「オフィス移転を戦略的に進めたい」「オフィス移転の効率的な方法を探っており、最適なパートナー選定を目指している」など、オフィス移転をビジネス課題の解決を目指す戦略として成功させたい方は、事前の基礎知識とポイントを押さえておくことをおすすめします。
今回は、オフィス移転をビジネス戦略の一つとして進めたい企業向けに、コンセプト策定の秘訣から手順、オフィス移転に求められるタスク、オフィス移転をビジネス戦略として成功させるポイントをスケジュール、業者選び、コスト、運用と効果検証についてご紹介します。
また成功事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
オフィス移転というと、オフィスの引越しのイメージがありますが、単なる引越しに終わらせることは、大きなチャンスを逃すことになります。なぜなら、オフィス移転は、企業経営やビジネスにおいて有意義な効果を生み出すことができるからです。
おすすめなのは、オフィス移転をビジネス戦略の一つととらえることです。
オフィス移転を現在進めているビジネス戦略の一つに組み込み、オフィスという環境や仕組み作りを通じて、目的や目標達成に向けたビジネス施策の取り組みを推進することができます。
例えば、「新しいワークスタイル変革」をビジネス戦略として推し進める際には、オフィス移転と同時に新しい働き方にあわせてオフィスの設計やレイアウトをし直すことが可能です。オフィス移転は新たにオフィスを構築するチャンスといえるのです。
オフィス移転により、次の効果が期待できます。
このような効果から、ビジネス戦略と紐付けて目的を設定しオフィス移転を進めることで、オフィス移転が有意義なものになります。
ビジネス戦略の一つとしてオフィス移転を行う際に、重要になるのが目的の明確化とコンセプト策定です。
ビジネス戦略の一つとして目的を明確にすることが重要です。
その際、ビジネス戦略の目的に合わせる形で策定するのがポイントです。例えば「新しい働き方により従業員の満足度やモチベーションを上げて生産性を向上させる」といったビジネス戦略を立案したとします。
オフィス移転の目的を、「オフィスの新しい働き方を促進し、従業員が快適で働きやすいようにする環境作り」とすることでビジネス戦略に紐づけられます。
その他、ビジネス戦略に紐付けるオフィス移転の目的には次のような例が挙げられます。
【目的例】
このようなオフィス移転の目的を設定し、一つの明確なビジネスプロジェクトとして進めていきましょう。
目的が定まったら、次は移転後のオフィスのコンセプトを決めましょう。
オフィスコンセプトとは、目的を達成するための指針です。
例えば「従業員のコミュニケーションが活性化するオフィス」や「多様な働き方を実現するフレキシブルなオフィス」など、目的を達成した結果、得られるメリットやベネフィット、企業文化やブランドイメージ、取り入れる技術などを含むイメージを作ります。
オフィスコンセプトを作る目的は、オフィス移転の目的をより具体的にして、社内や設計パートナーに共有し、共通認識を持つためです。そうすることで、オフィス移転の目的や「どういうオフィスを作りたいのか?」というコンセプトが浸透しやすくなります。
オフィスコンセプトを決めずに移転やオフィス設計を行ってしまうと、単なるおしゃれなデザインのオフィスや、最新機器や設備を備えたオフィスにとどまってしまうこともあるでしょう。
オフィス移転は、ビジネス戦略に基づいて行う場合、企業理念や経営課題を実現・解決するものとなります。それらをオフィスコンセプトとして落とし込むことで、理想のオフィスに近づけます。
オフィス移転のコンセプト策定は、次の手順で進めていきましょう。
1.オフィスコンセプト設計の担当者・チーム編成
2.ビジネス戦略と目的の再確認
3.現状課題の洗い出し
4.企業理念・ブランド価値の分析
5.コンセプトの言語化
6.企業イメージの決定
7.オフィスデザイン・設計への反映
まずはオフィスコンセプトを設計するメンバーを集めましょう。ビジネス戦略やオフィス移転の目的を改めて確認し、軸を明確にします。また現状のオフィスの課題を洗い出して、目的を達成するために不足している点を列挙しましょう。
企業理念・ブランド価値の分析を行い、課題解決策とともにコンセプトに落とし込んで言語化、イメージ化します。
最終的にオフィスデザイン・設計へ反映させましょう。
オフィス移転のコンセプト策定にあたっては、従業員にアンケートやヒアリングを行い、現状課題を数多く洗い出し、改善施策を練ることです。コンセプト設計はもちろん、後々行うオフィス設計の際にも課題解決策を反映させることができます。
