オフィス移転やリニューアルを検討する際には、インフラを整備することが重要です。しかし実際にはオフィス移転やリニューアルの際に課題に直面することがあります。
今回は、具体的によくあるインフラ整備の課題をご紹介し、課題解決につなげるためのオフィス移転・リニューアル時のインフラ整備のポイント、オフィスインフラ整備にかかるコスト削減のヒント、失敗例から学ぶオフィスインフラ整備の秘訣、失敗しないためのインフラ業者の選び方とプロジェクト進行のコツも合わせてご紹介します。ぜひお役立てください。
オフィスインフラとは、オフィスにおける日々の業務を支える基盤となるもの全般です。「社内インフラ」とも呼ばれています。
オフィスインフラは、社会的にインフラと呼ばれる電気・ガス・水道や空調などのほか、オフィスにおいては欠かせない電話やインターネット回線やITインフラも重要なインフラです。
またオフィスのレイアウトもオフィスの基盤となることから、インフラの一つに数えられます。
電気、ガス、水道、空調、電話回線、インターネット回線、ITインフラ、レイアウトなど
オフィス移転・リニューアル時には、必要に応じてオフィスインフラを構築し直す必要があります。そのカバーすべき範囲は広いこともあり、課題に直面しやすいところがあります。
オフィス移転やリニューアルの際には、インフラの種類別のポイントを押さえておきましょう。
契約中の旧オフィスの電気契約を解約し、新オフィスの新規契約を進めます。解約は直前では間に合わないこともあるため、最低でも10日前までには手続きを終わらせておきましょう。また新オフィスで利用する電気の支払い方法などは賃貸借契約書で確認しましょう。また電力量の事前確認をしておけば、旧オフィスより不足していたなどの事態を予防できます。
水道とガスについても早めに解約と契約を済ませておきましょう。ガスは開栓に立ち会いが必要なので事前にスケジュールを組んでおく必要があります。
空調は設備として備わっていることが多いため、新オフィスでは設備をそのまま利用します。ただし、古いビルなどでは空調が使えないこともあるため注意が必要です。実際に稼働してから「実は使えなかった」となれば、冷暖房が効かず、業務環境が著しく悪化する恐れがあります。
インターネット回線は、スムーズな業務に必要不可欠なインフラです。ビルによって通信環境が異なるため、事前に確認しておく必要があります。速度などに懸念がある場合、通信会社の変更も考える必要があります。新規契約となれば期間を要するため、前倒しで行動することがポイントです。
また新オフィスで通信関係の工事が必要かどうかは変わってきますので、事前にしっかりと確認しましょう。
電話は住所変更手続きが必要です。そのまま同じ番号を使用するか、別の番号にするかなど社内に確認して調整しましょう。
レイアウトはオフィスインフラのうち、事務的に進められない分野です。従業員の労働環境に大きく関係するため、充分に吟味することが必要です。
レイアウト設計の基本は、オフィス移転やリニューアルの目的に基づき、ゾーニングすることにあります。チームや部署ごとにオフィスを分けて業務効率が向上するようにします。また人の動きに沿った動線計画も重要です。
社内ネットワークの配線についても十分に配慮しましょう。
オフィス移転・リニューアル時のインフラ整備のよくある課題としては、次のことが挙げられます。
インターネット回線は、オフィスビルによって配線の状況が異なっています。そのため一から構築しなければならないケースもあれば、既に完備されていて、すぐに接続できるケースまでさまざまです。一から開通工事を行わなければならない場合には、スケジュールを綿密に組まなければ、移転やリニューアル後の業務開始までに開通が間に合わないといった事態を招いてしまいます。
近年のオフィスは、デジタル化が進んでおり、デジタル機器や設備の数に応じて、電気コンセントの数が多く必要になることもあります。事前に確認していなければ、移転・リニューアル後にコンセント数の不足が発覚することもあります。その結果、オフィスが正常に運用できないといった事態を招いてしまいます。
オフィスを刷新する際には、新たにネットワーク環境や入退室管理などのシステムなどを構築し直すことになります。そのため、新たに徹底したセキュリティ対策を施さなければ、セキュリティリスクが高まることもあります。
インフラの一つであるレイアウトを設計段階で誤ってしまった場合には、業務を開始した後に不具合が発覚するなどして不便を生じることがあります。それによって生産性が下がるなどの致命的な事態を招いてしまうリスクもゼロではありません。
オフィス移転・リニューアル時のインフラ整備にまつわる課題を解決して、成功させるポイントをご紹介します。
ハイブリッドワークやフリーアドレスなどABW(Activity Based Working/ アクティビティ・ベースド・ワーキング)の概念を採用する企業が増えています。インフラもそれらに応じて適用させると良いでしょう。
特にITやネットワークインフラは業務効率や生産性を左右します。オフィスと共にリモートで働く従業員を含めてインフラを検討しましょう。
ITインフラを構築する際には、セキュリティ強化や業務効率化のためにも、安全性とスピードなどの快適性を意識すると良いです。専門的な知見や技術を要するため、専門家に相談するのも一案です。
