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オフィスにおけるサウンドマスキングとは?役割や導入メリット、事例を解説

オフィス移転やリニューアル時に「サウンドマスキング」を導入したいと考えることもあるのではないでしょうか。オフィスの音環境を快適に保つほか、機密情報の漏洩などのセキュリティ課題にも対応する方法です。その導入を成功させるにはポイントがあります。

今回は、サウンドマスキングの基本からオフィスにおける役割や導入できる場所、オフィスにサウンドマスキングを採用するメリットとデメリット、導入するポイント、導入事例までをご紹介します。

サウンドマスキングとは?

サウンドマスキングの概要をご紹介します。

サウンドマスキング機能

サウンドマスキングとは、会話の音声を聞き取りにくくする技術です。マスキング音という特殊な音を流すことで、周囲の声などに音をかぶせて、聞き取りづらくすることを目的にしています。

人は完全な無音よりも、一定の環境音があるほうが集中しやすい傾向があります。そのため、特定の音だけが気になる状態を防ぎ、不快な音も感じにくくなるという効果も期待できます。

サウンドマスキングは、それらの人間の音に関する特徴を踏まえた技術です。

サウンドマスキングとノイズキャンセリングとの違い

サウンドマスキングとノイズキャンセリングは、いずれも音に関する技術ですが、用途が異なります。

サウンドマスキングは空間全体に環境音を流すことで、周囲の会話を聞き取りにくくします。スピーカーなどの音響設備を設置し、エリア全体の音環境を調整するのが特徴です。

一方、ノイズキャンセリングは主にイヤホンやヘッドホンに搭載されており、個人が周囲の雑音を低減して集中したいときに使われます。限られた場所や個人単位での利用が中心です。

このように、サウンドマスキングは「空間全体の会話対策」、ノイズキャンセリングは「個人の集中環境づくり」と、対象範囲と導入方法が異なります。

サウンドマスキングとホワイトノイズの違い

サウンドマスキングは、ホワイトノイズという音環境の改善手法と比較されることがあります。ホワイトノイズは、「ノイズ=雑音」の一種で、低音から高音までさまざまな周波数の音が、ほぼ均等に含まれている雑音です。「サーッ」「シャー」などの換気扇やテレビの砂嵐のような音です。

ホワイトノイズも周囲の音を目立たなくする効果はあるため、簡易的にオフィスで活用されるケースもあります。しかし、ホワイトノイズはすべての周波数を均一に含む音であり、会話音を聞き取りにくくするために最適化されていない場合があります。

一方、サウンドマスキングは、人の会話が含まれる周波数帯を意識して調整された音を空間全体に流すことで、会話の内容を聞き取りにくくするために設計されています。特定の音を打ち消すのではなく、あえて音を重ねることで会話を目立たなくする点が特徴です。

このように、ホワイトノイズは簡易的な手法であるのに対し、サウンドマスキングは「オフィス全体の会話対策・音環境改善」に適した仕組みです。用途や導入目的に応じて使い分けることが重要です。

サウンドマスキングと吸音・遮音との違い

吸音

音を何かに吸収させることにより、音の反響を低減する方法です。音を吸収しやすい素材は、スポンジや布などが挙げられます。

既存オフィスでの主な方法:吸音パネル、カーペット、など

遮音

音が壁や間仕切りなどを通過しないようにする方法です。遮音性が高い素材には、重い素材や密度が高いなどが挙げられます。

既存オフィスでの主な方法:簡易パーティション、防音シート、扉や開口部の隙間対策(気密テープ等)

サウンドマスキング

対象音を物理的に減少させるのではなく、別の音(マスキング音)を付加することで知覚上の聞こえやすさを低減する手法。

既存オフィスでの主な方法:スピーカーによるマスキング音の導入

サウンドマスキングが注目される背景

近年サウンドマスキングは、オフィス環境などに多く採用されており注目されています。主に会話の音声を聞き取りにくくするために活用されています。

会話の音声を聞き取りにくくしたいというニーズの背景には、会話のプライバシーを保護する必要性が増えたことにあります。例えば、機密情報を含むオフィス内での会議はセキュリティの関係から聞き取りにくくなったほうが安全です。しかし、会議室の壁が薄く、声が外部に漏れることがあります。また最近ではミーティングスペースがオープンスペースの中に設けられるなどして、プライバシーが守りにくくなっている状況があります。

このような中、大切な会話の内容を守り、情報漏洩を防ぐ機能を持つサウンドマスキングを導入することで、周辺の人たちが集中力を欠くことなく、業務に当たることができます。このように、快適な音環境の構築に寄与することから、サウンドマスキングが採用されています。

