昨今、ハイブリッドワークやフリーアドレスを導入するために、オフィスをリニューアルする企業が増えてきていると感じている方も多いのではないでしょうか。ただ、実際にオフィスリニューアルを進める際に、具体的な実行計画やスケジュール、必要な業務を詳細に把握されている方は少ないのではないでしょうか。そこで、本コラムでは、オフィスリニューアルを成功させるためのポイントから、具体的なスケジュール、必要な業務、実際のリニューアル事例、注意点、業者選びのポイントまでお伝えします。
オフィスリニューアルとは、オフィスの機能を刷新し、新たなオフィス環境を構築し直すことを指します。
近年のオフィスリニューアルは、機能面や内装デザインはもちろんのこと、多様化する働き方に対応するオフィスへと刷新することを意味します。
オフィスリニューアルの種類には次のものが挙げられます。
全体のリニューアル
オフィス全体のコンセプトや目的などを再定義し、内装デザインや設計、設置する家具や什器、構築する設備など全体をリニューアルすることです。オフィスの老朽化が進んでいるケースでも行われることがあります。
部分的なリニューアル
オフィスのエントランスや執務エリアなど限定的にリニューアルを行うことです。例えばエントランスをリニューアルして対外的な企業イメージを刷新したい場合などに行われます。
オフィスリニューアルにかかるコストはどのくらいなのでしょうか。
改装・内装工事費用の場合、1坪当たり10~50万円が相場といわれます。
単価はオフィスの規模や条件などによって変わるため、あくまで目安です。
内装工事や入れ替える家具や設備などの内訳によっても変わってきます。
続いて、オフィスリニューアルを成功させるためのポイントについて詳しく解説していきます。
オフィスリニューアルを成功させるための最初のステップは、リニューアルの目的とコンセプトを明確にすることです。なぜリニューアルを行うのか、その目的をはっきりさせることで、プロジェクト全体の方向性が決まります。例えば、社員の働きやすさを向上させるため、コミュニケーションを円滑にするため、または企業のブランドイメージを刷新するためなど、目的はさまざまです。
目的が明確になると、それに基づいたコンセプトを設定することができます。例えば、社員の働きやすさやコミュニケーションの向上を重視する場合、オープンスペースやリラクゼーションエリアの設置が考えられます。一方、ブランドイメージを刷新する場合は、デザインやカラーリングにこだわることが重要です。
次に重要なのは、オフィスリニューアルのスケジュールをしっかりと把握することです。リニューアルプロジェクトは多くのタスクが発生し、関わる業者も多くなるため、スケジュール管理が非常に重要です。そのため、早い段階から移転業者を選定し、スケジュールをすり合わせておくことが重要になってきます。
続いて、オフィス移転のスケジュールをステップでわかりやすく解説していきます。
まず行うべきは、詳細なスケジュールの策定と新オフィスのコンセプト決定です。リニューアルには約半年から1年ほど時間を要することを踏まえ、大枠のスケジュールを立てましょう。また、新オフィスのコンセプトは、企業のブランドイメージや従業員の業務効率を考慮して決定します。この段階でしっかりとした計画を立てることで、後のステップがスムーズに進行します。
次に、オフィスリニューアルをサポートしてもらう業者を選定します。内装工事や引っ越し業者、ITインフラの整備を担当する業者など、複数の専門業者が必要となるため、早い段階で選定を進める方がよいでしょう。
続いて、新オフィスの物件選定と内装レイアウトの検討に移ります。物件選定では、立地条件や賃料、設備などを総合的に判断します。内装レイアウトは、社員の働きやすさやコミュニケーションの円滑さを考慮し、最適な配置を決定します。
新オフィスの物件が決まったら、契約手続きを行います。同時に、現在のオフィスの解約手続きも進めましょう。解約予告は、一般的に6か月前とされていることが多く、時間がかかることがあるため、早い段階で対応することが望ましいです。
新オフィスの契約が完了したら、内装工事を開始します。また、各種届け出も多くあるため、忘れずに行いましょう。例えば、住所変更の届け出や消防署への申請などが必要です。
最後に、オフィス移転を完了し、運用を開始します。新オフィスへの引っ越し作業は、遅れてしまうと業務に滞りが出てしまうため、事前に計画を立て、スムーズに進行するようにしましょう。
次に、オフィスリニューアル時に必要な業務について、一番多い移転のケースを想定して解説していきます。
現在のオフィスの賃貸契約を解約するためには、解約通知を行う必要があります。通常、解約通知は契約書に記載されている期日までに行う必要があります。これを怠ると、余分な賃料が発生する可能性があるため、早い段階で確認しましょう。
次に、オフィスリニューアルを行う前に、現在のオフィスを原状回復する必要があります。原状回復工事は、契約時の状態に戻すための作業で、壁の塗り直しや床の張替えなどが含まれます。こちらも契約書に基づいて行う必要があります。
上記の通り、オフィスリニューアルの成功には、明確なスケジュールとコンセプトの策定が欠かせません。リニューアルの目的や新しいオフィスのビジョンを明確にし、それに基づいて詳細なスケジュールを立てることが重要です。
