Main content

RICOH 製造業DX 実践ラボ

ICタグとは?RFIDタグとの違いや種類、在庫管理における用途について解説

在庫管理
デジタル化(DX推進)

ICタグ(ICチップ)は、私たちの日常生活に革新的な変化をもたらした小さな電子デバイスです。交通系ICカードや社員証、商品の在庫管理など、その用途は多岐にわたります。非接触でデータの読み取り・書き込みが可能なこの技術は、人々の利便性を大きく向上させ、ビジネスの効率化にも貢献しています。

この記事では、ICタグについて種類や用途について解説していきます。

ICタグとは

ICタグとは、電波を利用して非接触で個体を識別できる小型の電子デバイスです。内部に組み込まれたICチップとアンテナにより、専用のリーダーライターとの間で無線通信を行い、固有の識別情報やデータをやり取りすることができます。バーコードと比べて、一度に複数の読み取りが可能で、情報の書き換えもできるという特徴があります。

電源を必要としないパッシブ型が一般的で、電波をリーダーライターから受けて動作します。そのため小型で軽量であり、交通系ICカード、商品の在庫管理、製造工程の管理、さらに動物の個体識別や入退室管理など、さまざまな分野で活用されています。また、タグの材質や形状も柔軟に選べるため、用途に応じたカスタマイズも容易です。

ICタグの仕組み

ICタグは、ICチップ、アンテナ、基盤の3つの主要な構成要素で成り立っています。ICチップには固有の識別情報やデータが格納され、アンテナはリーダーライターとの無線通信が可能です。

これらの部品は基盤の上に実装されており、リーダーライターから発せられる電波がアンテナで受信されると、その電波エネルギーを電力に変換してICチップを動作させます。ICチップは受け取った信号を処理し、格納されているデータをアンテナを通じてリーダーライターへ送信することで、非接触での情報のやり取りを実現しています。

ICタグの価格

ICタグ(RFIDタグ)の導入費用は、システム全体の規模や要件によって変動します。基本的な構成要素として、1枚あたり10円から30円程度のICタグ本体に加え、20万円前後から数百万円するものまであるリーダー機器が必要となります。(2024年12月現在)

さらに、RFID対応のラベルプリンターなどの周辺機器や、システムを制御するためのソフトウェア開発費用も考慮が必要です。また、金属対応などの特殊仕様のタグを使用する場合は、1枚あたり100円以上のコストがかかる可能性があります。

これらの初期投資に加えて、保守・運用費用も含めた総合的な費用対効果の検討が重要です。

ICタグとRFIDタグの違い

ICタグとRFIDタグは、実質的に同じ技術を指す異なる呼び方です。ICタグは「集積回路(Integrated Circuit)タグ」の略称であり、主に日本国内で使用される呼び方です。

一方、RFIDタグは「Radio Frequency Identification(無線周波数識別)タグ」の略称で、国際的に広く使用される用語です。両者とも、ICチップとアンテナを使用して非接触での情報のやり取りを行う同一の技術を指しており、機能や用途に違いはありません。

ICタグの種類

ICタグは、大きく分けて以下の3つの種類に分類されます。

パッシブタグ

パッシブタグは、最も一般的に使用されているICタグの種類です。内部に電源を持たず、リーダーライターから発せられる電波のエネルギーを利用して動作します。アンテナで受け取った電波エネルギーを電力に変換し、ICチップを駆動させる仕組みです。電池が不要なため、小型化や低コスト化が可能で、半永久的に使用できるという利点があります。

ただし、リーダーライターとの通信距離は比較的短く、通常数センチメートルから数メートル程度に限られます。交通系ICカードや商品タグなど、日常生活で最もよく目にするICタグがこのタイプです。

アクティブタグ

アクティブタグは、内部にバッテリーを搭載し、自らが電波を発信できるタイプのICタグです。電源を内蔵しているため、リーダーライターからの電波に依存せず、より強い電波を発信することができます。その結果、通信距離は数十メートルから100メートル以上に及び、データの送受信速度も高速です。

また、温度センサーなどの各種センサーと組み合わせることで、環境データの測定や記録も可能です。ただし、バッテリー交換が必要で、サイズも大きくなり、コストも高くなるという特徴があります。主に、車両の位置追跡や大規模な在庫管理などで使用されています。

セミアクティブタグ

セミアクティブタグは、パッシブタグとアクティブタグの特徴を組み合わせたハイブリッド型のICタグです。内部にバッテリーを搭載していますが、これはICチップやセンサーの動作用電源として使用され、通信時の電波発信にはリーダーライターからの電波エネルギーを利用します。

このため、アクティブタグほどの長距離通信はできませんが、パッシブタグより安定した通信が可能で、センサー機能も搭載できます。バッテリー消費も抑えられるため、アクティブタグより長期間の使用が可能です。温度管理が必要な物流や、セキュリティシステムなどで利用されています。

