近年、多様な働き方が推進されるなかで、オフィス勤務だけでなく、在宅勤務のほか、サテライトオフィスという環境でリモートから働ける環境の話題を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
今回はサテライトオフィスとは何か、サテライトオフィスの近年の開設状況やメリットとデメリット、活用アイデア、成功のポイントをご紹介します。
サテライトオフィスの概要と注目されている背景をご紹介します。
サテライトオフィスとは、企業が本社などから離れた場所に設置するオフィスを指します。
サテライトとは「衛星=satellite」の意味で、企業の本社などの本拠地から離れた場所に設置する小規模なオフィスという意味合いがあります。
本社以外の拠点といえば、支社や支店、営業所などが挙げられますが、サテライトオフィスはそれらとは異なります。
大きな違いとしては、その目的にあります。支社や支店、営業所等は、事業に基づく役割を担う拠点ですが、サテライトオフィスは、多くの場合、従業員の多様な働き方を推進する役割を担う場所です。サテライトオフィスは、本社や支社よりも従業員にとってアクセスしやすく、通いやすい立地にあることが一般的です。また多くの場合、本社で行う同様の業務を行います。
近年はリモートワークが推進され、本社以外の場所で多様な働き方を推奨する企業がありますが、柔軟な働き方をサポートするために存在しているのがサテライトオフィスです。
サテライトオフィスは主に次の4種類に分かれます。
都市型は、都心に本社を構える企業が設ける第二、第三のオフィスの立ち位置で設置するタイプです。場合によっては地方にある企業が都市部に営業所として設置することもあります。
例えば外回りの営業担当者が、本社に戻る必要がなく、近隣のサテライトオフィスに立ち寄ってから帰宅するといった利便性の高いオフィスとして利用されています。
郊外型とは、都市部に存在する本社が少し遠方に感じる郊外に在住する従業員向けの便利な拠点です。郊外の住宅地に近いところにサテライトオフィスを設置することで、従業員の通勤時間の短縮や、ワークライフバランスの実現などが可能です。
地方型とは、主に都市部に本社を構える企業が地方にBCP対策として拠点を分散させる意味で設置することがあるタイプです。万が一、都市部で大震災などが発生した際も、地方に本社と同様の機能を果たすサテライトオフィスがあれば、事業の継続が可能になります。
自治体が運営するタイプもあります。総務省では「おためしサテライトオフィス」事業を行っており、地方にサテライトオフィスを設け、そこで働く体験を提供しています。
この他にも「シェアオフィス」という複数の企業が共同でスペースをシェアして利用するタイプのオフィスをサテライトオフィスとして利用するケースもあります。
サテライトオフィスが注目されている背景として、多様な働き方の推進や、新しい働き方を通じて生産性の向上が求められていることなどが挙げられます。
コロナ禍で一気にリモートワークが推進されましたが、その中でサテライトオフィス勤務も一つの方法でした。コロナ禍が明けてからは、オフィス回帰が進みましたが、リモートワークが残り、ハイブリッドワークが浸透しています。
在宅勤務が定着する一方で、「自宅では仕事のオンオフの切り替えが難しい」「家族がいてWeb会議に集中しづらい」といった在宅ならではの課題も浮き彫りになりました。サテライトオフィスは、こうした課題を解消し、整った設備で業務に集中できる第3の働く場所として重宝されています。また、通勤による心身のストレス軽減や、育児・介護との両立といったワークライフバランスの向上も大きな理由です。さらに企業側にとっても、通勤圏に縛られない優秀な人材の確保や離職防止につながる戦略的な拠点として、その重要性はますます高まっています。
そうしたなかでも、自宅近くのサテライトオフィスで効率的に働ける環境は、柔軟で多様な働き方の一助となるため、現在でも利用が進んでいます。
サテライトオフィスは近年、どのくらい開設されているのでしょうか。地方自治体が誘致し、関与した企業によるサテライトオフィスの開設状況の調査結果があります。
総務省の「地方公共団体が誘致又は関与したサテライトオフィスの開設状況調査」には以下のように述べられています。
「年度別開設状況(全国ベース)『令和3年度末時点でのサテライトオフィス開設数は1,348箇所となっている。』