リモートから社内の空席や空き会議室の状況を確認したり、事前に予約を取ったり、働く場所を手間なく選択できる環境を整えるのもおすすめです。
オフィスで専任の管理者が不在でも自動で配席コントロールができ、効率的に運用できます。従業員にとっても最適な場所を選んで働けるようになり、利便性が向上します。
企業が災害やパンデミックなどの緊急時に、早期復旧・事業継続を進めるための計画であるBCP(事業継続計画)の対策として、オフィスインフラを整えておくのも良いでしょう。
オフィスビルの耐震性能の確認や非常用電源、貯水タンクの設置、ITインフラに関しては物理サーバーからクラウド上のサーバーへの移行やネットワーク回線の冗長化などにより備えることができます。
どうしても高額になりがちなので、できるだけコストは押さえたいものです。そこで次の点を意識しましょう。
電気や空調、インターネット回線などの基本的なインフラはコストをかける優先順位の高いインフラです。さらに機能性を高めたい場合などは、予算との兼ね合いも考えて決めましょう。
パソコンや複合機の導入にリースやレンタルを活用する方法です。月々の費用で導入できるため、購入に比べて初期費用を抑えられます。ただし、契約期間中の解約が困難であることや、総支払額が本体価格を上回る可能性がある点には注意が必要です。
電源工事のコストを削減するには、電源を作る個数を最低限に留めることも一案です。業務に支障が出ない範囲で、ポータブル電源による代用も検討しましょう。
インフラ業者は必ず複数社から相見積もりを取り、サービスと価格を比較し、最適な業者を選びましょう。その結果、無駄な費目をはじくことができます。
デザイン・設計から内装工事、インフラ工事の手配までワンストップで対応している業者もあります。その場合、インフラ工事業者へ自ら依頼するよりもトータルコストを抑えられることもあります。
オフィスインフラ整備を成功させるために、失敗例から学びましょう。ここでは3つのよくある失敗例と対応策をご紹介します。
電話やインターネットなどの回線手続きが遅れてしまい、業務開始日に間に合わないというのはよくある失敗です。原因は想定していたよりも時間がかかってしまう点が挙げられます。
回避策としては、思わぬ事態に対応できるよう、スケジュールに余裕を持たせることが一案です。
内装工事と電気工事のそれぞれの業者のスケジュールが合わず、何度も立ち会わなければならないケースがあります。余分な手間がかかる上に、予定していた工事期間が長引いてしまうこともあります。
回避策としては、同一業者にまとめて依頼することです。内装工事と電気工事はもちろん、電話のLAN工事なども含めて依頼することで、スケジュールの点では有効です。ただし、見積もりを取ってコスト増しになり、別々に依頼するほうが良いこともあります。
移転先の建物が古く、電気容量が不足しており、計画していた電子機器やツールの導入がむずかしいケースがあります。
回避策としては、オフィス選定の際に電気容量まで確認することが理想です。そこまで確認できないこともあるため、あまりに古い建物は避けるなど、電気容量不足の失敗を想定しておきましょう。
オフィスインフラ周り全般について失敗しないためには、インフラ業者選びとプロジェクトを円滑に進めることがポイントです。
インフラ業者は、次の点をチェックして選びましょう。
その上で、ワンストップで対応する業者も合わせて検討しましょう。
各種手続きは余裕を持って決める
繰り返しになりますが、インフラの手続きは余裕を持って行いましょう。
繁忙期を避けてスケジュール遅延を防ぐ
オフィス移転は1~3月、9月~12月に繁忙期を迎えるため、スケジュール遅延を防ぐには、できる限り繁忙期を避けるようにするのをおすすめします。業者のスケジュールも確保しやすく、同時に工事が進められることもあります。
オフィス移転やリニューアル時に重要なオフィスインフラは、種類も多く対応するべき事柄も多いため、煩雑になりがちですが、前もって計画的に実施することで、スムーズに新しい環境での業務を開始できます。
リコージャパンでは多様化する経営環境に合わせ、デジタルサービスとワークプレイスを組み合わせた「RICOH Smart Huddle」のコンセプトのもと、働き方のリニューアルをサポートし、お客様のご支援をいたします。
”新しい働き方”をお客様と一緒に考えながら、オフィス移転やリニューアルを、計画から理想の働き方が実行されるまで、プロジェクトマネジメントの業務も含めワンストップでご支援いたします。
オフィス移転やリニューアルの検討やプロジェクトマネジメント会社を選定されている際は、オフィスインフラに関する内容も含めて、ぜひ、お気軽にご相談いただけますと幸いです。
「RICOH Smart Huddle」の詳細は、以下よりご覧ください。
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監修者 わたなべ
2005年リコーグループに入社。
15年間、建築設計事務所で意匠設計および設計監理に従事。
美しさと機能性を両立する空間づくりを目指し、企画から監理まで一貫して携わる。
戦略担当として、人財戦略にも取り組んでいる。
この一冊で、最新の7つのワークスタイルが分かり、お客様の課題を解決に導きます。
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