オフィスにおけるサウンドマスキングとは?役割や場所を解説

オフィスにおけるサウンドマスキングについて解説します。

オフィスにおけるサウンドマスキングの役割

オフィスにおいてサウンドマスキングは、情報セキュリティを守る必要のある場所に導入されています。主に情報漏洩の防止が意図されています。

オフィスでサウンドマスキングが導入されている場所

オフィスにおいてサウンドマスキングが採用されている場所は、主に会議室や受付、エントランス、執務スペース、ミーティングスペースなどが挙げられます。主に機密情報や個人情報等の会話が行われる場所です。

オフィスでサウンドマスキングを導入するよくあるケース

オフィスへのサウンドマスキングの導入は、次のケースの対策としてよく行われています。

会議室の会話が外部に漏れてしまうケース

会議室内の会話が、会議室の外にある廊下を行き来する人に聞こえてしまうケースです。この場合、廊下の中央へスピーカーを向け、マスキング音が流れるように設置すれば、会議室から漏れる音声を紛らわせ、聞き取りにくくすることができます。

会議室が複数隣接しているケースで相互に会話が聞こえるケース

会議室が複数、間仕切りを挟んで並んでいるレイアウトはよくありますが、間仕切りの防音性が低いと、相互に隣の部屋の声が聞こえてしまうことがあります。

この場合は、各会議室の間仕切りを挟んでサウンドマスキングのスピーカーを設置することで、相互に会話を聞き取りにくくすることができます。

オープンスペースの一角にあるミーティングスペースの会話が外に漏れてしまう

オープンスペースにパーティションなどを置くだけで、ミーティングスペースとしてエリア分けしている場合は、パーティションの外にミーティングの声が聞こえてしまいます。

この場合は、パーティションの外に向けて、サウンドマスキングのスピーカーを設置することで、オープンスペースに滞在する人に、ミーティングスペースの話し声を聞き取りにくくすることができます。

オフィスにおけるサウンドマスキングのメリット

オフィスにおけるサウンドマスキングのメリットを解説します。

会議室や応接室の防音性向上

サウンドマスキングをオフィスの会議室や応接室に導入することで、防音性を高めることができます。

会議室や応接室で話される内容は、機密情報が多く、プライバシーに関わる個人情報も含んだ秘匿性の高い重要な情報であることが多いです。そのため、サウンドマスキングで意図的にある周波数の音を流すことで、会話の声を周囲に聞き取りにくくさせることができます。

その結果、機密情報が守られやすくなり、オフィスの防音性が向上します。

オープンスペースへの導入で多目的なスペース活用が可能に

近年は必ずしも出社中心の働き方ではなくなりました。在宅勤務やサテライトオフィス勤務なども含めて、従業員がさまざまな場所で働く中、オフィスの用途も変わってきています。例えば、従来の固定席がなくなり、オープンスペースの中、好きな席を選んで業務を行う流れが定着しています。

しかしオープンスペースにおいて、軽いミーティングや雑談などを行う際に、同じ部門や部署の従業員だけでなく、さまざまな立場や属性の従業員が一堂に会することもあります。場合によっては、会話の内容が周囲に聞こえてしまうと問題になることもあるでしょう。

また、社内外のコラボレーションも進んでいるため、社外の人の耳に入ってはいけない情報もあります。

こうした状況を受け、オープンスペースにサウンドマスキングを導入することで、機密情報を守りながら業務を進めることができます。また、オープンスペースに作業エリアや集中エリア、ミーティングスペース、リフレッシュのための雑談スペースなど多目的な利用も可能になります。

集中力アップ

会議やミーティングを行う人の周辺で、一人で作業する人にとって、話し声が聞こえてくると、作業の妨げになることがあります。集中力が下がり、業務効率や生産性が低下する恐れもあります。そのような場合も、サウンドマスキングを導入し、人の話し声が極力気にならなくなるように調整することもできます。

オフィスにおけるサウンドマスキングのデメリット

一方で、オフィスにサウンドマスキングを導入すると、デメリットも生まれます。

周囲に聴かせたくない声を完全に消すことはできない

サウンドマスキングを導入したからといって、会議の音声が完全に守られるわけではありません。なぜなら、サウンドマスキングはあくまで特定の周波数の音を流すことで、会議の声を聞きにくくする技術だからです。

物理的に会議の声を打ち消したり、小さくしたりすることはできません。サウンドマスキングの施された空間でも、耳をよく澄ませば聞こえてしまう恐れがあります。そのことを十分に理解しましょう。

同時に遮音性能を施すほうが好ましい

サウンドマスキングを導入してより効果を高めたい場合は、音量を高める必要が出てきます。あまりに音量が大きすぎると、かえって業務の妨げになる恐れがあるので注意が必要です。

