近年、リモートワークの普及など多様な働き方への対応でオフィス移転を検討されている企業も増えてきております。ただ、実際にオフィス移転をするとなると、どのような手続きがあるか詳細に把握している方も少ないのではないでしょうか。オフィス移転のプロジェクトは多岐にわたる手続きと調整が必要であり、計画的に進めることが重要となります。
このコラムでは、オフィス移転をスムーズに進行させるために手順や必要な手続き、各機関への届出書類についても解説します。新しいオフィス環境でのスタートを成功させるために、ぜひ参考にしてください。
オフィス移転手続きには多くのステップがあり、それぞれに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。以下に、約半年から1年間を目安にしたオフィス移転の手順をご紹介します。
オフィス移転の最初のステップは、新しいオフィスの選定です。これには、立地条件、賃料、交通の便、周辺環境などを考慮し、社員の働きやすさと企業の成長を支える場所を選びます。物件の見学や契約交渉には時間がかかることが多いため、早い段階で動き出すことがおすすめです。
新しいオフィスが決まったら、現オフィスの解約手続きを進めます。賃貸契約には6か月前解約通知と設定されていることが多いため、契約内容を確認し、適切なタイミングで解約通知を行うことが必要です。解約通知が遅れると、余計なコストが発生することもあります。
新オフィスのレイアウトを検討するにあたり、内装業者を手配します。内装工事には時間がかかるため、早い段階で業者を選定し、工事スケジュールを調整することが重要です。内装業者との打ち合わせを重ね、細部まで確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
新しいオフィスのレイアウトを決定します。社員の働きやすさや、効率的な動線、コミュニケーションのしやすさを重視するなど、移転の目的に応じた配置を考えます。専門デザイナーやコンサルタントに相談するのも良いでしょう。
引越し作業は新オフィスの内装工事が整った後に行います。事前に引越し業者を選定し、移転日程を調整します。社員に対しても引越しに関する情報を共有し、スムーズな移転ができるように準備を進めましょう。
現オフィスの解約に伴い、原状回復の工事を行います。賃貸契約に基づき、オフィスを元の状態に戻すことが求められます。原状回復工事にも費用がかかるため、前もって業者の選定や見積もりを取り、予算を確保しておくことが必要です。
最後に、オフィス移転に伴う各種届出を行います。法的な手続きや関係機関への届け出を忘れずに行いましょう。これには、税務署や社会保険事務所、取引先への通知などが含まれます。届出を怠ると、後々トラブルになることがありますので、しっかりと対応しましょう。こちらについても後ほど、詳しく解説していきます。
次に、オフィス移転に際に必要な手続きを詳しく解説していきます。
上述とも重なりますが、まず、必要な手続きとして、現オフィスの解約予告を行う必要があります。賃貸契約書には解約予告期間が明記されていることが多く、通常は6か月前に通知することが求められます。解約予告が遅れると、余計な賃料が発生する可能性があるため、前もって確認し、適切なタイミングで通知を行いましょう。
次に、原状回復工事の依頼が必要です。オフィスを退去する際には、借りた当初の状態に戻すことが求められます。原状回復工事には時間と費用がかかるため、早い段階で業者を選定し、見積もりを取得しておくことが重要です。また、工事の内容についてもオーナーと十分に協議し、トラブルを避けるために書面で確認しておくことをお勧めします。
オフィス移転に伴い、インターネットや電話回線の移転手続きも必要です。注意点として、移転先での使用開始日を確実に設定することが重要です。プロバイダーや回線業者はスケジュールが合わないことも多いため、早い段階で連絡を取り、移転日程に合わせた工事日を確保しましょう。また、移転先での接続テストも忘れずに行い、スムーズな業務再開を目指します。
オフィス移転に伴い、銀行口座やクレジットカードなどの情報変更も行わなければなりません。特に、請求書や支払いに関わる情報は正確に更新しないと、業務に支障をきたす可能性があります。各金融機関やクレジットカード会社に連絡し、必要な手続きを確認して前もって対応することが求められます。
最後に、取引先への移転報告も重要です。取引先には移転を可能な限り早い段階か遅くとも1か月前には伝え、新しい住所や連絡先を知らせる必要があります。報告が遅れると、重要な連絡が届かないなどのトラブルが発生する可能性があります。移転案内はメールや手紙で行うことが一般的ですが、重要度の高い取引先には電話や訪問で直接伝えると良いでしょう。
最後に、各機関への届け出の提出が必要な書類を解説します。
オフィス移転に伴う最初の手続きの一つが、法務局での登記変更です。これは会社の所在地変更を正式に記録するためのもので、「本店移転登記申請書」を提出します。提出期限は移転後2週間以内です。この手続きを怠ると、罰金が科されることがありますので注意が必要です。
税務署への届出も重要です。新しい住所を登録するために「異動届出書」を提出します。この書類は、移転後速やかに提出する必要があります。税務署への届出を怠ると、税務関連の通知が旧住所に送られる可能性があり、重要な情報を見逃すリスクがあります。
労働基準監督署への届け出も重要です。特に、労働保険の名称や所在地が変更される場合、「労働保険名称・所在地変更届」を提出します。また、雇用保険に関する手続きとして、「雇用保険事業主事業所各種変更届」も必要となります。これにより、労働者の保険に関する情報が正確に管理されます。提出期限は移転後10日以内となります。
公共職業安定所への届出も必要です。「事業所所在地変更届」を提出します。提出期限は移転後10日以内です。これにより、雇用保険の管理が適切に行われます。
郵便局への届け出としては、「住所変更・転送届」が必要です。これにより、旧住所に届いた郵便物が新住所に転送されるようになります。提出期日は、住所変更または転送を開始したい日程までとなっており、重要な書類や通知が確実に受け取れるようにするためにも、早めの手続きをおすすめします。
年金事務所への届け出も必要です。適用事業所の所在地や名称が変更された場合、「適用事業所所在地・名称変更届」を提出します。これにより、年金に関する情報が正確に更新されます。こちらも移転後5日以内に提出する必要があり、早めの対応が求められます。
警察署への届け出も必要です。特に、車両を所有している場合は、「自動車保管場所証明申請書」を提出します。また、ナンバープレートの変更が必要な場合は、「安全運転管理者変更届」も提出する必要があり、移転後速やかにすることが求められます。
最後に、消防署への届出も重要です。「防火管理者専任(解任)届出書:移転後速やかに」、「防火対象物使用開始届出書:移転日7日前までに」、「防火対象物工事等計画届出書:工事開始の7日前までに」などが必要です。
本コラムでは、オフィス移転の手順や手続きについて、詳しくご紹介しました。オフィス移転は多岐にわたるタスクと専門知識が求められる複雑なプロジェクトのため、スムーズに進行し成功させるためにも、まずは、プロジェクトマネジメントができる会社やプロジェクトマネジメント業務を代行してもらえる会社を選定し、費用の内訳やスケジュールの詳細を打ち合わせることをお勧めします。
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