コンセプト策定は、専門的な要素も含むため、オフィスづくりの専門家に支援してもらうことも一案です。
ここでオフィス移転の大まかな流れを知るために、一般的なオフィス移転の流れと発生するタスクを具体的にご紹介します。
オフィス移転プロジェクトは準備も含めて「約半年から1年間」の期間を目安に計画します。
1. 移転先の選定(移転6か月前)
2. 現オフィスの解約(移転6か月前)
3. 内装業者の手配(4か月前)
4. 新オフィスのレイアウト決定(4か月前)
5. 引越し(移転日)
6. 原状回復の工事(旧オフィス解約2か月前)
7. 移転の届出(移転後速やかに)
移転に必要な手続きとして主要なものには次のことが挙げられます。
詳細は下記のコラムをご覧ください。
次にオフィス移転プロジェクトを進める前に知っておきたい、オフィス移転のよくある失敗をご紹介します。未然に回避するための方法もあわせて見ていきましょう。
進めていくうちに追加工事が相次いで発生する、必要な家具や什器が増えてしまうなどして、結果的にコストが思ったよりも増えてしまうことがあります。予算の範囲を大幅に超えてしまうこともあり、大きな問題となります。
この失敗を防ぐには、まずあらゆるコストを想定して試算を繰り返しましょう。オフィスの物件費用のほか、家具や什器、設備などの費用も想定して漏れのないようにすることが大切です。
また、内装工事業者から、予定外の工事が発生するなどの報告を受けた場合は、その工事が本当に必要なのか、なぜ予定外となったのかなどを確認しましょう。本来、必要のない工事である可能性もあるからです。
このとき判断軸となるのは、ビジネス戦略に基づく目的やオフィスコンセプトです。ブレのない判断を行いましょう。
どのようなオフィスも共通して、業務を遂行し、生産性を向上することが目的です。しかし、オフィス移転後に実際に業務を開始してみたら、以前よりも業務がスムーズにいかず、生産性が低下してしまうことがあれば、大きな損失となります。
この失敗を防ぐには、未然に生産性が低下する要因を洗い出すことです。要因は複数考えられますが、最も業務効率に関係する「従業員の作業動線」が一つとして考えられます。
どんなにブランドコンセプトやイメージがオフィスに反映されていても、従業員の作業動線が配慮されていなければ、業務がしにくいオフィスが作られてしまいます。
まずは従業員に旧オフィスの作業動線の課題をヒアリングし、それを改善するための対策を取りましょう。
オフィス移転後、デザイン面はおしゃれで居心地が良いオフィスが作られたものの、そこで働く人たちの意識や組織文化には変化がないということもあります。
これは、オフィス移転の目的やオフィスコンセプトの共有が十分にされておらず、浸透不足であることが原因と考えられます。
この失敗を防ぐには、まず組織トップが社内にオフィス移転の目的とオフィスコンセプトを明確にメッセージとして社内発信することです。社内に理解を促し、必要であれば社内研修やワークショップを行い、共有しましょう。
オフィス移転をビジネス戦略として成功させるポイントをスケジュール、業者選び、コスト、運用と効果検証、ビジネス戦略視点からご紹介します。
オフィス移転のスケジュールを過不足なく計画し、スケジュール通りに問題なく進めるには、「余裕を持たせたスケジューリング」がポイントになります。
必要な予定を計画した後、余裕を持たせた日数を加えておけば、万が一トラブルが生じてもスケジュール遅延を防ぐことができます。
またスケジュールは関わる業者によっても変わってきます。関わる業者数が増えるほどスケジュールは複雑になり、定まりにくくなるため、できるかぎり業者数を絞るようにするとスケジュールを立てやすくなるでしょう。
オフィス移転においては、オフィス設計、内装・設備工事、家具・什器手配などあらゆる項目で業者が関わってきます。それらの業者を選ぶ際には、実績などの一般的な選定条件にプラスして、次の点も考慮しましょう。
ビジネス課題解決への提案
ただ設計や工事の実績があるだけの業者では、自社の本来の目的であるビジネス戦略に基づく目的の達成にはつながりにくいでしょう。自社のビジネスの目的や課題解決をメインに据え、積極的に提案してくれるようなコンサル的な立ち位置の会社のほうが、理想のオフィス移転につながりやすいと考えられます。
セキュリティへの配慮