都道府県別開設状況(令和3年度)『北海道が最多の110箇所で、次いで新潟県95箇所となっている。』
「サテライトオフィスの形態等」『「オフィスの形態」については、独自事務所が244箇所(64%)、シェアオフィスが132箇所(34%)となっている。』
『「入居の形態」については、常駐の要員を配置して利用する「常駐型」が250箇所(65%)、常駐の要員を配置せず、短期的に利用する「循環型」が127箇所(33%)となっている。』
「KPIの達成状況(サテライトオフィス等の整備)」には以下のように述べられています。
「デジタル田園都市国家構想総合戦略において、『企業版ふるさと納税やデジタル田園都市国家構想交付金等の活用を通じて、全国にサテライトオフィス等の整備を促し、2027年度末までに全国の地方公共団体1,200団体における設置を目指す』としている」
「令和6年9月時点で『サテライトオフィス等(の活用)による企業進出や移住等の推進に取り組んでいる』と回答した団体数は1,025団体に達しており、2024年度末までに全国の地方公共団体1,000団体における設置とする目標は達成」
このようにサテライトオフィスは、国が推進していることもあり、地方に数多く設置されています。
企業がサテライトオフィスを設置することは、次のようなメリットとデメリットがあります。
サテライトオフィスの大きな目的は、従業員が柔軟にまた利便性高く、通勤の負担少なく通えるようにするためです。その結果、生産性向上を目指すことが可能です。
サテライトオフィスを設けることで、従業員が安心して柔軟に働ける環境作りにつながります。働きやすくなることで、離職防止につながるでしょう。
働きやすい環境作りや、通いやすい立地のオフィスが複数あると、採用面でも大きなメリットが期待できます。優秀な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
BCP対策とは、事業継続計画のことを指し、災害時やパンデミックなどの緊急事態の際に早期に復旧し、事業継続させるための対策全般を指します。地方などにサテライトオフィスを設置することで、緊急時に事業を継続しやすくなります。
サテライトオフィスを設けて、多様な働き方や働きやすい環境を提供することで、従業員満足度が上がり、外部にも良いイメージをアピールできます。その結果、企業やブランドのイメージが向上することも期待できるでしょう。
サテライトオフィスは、勤怠管理の面で煩雑になりがちです。また、人事評価がしにくい側面があるため、マネジメントや管理全体に不都合が起きることがあります。
勤怠管理システムで効率化する、1対1のミーティングを定期的に実施し、マネジメントを工夫することなども重要です。
サテライトオフィスに限らず、リモートワーク全体に通じることですが、社内コミュニケーションが滞り、リアルタイムでの情報共有が難しくなります。本社へのオフィス出社と比べて情報伝達が遅れてしまう恐れもあります。コミュニケーションツールなどを利用して防止策を実施することが肝心です。
サテライトオフィスでは、遠隔から本社へネットワークを通じてアクセスするなどのケースも多く、セキュリティには十分に注意する必要があります。
また、シェアオフィスなど他社と共有するスペースを利用する場合には、特に覗き見や、端末の紛失・盗難など、物理的な情報セキュリティも考慮しなければなりません。
サテライトオフィスを設置する際には、一定のコストがかかります。賃料や敷金・礼金、保険料のほか、デスクやチェアなどの家具、複合機などの設備のリースやレンタル、購入費、ネットワーク環境整備、光熱費や清掃費等の運用費が挙げられます。
都市型と地方型では賃料相場が変わってくるため、予算に応じて選定することも大切です。また従業員の自宅近くに設置すれば、交通費の支給が削減できることもあるため、コストバランスを考えて検討しましょう。
サテライトオフィスは、目的に応じて、さまざまな活用が可能です。4つのアイデアをご紹介します。
サテライトオフィスを通勤時間の削減や、営業担当者の外回り営業の移動時間の削減などを目的に導入することもできます。特に都内の企業は、郊外にサテライトオフィスを設けることで、従業員の通勤の負荷を低減します。
ある企業は、自ら働き方改革の一環としてオフィスを設置し、自社製品の中でも働き方改革に貢献する製品やソリューションを展示するショールームとしても機能させています。ただのサテライトオフィスの機能だけでなく、異なる機能を取り入れることもできます。
