近年、ハイブリッドワークの導入など多様な働き方への対応でオフィス移転を検討されている企業も増えてきております。
ただ、実際にオフィス移転をするとなると、どのタイミングで何をするか詳細に把握できている方は少ないのではないでしょうか。
オフィス移転には多くのタスクが伴い、それぞれがスムーズに進行できない場合、トラブルが発生するリスクもあります。
本コラムでは、オフィス移転を成功させるために事前に注意すべきポイントについて詳しく解説します。具体的な移転目的の設定から、スケジュール管理、業者選定、そして行政手続きまで、各段階での重要な要素を紹介します。
はじめに、オフィス移転を成功させるために事前に注意するポイントとして、以下の項目で解説します。
まず、オフィス移転の目的を明確にすることが重要です。例えば、従業員の働きやすさを向上させるため、業務効率を高めるため、あるいは企業イメージを刷新するためなど、移転の理由は様々です。また、理想の働き方についても具体的に考える必要があります。例えば、リモートワークを推進するためのフレキシブルなデザインや、コミュニケーションを促進するためのオープンスペースの導入などが考えられます。これらの目標を明確にすることで、移転後のオフィスが企業のニーズに合ったものになるでしょう。
オフィス移転にはやることが多く、予算の検討や場合によっては資金調達の計画を立てること、移転先のオフィスで何名が働くか、移転先エリアの選定、内装工事、ITインフラの整備、家具や備品の購入に現ビルの解約など、多岐にわたるタスクを一つひとつ確実にこなしていくことが求められます。これらのタスクを明確にし、担当者を決めて進行管理を行うことで、スムーズな移転が実現します。
オフィス移転には約7か月~1年ほど時間が必要となりスケジュールを管理することは非常に重要です。おおよその移転時期を決定し、それに向けた逆算スケジュールを作成することになりますが、上記の通りオフィス移転では、タスクが多く進行を自社で行うことは難しいため、早い段階から移転業者を選定し、スケジュールをすり合わせておくことが重要になってきます。
以下にて、期間別で必要となるタスクを整理していきます。
ここからは、オフィス移転のチェックリストを期間に分けて解説していきます。
まず、オフィス移転の目的を明確にしましょう。例えば、従業員の働きやすさを向上させるため、業務効率を高めるため、あるいは企業イメージの向上を狙うためなど、具体的な目標を設定することが重要です。これにより、理想の働き方を実現するためのオフィス環境をデザインする指針が得られます。
次に、現在のオフィスの解約規約を確認します。契約には解約予告期間や違約金が設定されていることが多いため、これを把握することでスムーズな移転計画が立てられます。一般的には、解約予告は6ヶ月前に行う必要があるため、このタイミングで確認しておくことが重要です。
オフィス移転には専門知識が必要です。信頼できる移転業者を選定することで、移転作業が円滑に進むことが期待できます。業者選定の際には、実績や評判、提供サービスの内容を比較検討し、最適なパートナーを見つけましょう。
移転スケジュールの策定もこの段階でしておくことが重要です。各タスクの期限を設定し、全体の進捗を管理することで、遅延やトラブルを未然に防ぐことができます。特に、物件探しや内装工事には時間がかかるため、これらには早い段階で着手することが求められます。
物件探しでは、物件ごとにかかるコスト、理想の内装が可能かどうか、アクセスの利便性などを総合的に評価しましょう。また、物件の契約条件や周辺環境も確認し、従業員が快適に働ける環境を提供できるかどうかを判断します。この段階でしっかりとした選定を行うことで、後々のトラブルを避けることができます。
続いて、約6ヶ月~3ヶ月前に行うチェックリストを解説していきます。
オフィス移転の初期段階で最も重要なのが、内装レイアウトの検討です。新しいオフィスのスペースを最大限に活用するためには、社員の働きやすさやコミュニケーションの取りやすさを考慮したレイアウトが求められます。例えば、オープンスペースを多く設けることで、部門間の連携を強化することができます。また、会議室や休憩スペースの配置も重要で、これらの要素をバランスよく配置することで、効率的な業務環境を整えることができます。
次に、オフィス家具やインフラの手配です。新しいオフィスには、デスクや椅子、収納家具などの基本的なオフィス家具が必要です。また、インフラ面では、ネットワーク環境や電話回線、セキュリティシステムの導入も重要なポイントです。これらの手配は、早い段階で行うことでトラブルを未然に防ぐことができます。特に、ネットワーク環境の構築には時間がかかるため、専門業者と緊密に連携して進めることが求められます。
オフィス移転の約6か月前には、物件の契約締結を行うことが理想です。物件の契約には、賃貸借契約書の内容をしっかりと確認し、条件が適切かどうかをチェックする必要があります。特に、賃料や共益費、契約期間などの基本条件だけでなく、解約時の条件や修繕費用の負担範囲なども確認しておくことが重要です。これにより、後々のトラブルを防ぐことができます。
原状回復工事は、賃貸契約に基づき、オフィスを元の状態に戻す作業です。この工事には、壁や床の修繕、設備の撤去などが含まれます。工事のスケジュールを早めに調整し、移転日に間に合うように計画を立てることが重要です。また、工事業者との打ち合わせを密に行い、スムーズに進行するように心掛けましょう。
続いて、約2~1か月前に行うチェックリストを解説していきます。
オフィス移転が決まったら、まずは取引先企業への挨拶を行うことも重要です。取引先企業に対しては、移転の旨を早めに伝えることで、信頼関係を維持し、業務に支障をきたさないようにします。具体的には、以下のような手順を踏むと良いでしょう。
