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