近年はフレキシブルワークと呼ばれる、柔軟に働き方や働く場所を変更できるワークスタイルを採用する企業も増えています。サテライトオフィスはもちろんのこと、シェアオフィスやコワーキングスペース、在宅など本社以外の場所で柔軟に働き方を選べる環境の一つとして、サテライトオフィスを導入することも一案です。
出張先に支社や営業所のない企業では、出張先でも仕事ができる地方型のサテライトオフィスを設けることも可能です。
リコージャパンは、山口県の萩事業所をリノベーションした古民家に移設しました。古民家の一部を改修し、自社のオフィスデザインや最新のICT技術を施すことにより、デジタルワークプレイスの拠点として活用しています。囲炉裏を居室内に配置するなど、古民家の香りを残しつつ、従業員が働きやすい環境を整備しました。
萩市の古民家が立ち並ぶ地域の景観を維持すると同時に、地域のデジタル化推進によって、企業誘致や雇用創出、まちのにぎわい作りなどに貢献しています。
地方自治体の中には、空き家を改修して企業にオフィスとして提供する事業を行うところもあります。自治体が改修費やネットワーク環境の整備費用等を一部支援してくれるため、企業は負担少なく、地方進出が可能になります。地方創生が実現するため、企業も地域への貢献が可能です。
サテライトオフィスを設置して利活用する際に、次のポイントを押さえることで成功に近づけるでしょう。
サテライトオフィスは、柔軟な働き方の推進や新しいワークスタイル、フレキシブルワークの一環として導入できます。
新しい働き方の定着のために、実践の場とするのも一つのポイントです。その際、サテライトオフィスは思い切ってフリーアドレスやABW*などの新しい働き方を導入するのも良いのではないでしょうか。そのために内装やレイアウトなどを工夫して、斬新な新しいオフィスを作るのもおすすめです。
オフィス作りの専門家に相談し、サテライトオフィスの利便性やセキュリティ性を高めることも重要です。
利便性向上のアイデアとしては、従業員同士のコミュニケーションを活性化するために、カフェスペースを設けたり、マグネットスペースと呼ばれる自然に人が集まる空間を作る、社内外のメンバーとリモートでもミーティングが可能なWeb会議ができるブースを用意するなどが挙げられます。
セキュリティ性を高めるためには、入退室管理システムを導入したり、ゾーニング*を行い、セキュリティのレベルによってスペースを段階的に分けるといった試みが挙げられます。
サテライトオフィスは、基本的に従業員の柔軟な働き方をサポートするための拠点であることから、アクセスしやすい立地や働きやすい執務スペースのデザイン、レイアウトなど、従業員の希望を入念にヒアリングし、積極的に取り入れることで、目的が達成しやすく、効果も高まりやすくなるでしょう。
サテライトオフィスを新たに設置する場合、一つ拠点を増やすことになるため、できるだけコストを抑制しながら導入したいものです。
都市と地方では、賃貸料の相場は異なりますし、費用の内訳も異なってきます。予算化に合わせて検討するのがポイントです。また、先述の通り、地方自治体等ではサテライトオフィスの導入を推進しているため、支援が受けられるケースもあります。自治体主導のサテライトオフィスを利用するなどして、コストを下げることもできるでしょう。
サテライトオフィスは、多様な働き方を推進し、新しい働き方を促進することから、近年、多くの国内企業において導入が進んでいる注目のオフィスです。
生産性向上や離職防止、優秀な人材の確保、BCP対策、ブランドイメージアップなどの多数のメリットがある一方で、管理の煩雑さや情報伝達の遅れ、セキュリティリスク等の課題もあります。うまく取り入れるためには、まずは目的を明確にし、最適なサテライトオフィス環境を整えることが重要です。その際には、従業員の声を取り入れながら、効率的に行っていきましょう。
サテライトオフィスのレイアウトや新しいワークスタイルの導入などのオフィス作りにお困りの際には、ぜひリコージャパンにお声がけください。
リコージャパンでは多様化する経営環境に合わせ、デジタルサービスとワークプレイスを組み合わせた「RICOH Smart Huddle」のコンセプトのもと、働き方のリニューアルをサポートし、お客様をご支援いたします。
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