またサウンドマスキングは、あくまで会議の声などを音に紛れ込ませて聞き取りにくくするという技術であるため、より効果を高めるためには、遮音性の高い設備を導入することがポイントです。

例えば、ミーティングスペースの話し声を周囲にできるだけ聞かせたくないという場合には、遮音性の高いパーティションでミーティングスペースを取り囲むといった方法が考えられます。

設置場所に工夫が必要

サウンドマスキングの音を流す場所は、会話漏れを聞かせたくない場所の天井が一般的です。

会話の発生場所である会議室などの中に設置してしまうと、サウンドマスキングの音量を高める必要が出てきてしまいます。そうすると、会議中に不快な雑音を聞きながら会議をしなければならなくなるため、現実的ではありません。また、スピーカーを天井に設置する際の、適切な設置場所についても配慮が必要になります。

オフィスへのサウンドマスキングの導入ポイント

オフィスへのサウンドマスキングの導入ポイントをご紹介します。

目的の明確化

まず、サウンドマスキングを導入する目的を明確にすることが重要です。目的を明確にしなければ、最適な設計や設置ができない可能性があるからです。

「会議の話し声を漏らしたくない」という動機は、サウンドマスキング導入の目的として十分に妥当です。しかし、対象エリアの選定や音量設定、業務特性を考慮せずに無計画に導入してしまうと、マスキング音を流したエリアで作業する従業員にとって不要な雑音となり、集中力の低下を招く可能性があります。

例えば、会議室周辺のみで十分な場合でも執務スペース全体に音を流してしまったり、適切な周波数の調整などを行わないまま運用したりすると、「うるさいだけで効果がない」という状態になりかねません。その結果、導入しないほうがよかったという評価につながることもあります。

最適な設計や設置のために、サウンドマスキングを導入することで、どのようなリスクが生じるのかなどをあらかじめ洗い出しておきましょう。そして目的を達成するためにどのようなことが必要なのかを徹底的に検証しながら、適切な導入を進めていくことが大切です。

防音工事・遮音工事の必要性について確認する

サウンドマスキングを導入する計画の中で、防音や遮音工事が必要になるのかを事前に確認しておきましょう。もし必要な場合は、ビルの管理者に確認する必要が出てくることもあります。また、天井の工事が必要になれば、スプリンクラー等の防災設備との兼ね合いもあって支障が出る恐れもあります。

合わせて音漏れ防止策を実施する

会議室の声を会議室の外部に可能な限り漏えいを防ぎたい場合には、サウンドマスキングだけでなく、他の音漏れ防止策も合わせて行うことが有効です。

一般的には、壁の空洞を埋めるスラブ工事を行ったり、間仕切りを防音性の高い厚みのあるものにしたり、パーティションの隙間に遮音材を入れたりする方法があります。

フリーアドレスなどオフィス環境の最適化

サウンドマスキングを執務エリアに導入する際は、オフィスレイアウトとの整合性も重要な検討ポイントになります。

特に固定席中心のレイアウトの場合、従業員によってはマスキング音が常時聞こえる環境で業務を行うことになり、業務内容によっては集中力の低下やストレスにつながる可能性があります。サウンドマスキングは本来「会話の内容を聞き取りにくくする」ための音であり、すべての業務に適した音環境とは限りません。

一方で、フリーアドレスなど柔軟な座席運用を取り入れている場合、従業員が業務内容や個人の感じ方に応じて作業場所を選択できるため、マスキング音の影響を受けにくい環境を構築しやすくなります。

このように、サウンドマスキングは単体で導入するのではなく、「どのエリアに適用するか」だけでなく「従業員がどのようにその空間を利用するか」まで含めて設計することが重要です。

オフィスにおけるサウンドマスキングの導入事例

オフィスにおけるサウンドマスキングの導入事例として、日本国土開発株式会社様の事例をご紹介します。

日本国土開発様は、オフィス移転のタイミングで、セキュリティ強化やコミュニケーション活性化、快適な会議環境の整備を実現する中、サウンドマスキングを導入しました。

課題

数ある課題を抱えていた中で、「会議の効率化」のために音漏れが気になる問題を解決する必要がありました。

導入場所

各会議室にサウンドマスキングを導入し、会議のしやすい空間を目指しました。

効果

オフィスのセキュリティ性が強化され、会議も安心して行えるようになり、社内コミュニケーションも活発化しました。

まとめ

サウンドマスキングの概要とともに、オフィスに導入することの意義やメリットをご紹介しました。また、デメリットも合わせて押さえておくことで、サウンドマスキングの効果的な導入につながります。

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