オフィスの床は一見シンプルで、何も工夫のしようがないものに見えるかもしれません。けれど、実際にはオフィスの床には重要な役割があります。私たちの業務を支える重要な施工部位の一つです。またオフィスデザインやオフィスインテリアを考えるときに、床をおしゃれにしたいということもあるでしょう。
まずはオフィスの床について知識を得て、自社のオフィスに最適な床材を選ぶことが肝心です。
そこで今回は、オフィスの床の役割やオフィスの床を見直すシーン、オフィスの床の種類と選び方、床の採用例、床工事に関する注意点をご紹介します。
オフィスの床は、実はオフィス内の業務効率や生産性に寄与しています。主な5つの役割をご紹介します。
オフィスの床はオフィスデザインの一部です。色や素材等の選択により、オフィスコンセプトを反映したオフィスデザインの床を作ることができます。例えば、ナチュラルテイストのリラックスできるオフィスというコンセプトでオフィスを作る場合には、天然木材の床材を利用することで反映できます。木目調の床は、そこに滞在する人の安心感を生み出します。
オフィスの床の色を意図的に選択することで、オフィスで働く人の心理に影響を与えることができます。
主な色ごとの効果やおすすめのエリアなどを見ていきましょう。
オフィスの床は「音」環境への影響もあります。一般的なオフィスでは、歩くたびに音が反響してしまうと、業務の妨げになることがあるため、床にはタイルカーペットという音が反響しにくい素材が使用されることが多くあります。
タイルカーペットとは、40~50cm角程度のポリプロピレンなどの固めの素材で作られている、耐久性のある床材です。裏面にはポリ塩化ビニルが使用されているのが一般的です。
タイルカーペットは衝撃音を吸収する機能があり、足音や備品の移動音、落下音などを抑えることで、オフィス全体の音環境の改善に寄与します。
またオフィスでは、足音を抑えるタイルカーペットと、反響音を軽減する吸音天井を組み合わせることで、会話が聞き取りやすく、集中しやすいオフィス環境が採用される場合があります。
オフィスの床が、色や素材で床が分けられているのを目にすることがあるでしょう。これはあえて床材を変更することで、ゾーニングを行っています。
ゾーニングとは、住宅の間取りをはじめとする建築計画において、類似した性格の空間(部屋や区画)をまとめて計画していく行為を指します。
例えば、同じフロアに、窓際の個人の集中デスクのエリアと、ミーティングをしながらコミュニケーションを図れるエリアを設けたい場合も、床材を変更するだけで用途を区分けすることができます。ゾーニングはオフィスレイアウトに欠かせない取り組みの一つです。
オフィスには、PCや電子機器、複合機などのOA機器の配線を床下に収納できるOAフロアという二重床が導入されている場合があります。オフィスの床に配線をはわせずすっきりさせることができるため、従業員がつまずいたり、踏みつけたりして断線などの事故を防げます。見た目もすっきりする、清掃がしやすいなどのメリットもあります。
このように、オフィス環境において、床は想像以上にオフィスで働く人にさまざまな影響をもたらしていることがわかります。
一般的に、オフィスの床を見直すシーンやタイミングは、次の3つが挙げられます。
オフィス移転やリニューアル、リノベーションなど、オフィス全体を刷新する機会に、オフィスコンセプトに基づくデザインの一環として、床材の素材や色の反映などを行います。
単なるおしゃれな内装デザインを作る目的だけでなく、働きやすい環境作りの一環として行うこともあります。
床が摩耗していたり、汚れていたりするときは、オフィスの床を見直すタイミングです。オフィスの床は土足で使用することが一般的であり、日々、泥や砂が付着します。またコーヒーや食べ物のかす、インク、髪の毛などさまざまな汚れが付着します。
またこすれによる摩耗も生じます。このような汚れや劣化が顕著になったときが、床を張り替えるタイミングです。
床面にOA機器の配線が露出した状態で乱雑に配置されていると、従業員が引っかかって、つまずいたり、踏みつけてしまい断線したり、配線が絡まってしまったりと危険が大きくなります。また、このような環境は転倒事故のリスクを高めるだけでなく、安全配慮義務の観点からも改善が望まれます。
このような危険に気付いたタイミングは、職場環境を改善するときです。配線については二重床の中に配線を収納するOAフロアを採用することで、配線の露出がなくなります。