新しいオフィスの物件選定も重要なステップです。立地条件や賃料、オフィスの広さなどを考慮し、最適な物件を選びましょう。物件選定は、オフィスの効率性や働く社員の満足度にも大きく影響します。
新しいオフィスのゾーニングやレイアウト、設備の計画も必要です。社員の働きやすさや業務効率を考慮したレイアウトを設計し、必要な設備を整えることが求められます。
オフィスリニューアルには、内装工事や電気工事など、さまざまな関連工事が必要です。これらの工事をスムーズに進めるためには、各業者との調整が不可欠です。工事の進捗状況を常に把握し、問題が発生した場合は迅速に対応しましょう。
最後に、オフィスリニューアルに伴う各種届け出も忘れずに行いましょう。消防署や市役所、労働基準監督署など、必要な機関への届け出を行うことで、法的な問題を回避することができます。
最後に、オフィスリニューアル事例として、弊社が手掛けたリニューアル事例をご紹介させていただきます。
1955年の創業以来、臨床検査業界のトップランナーであり続ける保健科学研究所様。新しい価値を創造し続けるには働く環境にも挑戦や変化が必要という思いから、オフィス空間を一新されました。
グローバルな事業展開の起点となるヘッドオフィスとして、お客様が何よりもこだわったのはオープンであること。視界を遮るものをなくし横浜港の眺望とつながるような開放感のあるオフィスとワークスタイルを提案しました。
床をグリーンにし眼下に望む山下公園との一体感を演出したオープンな会議室。経営会議や会社説明会などに活用
洗練されたデザインのソファーがクリエイティブな発想を刺激
テトラポッド(波消ブロック)や波の形をモチーフにしたソファーをエントランスに配置
世界の港の名前をつけたガラス張りの会議エリア
エムズコーポレーション様は、開発試作に特化したメーカーとして、あらゆる業界の様々な試作モデルを手掛けられています。事業拡大に伴い本社社屋を新築移転。木目を基調としたスタイリッシュなデザインと壁を取り払った開放感のあるレイアウトにより、今まで以上に社員が誇りをもって楽しく働けるオフィスを実現されています。
2階 執務エリア
3階 MsCAFE(株式会社エムズコーポレーション様のオフィス内の一部スペースの社内名称)
オフィスリニューアルを行う際には、次の注意点を押さえておくことをおすすめします。
オフィスリニューアルにあたって、コンセプトを実現するために「あれも、これも」とさまざまな箇所の刷新を進めたくなりますが、そもそも施工可能なのかを事前確認しなければなりません。特に賃貸オフィスでは施工範囲が限られます。
また原状回復は必要なのか、どのくらいの費用がかかるのか、あらかじめ見積もっておきましょう。
希望のレイアウトやデザインがあったとしても、まずは消防法や建築基準法などの法令を遵守する必要があります。例えば個室には火災報知器やスプリンクラーの設置が求められるため、新たに個室スペースを作るなどの場合は注意が必要です。
オフィスリニューアルに依頼するデザイン設計や工事業者は、次のポイントを押さえて選ぶのがおすすめです。
実績が豊富なことは、信頼性に直結することから重要なポイントです。またデザインや工事を行った例が写真でホームページに掲載されているなど、どのような結果になるのか具体的にイメージできるものを確認しましょう。完成後のイメージのずれを予防できます。
またプロジェクトマネジメントを前提としたコンセプト立案からデザイン設計、施工までワンストップで対応できる業者のほうがコストを抑えられますし、一貫したコンセプトの下でオフィスリニューアルが可能です。ぜひ検討してみてください。
本コラムでは、オフィスリニューアルの概要から種類、コスト、成功させるポイント、スケジュール、必要な業務、弊社が手掛けた事例、注意点、業者の選び方まで解説しました。上記の通り、オフィスリニューアルは、労働環境の改善やコミュニケーションの促進、生産性の向上に直結するだけではなく、費用も大きくなるため企業の皆様も慎重に進められると思います。
そのため、オフィスリニューアルには、プロジェクトマネジメントができる会社やプロジェクトマネジメント業務を代行してもらえるサポート会社を早い段階で選定することをおすすめします。
リコージャパンでは多様化する経営環境に合わせ、デジタルサービスとワークプレイスを組み合わせた「RICOH Smart Huddle」のコンセプトのもと、働き方のリニューアルをサポートし、お客様のご支援をいたします。
”新しい働き方”をお客様と一緒に考えながら、オフィス移転やリニューアルを、計画から理想の働き方が実行されるまで、プロジェクトマネジメントの業務も含めワンストップでご支援いたします。
また、オフィスリニューアルに関する社内実践事例もご紹介できます。
「RICOH Smart Huddle」の詳細は、以下よりご覧ください。
![]()
監修者 わたなべ
2005年リコーグループに入社。
15年間、建築設計事務所で意匠設計および設計監理に従事。
美しさと機能性を両立する空間づくりを目指し、企画から監理まで一貫して携わる。
戦略担当として、人財戦略にも取り組んでいる。
この一冊で、最新の7つのワークスタイルが分かり、お客様の課題を解決に導きます。
サービスや価格に関する質問などお気軽にご相談ください。