オフィス移転の際にオフィス設計を新たに行う場合、セキュリティ面の配慮が欠かせません。オフィスのスペースをセキュリティも考慮して区分けするゾーニング、入退室管理システム、ネットワークセキュリティなど、あらゆるオフィスセキュリティへの対応が可能な業者が理想です。
プロジェクトマネジメントを含めたオフィス移転をワンストップで対応
ビジネス戦略に基づく目的達成、スケジュール通りのスムーズな進行、コスト最適化などを考えると、オフィス移転プロジェクト全体をマネジメント支援、コンサルティングしながら、設計・工事・家具や什器、ICT機器の選定・導入までワンストップで支援してくれる業者がおすすめです。
リコージャパンでは単なるデザインやレイアウトの変更ではなく、企業の成長に寄与するオフィスづくりのコンセプトとしてRICOH Smart Huddleを提唱しています。
お客様の課題解決にアプローチし、プランニング*、ディレクション、デザイン、コーディネート、選定、工事の施工・監理までワンストップでご支援する点が特徴です。ビジネス戦略に基づくオフィス移転の際にはぜひお声がけください。
オフィス移転のコストは、移転後の費用対効果を考えるのもおすすめです。移転後に生産性が向上すれば、オフィス移転にかけたコストを回収できます。中長期的にプロジェクトの成果をとらえましょう。
費用対効果を出す意味でも、オフィス移転後の運用と効果検証の仕組みを作っておくことがポイントです。
課題ごとに中間目標であるKPIを設定し、測定を行うことで、確実に成果につなげることができます。
オフィス移転をビジネス戦略として成功させるには、上記のポイントを押さえながら、オフィス移転プロジェクト全体を通じて目的をしっかりと軸として据えることが重要です。
オフィス移転をビジネス戦略として実施し、成功した事例を3つご紹介します。
ある建設業は、オフィスにテレワーク環境でのセキュリティ強化、紙文書から脱却、社員のDX化への不安、BCP(事業継続計画)への対応などの課題がありました。
リコージャパンのワークスタイル変革へのチャレンジをお客様にご体感いただく空間であるLiveOffice「ViCreA」の一つに来場いただき、実践事例をご覧いただいたことで、DXのビジョン実現と業務のDX化に踏み切るための一押しとなりました。具体的には、ワークフローの電子化、クラウド化による業務の効率化、社員間コミュニケーションの基盤構築などを通じて業務改善につなげました。
ある不動産・オフィスサービス事業など幅広い事業を展開する企業は、新社屋竣工を機に、黙々と仕事をする現状を打破し、明るく開放感があり、組織の枠を超えたコミュニケーションを活性化しながら、働き方改革として業務効率化、創造性向上を実現するオフィスを目指していました。
ペーパーレスの徹底とレイアウトの工夫により、明るく開放的で快適な空間に。フリーアドレスを導入し、部門を超えた交流が活発になり、業務効率も向上しました。
ある土木・建築業の企業は、オフィス移転を機に、オフィス刷新を行いました。
従来は部門間のコミュニケーション不足、会議の非効率さと音漏れ、固定席の廃止などが課題でした。
そこで多様なコミュニケーションスペースや会議室へのオンライン会議システム、サウンドマスキングの導入、フリーアドレスの導入などを通じて、コミュニケーションの活性化とセキュリティ強化を実現しました。
オフィス移転は、新しい働き方の実現と定着、社内コミュニケーション活性化、企業のブランド戦略などさまざまなビジネスの目的を達成するための、オフィスを刷新するチャンスです。
ただの引越しに終わらせないためにも、また明確な目的を持ちながらも成果が出ないなどの失敗に陥らないためにも、ぜひ今回ご紹介した内容をヒントにされてください。
オフィス移転を戦略的に行うには、オフィスづくりの専門的なノウハウや知見、デジタルツールの活用が重要になります。
RICOH Smart Huddleでは、プロジェクトマネジメント、最先端のデジタルツールやシステムの導入のご提案、新しい働き方に最適なオフィス設計、ワンストップでのご対応などを通じて、貴社のオフィス移転を全面的にご支援いたします。
オフィス移転の際には、ビジネス戦略に基づくプロジェクトマネジメントのご支援をさせていただきます。
また一冊で、オフィス移転のプロジェクトの全体像が分かるオフィス移転が初めてというお客様にお役立ていただける資料をご用意しておりますので、あわせてご覧ください。
この一冊で、最新の7つのワークスタイルが分かり、お客様の課題を解決に導きます。
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