床材によっては、音環境の課題が生じます。歩く度にコツコツ音がするようでは、執務エリアなどでは集中力が阻害され仕事がしにくくなる可能性があります。タイルカーペットなど音を響きづらくする対策を検討するタイミングです。
オフィスの床に採用されているものは、次の種類があります。それぞれ特徴を解説します。
タイルカーペットは、多くのオフィスで採用されている床材です。裏面に専用の接着剤などを利用し、床に直接貼って使用します。また簡単に剥がすことができるのも特徴です。耐久性が比較的高いといわれています。汚れを防ぐ機能を備えたものもありますが、汚れた個所だけ取り替えることができるメリットもあります。
フロアタイルなどと呼ばれるビニル素材の床です。撥水性や耐久性に優れている点が特徴です。耐久性の高いフロアタイルは、人の往来が多い場所でも傷や摩耗に強く、美観を保ちやすい床材です。そのため、来客が多いエントランスや人通りの多い廊下などで採用されるケースが多くあります。
木材や大理石などの天然素材による床材です。最も大きなメリットは、高級感やナチュラルなテイストでデザイン性が高いところにあります。また重厚感を出すことができるので、格式の高いオフィスになるでしょう。その反面、コストが高くなる場合があります。そのためエントランスやラウンジの一部など、意匠性や高級感を重視したエリアでアクセントとして採用されることがあります。
その他、オフィスで採用されるのがOAフロアです。
OAフロアは、配線を収納できる二重床です。床の上にパネルやブロックのようなものを敷き詰め、空間ができ、その空間にOA機器などの配線を収納します。
大きく分けて置敷タイプと支柱タイプの2通りに分かれており、使用目的や環境によって選び分けられています。
オフィス移転やリニューアルの時にオフィスの床を選ぶ必要が出てくることもあるでしょう。そのようなときには次のような選定基準でオフィスの床を選びましょう。
まずは目的とコンセプトを明確にします。デザインや見た目の良さ、機能性といった要素は重要ですが、それだけで選定すると、本来の課題解決につながらない場合があります。
大切なのは、課題を解決するために最適な床材を選ぶことです。そのためには課題を明確にして、オフィスの床をリニューアルする目的を定めることです。またできればコンセプトもあれば、より良いでしょう。
例えば、床材や色の切り替えによって、エリアごとの使い方やルールを視覚的に伝えることも可能です。
エリアごとの使い方やルール例
コンセプト例
このように床によって空間の役割を伝えることで、従業員が自然と行動を切り替えられる環境を整えることができます。
オフィスの床の素材や色、デザインなどについては、常に働き手の視点に立って選定することがポイントです。管理側の視点で選んでしまうと、働き手の働きやすさや業務効率などが十分に配慮されないリスクがあります。
例えば、利便性だけを考えて耐久性に優れたタイルカーペットを導入したものの、落ち着かないカラーを採用してしまうというケースです。その結果、働き手が集中しにくい環境の中で仕事をしなければならないといった事態を招いてしまいます。
常に働き手を考え、歩きやすさや集中のしやすさ、コミュニケーションが活性化するなど、スペースの特性に応じた選定が大切です。オフィスコンセプトに合うデザインを取り入れつつ、働き手が快適に働けるようなものを選ぶなど、配慮することが大切です。
働き手が本当に納得・満足できる環境を知るには、直接現場の従業員にヒアリングしたり、アンケートを実施したりすることが有効です。
エリアを分けるためにゾーニングを行う際には、利便性の高い床材を選ぶことが肝心です。ゾーニングのためには、誰もが視覚的に明確に区別できることが重要であるため、検討時には複数種類の床材を並べて比較する必要があります。
例えば、セキュリティエリアを検討する際には、来客エリアと従業員専用エリアの境界を床材で切り替えることで、「ここから先は関係者のみ」という認識を自然に与えることができます。こうしたゾーニングをエスコートルールと連動させることで、従業員全員が一定の基準で来客対応を行えるようになり、属人的になりがちな対応品質のばらつきを抑えることにもつながります。また、明確な動線設計により、来客の立ち入り範囲をコントロールしやすくなり、セキュリティと利便性の両立が可能になります。