1. 通知方法の選定:メールや手紙、電話など、適切な方法で通知を行います。特に重要な取引先には、直接訪問して挨拶することも効果的です。
2. 通知内容の準備:新しい住所や連絡先、移転日などの詳細を明記します。また、移転に伴う業務の影響や、連絡先の変更についても説明します。
3. タイミング:移転の約1か月前には通知を開始し、繰り返しフォローアップを行うことで、確実に情報が伝わるようにします。
次に、ホームページや備品等の住所変更ですがこちらもまた、移転の約2~1か月前に計画的に進めることが重要です。
1. ホームページの更新:新しい住所をホームページに掲載します。特に、会社概要やお問い合わせページの更新を忘れずに行います。また、SEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)対策として、オフィス移転に関するブログ記事やニュースリリースを掲載することで、検索エンジンの評価を高めることができます。
2. 備品の住所変更:名刺、封筒、パンフレットなどの印刷物も新しい住所に変更します。これにより、取引先や顧客に対して一貫した情報を提供できます。
3. オンラインプラットフォームの更新:GoogleマイビジネスやSNSアカウントなど、オンラインのプラットフォームも忘れずに更新します。これにより、オンラインでの検索結果に正しい情報が表示されるようになります。
最後に、約1か月前から当日までの間に必要な作業のチェックリストを解説していきます。
移転当日は多くの作業が同時進行するため、事前に詳細なスケジュールを確認しておくことが不可欠です。まず、移転業者との最終確認を行い、搬出・搬入のタイムテーブルを再確認します。また、IT機器や重要書類の移動には特に注意を払い、紛失や破損を防ぐための対策を講じます。
契約内容に基づき、壁や床の修繕、照明器具の取り外しなどを行います。原状回復工事が完了したら、不動産管理会社やオーナーに確認を依頼し、引き渡しの手続きを進めます。工事が遅れると引き渡しが遅延し、追加費用が発生する可能性があるため、スケジュール通りに進めることが求められます。
オフィス移転に伴い、銀行口座やクレジットカードの登録情報も更新する必要があります。特に、給与振込や経費精算に利用する口座情報は早めに変更を行い、トラブルを未然に防ぎます。金融機関には必要な書類を準備し、移転先の住所への変更手続きを行います。また、クレジットカード会社にも同様の手続きを行い、請求書の送付先が新住所になるように設定します。
移転に際しては、各種官公庁や取引先への届け出も欠かせません。例えば、税務署や社会保険事務所、労働基準監督署などに対しては、移転の届け出を行います。また、取引先や顧客にも移転先の住所を通知し、今後の連絡がスムーズに行えるようにします。これにより、業務の中断を最小限に抑えることができます。
最後に、オフィス移転の際に発生する行政手続きについて解説していきます。
オフィス移転に伴う最初の手続きの一つが、法務局での登記変更です。これは会社の所在地変更を正式に記録するためのもので、「本店移転登記申請書」を提出します。提出期限は移転後3週間以内です。この手続きを怠ると、罰金が科されることがありますので注意が必要です。
税務署への届出も重要です。新しい住所を登録するために「異動届出書」を提出します。この書類は、移転後速やかに提出する必要があります。税務署への届出を怠ると、税務関連の通知が旧住所に送られる可能性があり、重要な情報を見逃すリスクがあります。
労働基準監督署への届け出も重要です。特に、労働保険の名称や所在地が変更される場合、「労働保険名称・所在地変更届」を提出します。また、雇用保険に関する手続きとして、「雇用保険事業主事業所各種変更届」も必要となります。これにより、労働者の保険に関する情報が正確に管理されます。提出期限は移転後10日以内となります。
公共職業安定所への届出も必要です。「事業所所在地変更届」を提出します。提出期限は移転後10日以内です。これにより、雇用保険の管理が適切に行われます。
郵便局への届け出としては、「住所変更・転送届」が必要です。これにより、旧住所に届いた郵便物が新住所に転送されるようになります。提出期日は、住所変更または転送を開始したい日程までとなっており、重要な書類や通知が確実に受け取れるようにするためにも、早めの手続きをおすすめします。
年金事務所への届け出も必要です。適用事業所の所在地や名称が変更された場合、「適用事業所所在地・名称変更届」を提出します。これにより、年金に関する情報が正確に更新されます。こちらも移転後5日以内に提出する必要があり、早めの対応が求められます。
警察署への届け出も必要です。特に、車両を所有している場合は、「自動車保管場所証明申請書」を提出します。また、ナンバープレートの変更が必要な場合は、「安全運転管理者変更届」も提出する必要があり、移転後速やかにすることが求められます。
最後に、消防署への届出も重要です。「防火管理者専任(解任)届出書:移転後速やかに」、「防火対象物使用開始届出書:移転日7日前までに」、「防火対象物工事等計画届出書:工事開始の7日前までに」などが必要です。
本コラムでは、オフィス移転について、事前に注意したいポイントや期間別のチェックリスト、さらにはオフィス移転の際に発生する行政手続きについて解説してきました。
ご確認いただいた通り、オフィス移転には多岐にわたるタスクと専門知識が求められる複雑なプロジェクトです。今回ご紹介した情報を参考に、スケジュールには十分に注意しながらオフィス移転を成功させてください。
リコージャパンでは多様化する経営環境に合わせ、デジタルサービスとワークプレイスを組み合わせた「RICOH Smart Huddle 」のコンセプトのもと、働き方のリニューアルをサポートし、お客様のご支援をいたします。
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