在庫管理におけるICタグの用途

ICタグは、在庫管理の効率化と精度向上に大きく貢献する技術です。導入を検討する際は、自社の課題や目的に合わせて、最適なシステムを構築することが重要です。

具体的には以下のような用途が考えられます。

入出庫管理の効率化

ICタグを活用した入出庫管理では、商品の動きをリアルタイムで正確に把握することができます。入庫時にICタグを読み取ることで、商品情報が自動的にシステムに記録され、在庫データが即時に更新されます。同様に出庫時もタグの読み取りにより、在庫数が自動的に調整されます。

これにより、従来の手作業による数量確認や在庫データの入力が不要となり、作業時間の大幅な短縮と人為的なミスの削減が実現可能です。また、複数の商品を一括で読み取ることも可能なため、大量の商品を扱う物流現場での効率化に特に効果を発揮します。

リアルタイム在庫管理

ICタグを用いたリアルタイム在庫管理は、商品の入出荷や販売状況をリアルタイムで追跡できるシステムです。商品に取り付けられたICタグがリーダーライターで読み取られると、その情報が即座にデータベースに反映され、在庫数の自動更新が行われます。

これにより、人手による棚卸作業が不要となり、商品の所在地や数量を正確に把握できます。また、在庫が設定した閾値を下回った際に自動で発注を行うなど、品切れや過剰在庫を防ぎ、効率的な在庫管理を実現することができます。

棚卸しの効率化

ICタグを活用した棚卸しの効率化は、小売業や物流業界に革新的な変革をもたらしています。従来の手作業による一点一点の数え上げや、バーコードの読み取り作業が不要となり、専用のリーダーで棚全体をスキャンするだけで、在庫数の把握が瞬時に完了します。

複数のICタグを同時に読み取ることができるため、作業時間を大幅に短縮でき、人為的なミスも削減できます。これにより、正確な在庫管理が可能となり、スタッフの作業負担軽減にもつながるのです。

トレーサビリティの強化

ICタグを活用したトレーサビリティの強化は、製品の生産から流通、消費に至るまでの全工程を詳細に追跡できる革新的な管理手法です。各商品に固有のIDを付与することで、いつ、どこで製造され、どのような経路で流通し、最終的にどこで販売されたかという情報を正確に記録・管理することができます。

これにより、万が一品質上の問題が発生した場合でも、問題のある製品のロットを特定し、製造時の条件や使用された原材料まで遡って調査することが可能となり、迅速な原因究明と対策実施を実現できます。

防犯システムへの活用

ICタグは、小売店舗やオフィスビルなどの防犯システムにおいて重要な役割を果たしています。商品や重要書類にICタグを取り付けることで、不正な持ち出しを防止することができます。

例えば、商品に付けられたICタグが、精算されずに出口のゲートを通過すると、自動的にアラームが作動する仕組みです。また、入退室管理システムとしても活用され、特定のエリアへのアクセス制御や、社員の入退室記録の管理など、セキュリティ対策の強化に貢献しています。

まとめ

ICタグ(RFIDタグ)は、非接触での個体識別を可能にする革新的な電子デバイスです。ICチップ、アンテナ、基盤から構成され、電源内蔵の有無によってパッシブタグ、アクティブタグ、セミアクティブタグの3種類に分類されます。在庫管理分野では、入出庫管理の効率化、リアルタイムな在庫把握、棚卸作業の簡略化、トレーサビリティの強化など、多岐にわたる活用が可能です。

また、防犯システムとしても活用され、商品の不正持ち出し防止や入退室管理にも利用されています。導入費用は、タグ1枚あたり10円から30円程度で、リーダー機器やソフトウェア開発費用なども必要となりますが、業務効率化や精度向上への貢献度は高く、さまざまな業界で導入が進んでいます。

リコーはこれらのRFIDソリューションの提供を通じて、製造や物流、販売業務での入出庫管理、工程管理、資産・備品管理におけるさまざまな課題の解決を支援します。

リコーRFID ソリューション

製造業のDX特設サイト

入出庫管理や工程管理、資産管理の課題を解決する「リコーRFIDソリューション」

リコーでは、RFIDを活用した業務改革を容易に実現するためのさまざまなソリューションを提供しています。

RFIDプラットフォームサーバーソフトウェア「RECO-Bridge IDR-1 V2」は、さまざまなRFID機器と上位システムとの接続を開発レスで実現します。RFIDデバイスに柔軟に対応でき、共通インターフェースを活用することでアプリケーション開発の工数及びコストを削減します。

また、RFIDを実際に運用する場所の電波を計測し、その結果に基づいて安定稼働を支援する「RECO-Bridge アドバイザリーサポート」も提供しています。個々のRFID機器だけではなく、実際に利用する空間の状況を把握した上で、RFIDシステムを安定稼働へと導きます。

その他にも、タグの情報を可視化する「RECO-View RFタグシリーズ」があります。同シリーズは、普段は目にすることができないタグ内の情報をリライタブルシートに印刷できるソリューションです。タグ情報の書き換えと情報の印刷という機能を併せ持っており、別途印刷機やライタなどを用意する必要がありません。

リコーはこれらのRFIDソリューションの提供を通じて、製造や物流、販売業務での入出庫管理、工程管理、資産・備品管理におけるさまざまな課題の解決を支援します。

リコーRFID ソリューション

関連記事