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産業用カメラとは?種類や選び方、コスト削減のための活用例を紹介

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コスト削減
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産業用カメラは、製造業やインフラ点検、品質管理など、ビジネスの現場で重要な役割を果たす機器として注目を集めています。人間の目では捉えきれない高速な動きや微細な変化を正確に捉え、24時間365日の連続稼働も可能なこの技術は、生産性向上とコスト削減の両立に大きく貢献しています。

本記事では、産業用カメラの基礎知識から具体的な活用事例まで、経営者や現場責任者の方々に役立つ情報をわかりやすく解説していきます。

産業用カメラとは

産業用カメラは、製造現場や品質管理、セキュリティなど、産業分野での使用を目的として設計された専門的な撮像装置です。一般的なカメラとは異なり、24時間365日の連続稼働や過酷な環境下での使用に耐える堅牢性を備え、高精度な画像処理や検査が可能です。

主にモニタリング用途とマシンビジョン用途に分かれており、前者は人による監視や観察に、後者はコンピュータによる自動検査や品質管理に活用されます。製品の品質保証や生産性向上に不可欠なツールとして、現代の製造業に広く普及しています。

Webカメラとの違い

産業用カメラとWebカメラの主な違いは、用途と性能です。Webカメラは主にビデオ会議やストリーミング配信向けに設計され、一般的なオフィス環境での使用を想定していますが、産業用カメラは製造ラインでの検査や品質管理などの産業用途に特化し、高い耐久性と精度を備えています。

また、産業用カメラは外部トリガーやI/O制御機能を持ち、特殊なレンズの取り付けが可能なマウント規格に対応し、画像処理システムとの連携や同期撮影など、より専門的な機能も有しています。さらに、24時間365日の連続稼働にも対応しており、信頼性は高いでしょう。

産業用カメラの種類

産業用カメラは、主に次の2種類に分けられます。

ネットワークカメラ(IPカメラ)

ネットワークカメラ(IPカメラ)は、ネットワークを利用してデジタル画像データを送受信できる産業用カメラです。LANケーブルを通じて最大100mまでの長距離伝送が可能で、複数台のカメラを一括管理できる利点があります。

また、Power over Ethernet(PoE)機能により、LANケーブル1本で電源供給と映像伝送の両方が実現でき、配線工事の簡素化が図れます。遠隔地からのモニタリングやデータ管理が容易で、工場の生産ライン監視やセキュリティ用途など、幅広い産業分野で活用されています。

マシンビジョンカメラ

マシンビジョンカメラは、製造工程における自動検査や品質管理を目的として設計された産業用カメラです。人の目では検出が難しい微細な欠陥や高速な動きを正確に捉え、取得した画像データをコンピュータで解析することで、製品の寸法測定、欠陥検出、バーコード読み取りなどを自動的に行います。

高精度な画像センサーと画像処理機能を備え、照明条件の変化や振動にも強く、工場の生産ラインに組み込んで安定した検査を実現します。自動車、電機、医療、食品など幅広い産業分野で活用され、製品品質の向上と生産効率の改善に貢献しています。

産業用カメラの主な用途

産業用カメラは、一般的なカメラとは異なり、製造、検査、監視など、産業用途に特化したカメラです。主な用途は以下のとおりです。

製造

製造業において産業用カメラは、製品の品質管理と生産性向上に重要な役割があります。高精度な画像処理技術により、製品表面の傷や異物、ひび割れ、変色などの欠陥を自動で検出し、人の目では見逃しやすい微細な不良も確実に発見可能です。

また、製品の寸法を非接触で正確に測定したり、ロボットによる部品の位置決めを支援したりする用途にも使用されます。さらに、製品上の文字やバーコードを自動認識することで、生産履歴の管理や製品のトレーサビリティ確保にも貢献しています。これらの機能により、品質の安定化と作業効率の向上を実現しているのです。

医療

医療分野における産業用カメラは、患者の診断や治療に欠かせないものです。内視鏡では、極小サイズの高解像度カメラを用いて体内の詳細な観察や手術をサポートし、手術用顕微鏡では精密な手術をリアルタイムで記録・モニタリングすることを可能にしています。

また画像診断装置では、X線やMRIと組み合わせて撮影した画像をデジタル処理し、疾病の早期発見や診断の精度向上に貢献しています。これらのカメラは、医療機器としての厳格な品質基準を満たし、高い信頼性と精度が求められます。

研究

産業用カメラは、研究分野において高精度な観察や分析に幅広く活用されています。特に、高速度撮影機能を活用した物理現象の解析や、微細な対象を撮影するデジタルマイクロスコープとしての利用、さらに近赤外線や紫外線などの特殊波長での撮影による材料分析などが代表的です。

また、AIと組み合わせた画像認識研究や、ロボット工学における視覚センサーとしても重要な役割を果たしています。長時間の連続観察や正確なデータ収集が求められる実験において、その高い信頼性と精度が研究の質を支えています。

監視

産業用カメラは、工場や倉庫、オフィスビルなどの施設において、24時間体制でのセキュリティ監視が可能です。高解像度センサーと優れた低照度性能により、夜間や暗所でも鮮明な映像を捉え、不審者の侵入検知や異常行動の早期発見に役立ちます。