床材によってメンテナンスや掃除のしやすさや頻度などが変わってきます。従業員が使う食堂やカフェスペースなど、飲食による汚れがつく恐れがあるエリアでは、防汚機能のある素材の候補から選ぶことで、汚れを防ぎやすく、掃除のしやすさも変わってくるでしょう。
また従業員の歩行が多い通路や廊下などには、最適な耐久性の高いものを選んでおくことで、摩耗や劣化を予防できます。あらかじめこのように床への汚れを防いでおくことで、結果的に床材の長持ちにつながるでしょう。
実際にオフィスの床を工夫して施工している例をご紹介します。
オフィス中央に幅の広い通路を、床材を変更することで作った例です。広々とした執務スペースの中央に、柄物の床材をまっすぐ敷き詰め、メインの通路を明確に示しています。これにより従業員は動線が無意識に把握できるため、スムーズな移動につながっています。
また通路があることで、通行中、部署や部門同士の交流を生み出し、社内のコラボレーション促進に寄与しています。
執務スペースの一角に、床の色と素材を変え、ソファを配置し、リラックスやコミュニケーションが可能なエリアに分けている例です。
執務スペースはグレーに近い落ち着いた色合いの床にし、リラックスできる一角は木目調のナチュラルなイメージの床を採用しました。これにより、エリア分けが視覚的に明確に実感できるため、パーティションをわざわざ置く必要もなく、自然な使い分けが促進されています。
またリラックスできるエリアに大胆にナチュラルテイストを取り入れることで、よりくつろぎのある空間を作り出し、メリハリを生んでいます。
作業を長時間行うエリアにおいては、クッション性の高い素材の床を採用することで、そこで作業する人の足の疲れを軽減します。
クッション性の高い素材には、塩化ビニル樹脂製の床材がよく利用されています。
ただ、単に疲れにくい環境作りという観点だけでなく、会社の経営方針として、健康経営やウェルビーイング*経営などの経営戦略をもとに実施することで、より一層、オフィスづくりに意義を持たせることができます。
オフィスに床を採用する際には、床工事が必要になります。そこで床工事を進める際の注意点をご紹介します。
賃貸オフィスでは、契約条件に基づき、退去時に原状回復が必要となるケースが一般的です。必要である場合、原状回復が可能な床材であるかどうか、また原状回復しやすいかどうかという視点を持つことが大切です。原状回復しやすい床をあらかじめ選んでおくことで、退去時の負担やコストを低減できるでしょう。
オフィスの床は、専門的な知見やノウハウをふまえて、働きやすい職場環境づくりやオフィスコンセプトの視点で総合的に選定することが重要です。
デザイン性や経営者の意向も重要な要素ですが、それだけで選定してしまうと、実際の運用に合わず、後から張り替えが必要になるなど大掛かりな対応が求められる場合があります。あらかじめ用途や運用まで踏まえた選定を行うことで、将来的なコストや手間を抑えることにつながります。
そのためには、床の種類の機能性やメンテナンスに関する事前知識を取得しておくことが大切です。
床に配線が乱雑に絡み合っている、作業導線を塞いでいるといった危険な状況を放置することは好ましくありません。OAフロアの採用などもあわせてご検討ください。
床は、導入後を想定するのはもちろんのこと、工期やコストなど、導入時の手間や予算との兼ね合いなどもよく加味して選びましょう。
オフィスの床は、思っている以上に、オフィスデザインや働きやすい環境づくりに密接に関係しています。今回ご紹介した選定ポイントなどをヒントにされてください。
選択時には、素材や機能、オフィス全体のデザイン性との兼ね合いなど多様な視点が求められます。自社では選択がむずかしい場合は、リコージャパンにご相談ください。
リコージャパンでは多様化する経営環境に合わせ、デジタルサービスとワークプレイスを組み合わせた「RICOH Smart Huddle」のコンセプトのもと、働き方のリニューアルをサポートし、お客様をご支援いたします。
"新しい働き方"をお客様と一緒に考えながら、オフィス移転やリニューアルを、計画から理想の働き方が実行されるまで、ワンストップでご支援いたします。
また、オフィスの床選定や工事についてもご支援可能です。弊社の実践事例もご紹介できますので、「RICOH Smart Huddle」の詳細は、以下よりご覧ください。
この一冊で、最新の7つのワークスタイルが分かり、お客様の課題を解決に導きます。
サービスや価格に関する質問などお気軽にご相談ください。