また、AI技術との連携により、人物の動きや車両ナンバーの自動認識が可能で、交通監視や入退室管理にも活用されています。防犯カメラとしての役割に加え、作業員の安全確認や作業プロセスの記録など、施設の安全管理全般を支える重要なツールです。

コスト削減のための産業用カメラ活用例

産業用カメラの活用は、様々な面でコスト削減に繋がります。具体的な例を以下に示します。

自動化による人件費の削減

産業用カメラの導入は、製造業における人件費の大幅な削減を実現します。特に検査工程では、従来人の目に頼っていた品質チェックをカメラと画像処理システムで自動化することで、検査員の人数を最小限に抑えられます。

また、24時間365日の連続稼働が可能なため、夜間シフトの人員も削減できます。さらに、広範囲の監視業務を少人数で効率的に行えるようになり、警備員の配置も最適化できるのです。

作業工程のモニタリングにより、無駄な作業時間を特定して削減し、作業効率を向上させることで、必要な人員数を適正化できます。AIと組み合わせることで、異常時のみの通知や自動判断も可能となり、さらなる人件費削減につながるでしょう。

検査精度の向上による不良品削減

産業用カメラを活用した品質管理システムは、製造工程における不良品削減にも貢献します。高精度なセンサーと画像処理技術により、人間の目では見逃しやすい微細な欠陥も確実に検出でき、製造工程の早期段階で問題を発見することで、後工程での手戻りや材料の無駄を最小限に抑えることが可能です。

また、24時間365日安定した品質で検査を継続できるため、作業者の疲労や集中力の変動による検査精度のばらつきを解消します。さらに、検出された不良品の画像データを記録・分析することで、発生原因の特定や傾向分析が容易になり、製造プロセスの改善や予防保全にも活用できるため、長期的な品質向上と不良品削減につながります。

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データ活用による生産性向上

産業用カメラの活用は、製造現場の生産性向上にも影響します。高精度な画像センサーと画像処理技術により、人の目では見逃しやすい微細な不良も瞬時に検出でき、検査工程の大幅な効率化が実現できます。

また、カメラで収集した画像データを蓄積・分析することで、不良品の発生パターンや生産工程の課題を特定し、製造プロセスの継続的な改善が可能です。さらに、産業用カメラはロボットの「目」として機能し、部品の位置や向きを正確に認識することで、ピッキングや組立作業の自動化を実現します。これにより人手作業を削減し、24時間365日の安定した生産体制を構築できます。

リアルモニタリングによる損失の削減

産業用カメラによるリアルタイムモニタリングは、製造プロセスにおける様々な損失削減に貢献します。例えば、超音波カメラを用いたエア漏れの検知では、圧縮空気システムの無駄を可視化し、年間の損失金額を算出することで、具体的なコスト削減につながります。

また、製造ラインの監視では、不良品の発生をリアルタイムで検知し、即座に対応することで、材料やエネルギーのムダを最小限に抑えられます。さらに、赤外線カメラによる設備の温度異常の早期発見は、突発的な故障や生産停止を防ぎ、修理費用や機会損失の削減に効果を発揮します。

産業用カメラの選び方

産業用カメラを選ぶ際は、まず撮影対象と取得したい情報を明確にし、それに応じた画質要件(解像度、感度、色再現性)を決定することが重要です。次に、動体撮影の必要性からフレームレートを検討し、システム全体との整合性を考慮してインターフェースを選択します。インターフェースとはカメラとコンピュータ(画像処理装置やパソコンなど)の間で画像データを転送するための仕組みのことで、カメラで撮影した画像をコンピュータに送るためには、適切なインターフェースが必要です。

また、工場などの使用環境における温度、湿度、振動などの条件に耐えうる耐久性も必須要件となります。これらの要件を満たしつつ、予算内で最適な性能を得られる機種を選定することで、長期的な運用における信頼性と費用対効果の両立が可能です。

製造現場におすすめの作業検査カメラ RICOH SC-20

リコーが提供する産業用カメラのひとつ、RICOH SC-20は組立工程の作業検査用カメラで、800万画素の4K画質センサーを搭載し、形状・色・質感の認識やAIによるネジ締め検査が可能です。カメラ内蔵の処理装置により簡単に設定でき、多様な外部機器との連携やバーコード読取りなどのオプション機能も備えています。

RICOH SC-20は、製造業全般の品質向上と作業ミス削減を目的とした企業・現場におすすめです。特に、組立作業の標準化や自動検査の導入を検討している企業にとって、導入しやすく、確実な成果を期待できるツールといえます。

RICOH SC-20

まとめ

産業用カメラは、製造現場における品質管理や生産性向上の重要なツールとして、ますます注目を集めています。人間の目では捉えきれない高速な動きや微細な変化を24時間365日にわたって正確に捉え、自動検査や監視、データ収集を可能にすることで、製造業の効率化とコスト削減に貢献しています。導入に際しては目的や環境に応じた適切な機種選定が重要ですが、それを実現することで、企業の競争力強化と持続的な成長を支える強力なツールとなるでしょう。

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